電子回路 - RS-422
概要
RS-422は、産業用途で広く使用される差動シリアル通信規格である。
差動信号伝送方式を採用していることにより、ノイズに強く、長距離での通信が可能となっている。
データ信号を2本の線 (TxD+とTxD-) で伝送して、両線の電位差によって論理値を表現する。
この方式により、外部からのノイズの影響を大幅に低減できる。
通信距離は最大約1.2[km]まで可能で、通信速度は最大10[Mbps]を実現できる。
ただし、距離と速度はトレードオフの関係にあり、長距離通信時は速度を落とす必要がある。
RS-422の主な利点として以下のものが挙げられる。
- 長距離通信が可能 (最大1.2[km])
- 高速通信に対応 (最大10[Mbps])
- 優れたノイズ耐性
また、RS-422はマルチドロップ接続に対応しており、1つの送信機 (ドライバ) に対して最大10台の受信機 (レシーバ) を接続できる。
これにより、1対多の通信トポロジーを構築できる。
配線については、シールド付きツイストペアケーブルの使用が推奨される。
これにより、外部からのノイズの影響をさらに低減して、より安定した通信を実現できる。
産業用途では、工場の生産ライン制御、計測機器との通信、ビル管理システム等、様々な場面で活用されている。
特に、ノイズの多い環境や長距離通信が必要な場面で、その真価を発揮する。
RS-422はRS-485の前身となった規格であり、現在でも多くの産業機器で採用されている。
RS-485と比較すると、双方向通信の実現にはより多くの配線が必要となるが、より単純な構成で信頼性の高い通信を実現できるという特徴がある。
RS-422 IC
選定として、必要な通信速度、動作温度範囲、電源電圧、必要なESD保護レベル等がある。
また、各メーカーは豊富な技術資料やアプリケーションノートを提供しており、これらを参照することで適切な製品選択が可能である。
近年では、より高い信頼性や省電力性能を持つ新製品も続々とリリースされているが、これらの定番ICは依然として多くのアプリケーションで使用されている。
その理由として、長年の使用実績による信頼性の実証と豊富な技術資料の存在が挙げられる。
TI製
- SN75179B
- SN75179Bは産業用途で長年使用されてきた実績があり、送信と受信を1パッケージに統合した使用しやすい製品である。
- 動作電圧 : 5[V]
- データレート : 最大10[Mbps]
- 産業用温度範囲に対応
- SN75LBC179A
Analog Devices (旧Maxim)
- MAX485
- MAX488
- 低消費電力設計
- ESD保護機能内蔵
- 高速スルーレート
低消費電力で信頼性が高く、MAX488は高速通信に適している。
これらのICは、RS-485規格にも対応しているが、RS-422での使用も一般的である。
ROHM
- BD3471KV
- BD3472KV