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この時、次の形も同次方程式の解である。 | この時、次の形も同次方程式の解である。 | ||
<math>y = C_1 y_1 + C_2 y_2 \qquad (C1, \ C2 : \mbox{ 実 数 } )</math> | <math>y = C_1 y_1 + C_2 y_2 \qquad (C1, \ C2 : \mbox{ 実 数 } )</math> | ||
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定理1の(1)は、ベクトルにおける和に関する性質(ベクトルの和はベクトルである)に対応する。<br> | |||
定理1の(2)は、ベクトルのスカラー倍の性質に対応する。<br> | |||
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定理2は、定理1から導かれる。<br> | |||
定理2は、線形常微分方程式が「線形」と呼ばれる由来である。<br> | |||
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定理1および定理2により、同次方程式の解はベクトル(線形代数)とのアナロジーで扱うことができるということが分かる。<br> | |||
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定理3 : | |||
定数係数2階線形常微分方程式(同次方程式) <math>\frac{d^2 y}{dx^2} + f_1(x) \frac{dy}{dx} + f_2(x) y = 0</math> の解全体の集合Vは、実数上の線形空間を定める。 | |||
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定理3は、同次方程式の解全体の集合は、線形空間(ベクトル空間)を定める。<br> | |||
すなわち、同次方程式の解関数は、ベクトルと同様に扱うことができる。(定理1を参照)<br> | |||
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同次方程式の解は、線形代数とのアナロジーで扱うことができる。<br> | |||
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== 解関数の線形独立性 == | |||
定義 : | |||
定数係数2階線形常微分方程式 (同次方程式) <math>\frac{d^2 y}{dx^2} + f_1(x) \frac{dy}{dx} + f_2(x)y = 0</math> の解となる関数y1, y2が、 | |||
ある区間Iにおいて、少なくとも1つは0でない実数k1, k2を用いて以下のように記述できる時、関数y1とy2はIで線形従属(1次従属)であるという。 | |||
また、2つの関数y1, y2が線形従属でない時、線形独立(1次独立)であるという。 | |||
<math>k_1 y_1 + k_2 y_2 = 0</math> | |||
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上の定義は、ベクトルの線形従属・線形独立の定義とのアナロジーである。<br> | |||
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線形同次微分方程式の解関数の線形従属性・線形独立性を判定するには、次の定理を使用する。<br> | |||
定理4 : | |||
定数係数2階線形常微分方程式 (同次方程式) <math>\frac{d^2 y}{dx^2} + f_1(x) \frac{dy}{dx} + f_2(x)y = 0</math> の解関数y1, y2について、 | |||
次のロンスキー行列式 <math>W [y_1, y_2]</math> を考える。 | |||
この時、考察中の区間Iにおいて以下が成立する。 | |||
<math>y_1, \, y_2 \mbox{ が 線 形 独 立 } \iff W[y_1, \, y_2] \ne 0</math> | |||
<math>W[y_1, \, y_2] = \begin{vmatrix} y_1 & y_2 \\ \frac{dy_1}{dx} & \frac{dy_2}{dx} \end{vmatrix}</math> | |||
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定理4により、ロンスキー行列式を使用すると、簡単な演算のみで線形独立性が判定できる。<br> | |||
(1) <math>y_1, \, y_2 \mbox{ が 線 形 独 立 } \iff W[y_1, \, y_2] \ne 0</math><br> | |||
(2) <math>y_1, \, y_2 \mbox{ が 線 形 従 属 } \iff W[y_1, \, y_2] = 0</math><br> | |||
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