電子回路 - コンパレータ
概要
741
LM741
uA741
安定性と性能の向上
オペアンプ741の安定性と性能を向上させるため、以下に示す回路要素を推奨する。
- 電源端子およびGND端子
- ノイズ対策と電源の安定化のため、0.1[uF]のバイパスコンデンサを各電源端子とGND間に追加する。
- オフセット補正
- 出力オフセット電圧の補正のため、1ピンおよび5ピンに1[kΩ]~10[kΩ]の抵抗を接続する。
- ただし、精度の不要な回路では厳密な補正は不要の可能性がある。
- フィードバック回路
- 応答特性を改善させるため、
- 出力端子から反転入力端子への帰還経路に100[kΩ]程度の抵抗を接続する。
- また、必要に応じて、10[pF]~100[pF]の小容量コンデンサを並列に接続する。
- 入力保護
- サージ電圧からの保護するため、反転入力端子および非反転入力端子にそれぞれ1[kΩ]〜10[kΩ]の程度の直列抵抗を接続する。
- バイポーラ入力のオペアンプでは、入力バイアス電流が比較的大きいため、1[kΩ]〜5[kΩ]程度の小さめの抵抗を使用する。
- JFET入力のオペアンプでは、入力バイアス電流が小さいため、2[kΩ]〜10[kΩ]程度のより大きな抵抗を使用する。
- CMOS入力のオペアンプでは、入力バイアス電流が極めて小さいため、5[kΩ]〜10[kΩ]程度のより大きな抵抗を使用する。
- ただし、これらの値は以下に示すような要因も考慮する。
- 回路の帯域幅要件
- ノイズ要件
- 入力バイアス電流による電圧降下
- 実際に想定されるサージ電圧の大きさ
- 特に高速動作が必要な場合は、寄生容量の影響を考慮して、より小さな抵抗値を選択することが望ましい。
- 必要に応じて追加のTVS (過渡電圧サプレッサ) ダイオードやツェナーダイオードによる保護を検討する。
- 高周波ノイズ対策
- 高周波ノイズの除去するため、非反転入力端子とGND間に0.01[uF]のコンデンサを接続する。
低周波回路の場合は、以下に示す2つの対策を行う。
- 電源端子およびGND端子に0.1[uF]程度のバイパスコンデンサを接続する。
- 各入力端子に1〜10[kΩ]程度の入力保護抵抗を直列接続する。
使用例 : 温度制御
以下に示す回路は、周辺の温度が設定値を超えた場合、自動的にDCファンを作動させることにより、発熱する電子機器を冷却することができる。
温度が正常値に戻ると自動的に停止して、DCモータとファンを使用する。
サーミスタの特性を利用してDCモータのファンを駆動する。
サーミスタは温度依存型の抵抗器の一種であり、表面の温度に応じて抵抗値が変化する。
温度特性によって、NTCとPTCの2種類のサーミスタが存在する。
負の温度係数 (NTC) サーミスタは温度が上昇すると抵抗値が減少、正の温度係数 (PTC) サーミスタは温度が上昇すると抵抗値が増加する。
サーミスタはビーズ状の抵抗器であり、10[Ω]から数[kΩ]以上の値がある。
以下に示す回路では、10D-9 NTCサーミスタを使用している。
オペアンプ 741は電圧コンパレータとして使用しており、DCファンのスイッチングを行う。
反転入力端子は半固定抵抗を通じて調整可能な電圧を受け取り、非反転入力端子は抵抗R1とサーミスタで構成される分圧回路を通じて電圧を受け取る。
したがって、非反転入力端子の電圧はサーミスタの導電率に依存する。
温度が正常 (半固定抵抗で設定された抵抗値) の場合、反転入力端子は非反転入力端子より高い電圧となるため、オペアンプの出力ピンをHIGHにする。
これは赤色LEDで表示される。
オペアンプの出力がHIGHの場合、トランジスタQ1のベース電圧が正であるため、トランジスタはオフとなる。
この状態ではDCモータは停止している。
温度が半固定抵抗で設定された抵抗値を超えて上昇する場合、サーミスタの抵抗値が減少して、反転入力端子の電圧が低下する。
その結果、オペアンプの出力がLOWとなり、トランジスタQ1が導通する。
DCモータが作動するっことにより、空気循環を増加させて温度が下がると、ファンは自動的に停止する。
ダイオード1N4007は、トランジスタQ1がオフになった時の逆起電力を除去するために必要である。
DCモータと並列にコンデンサ (セラミックまたはフィルムコンデンサ) を接続することを推奨する。
これにより、他の機器への電磁干渉も低減することができる。
- ノイズ対策
- モータのブラシからのスパークノイズを抑制する。
- 推奨値 : 0.1[uF]
- オプションとして、0.01[uF] (高周波ノイズ用) を並列に追加する。
- サージ電圧の抑制
- スイッチング時のサージをさらに抑制する。
モータ端子間に直接コンデンサを接続する。
- コンデンサの選定
- 耐圧は、電源電圧の2倍以上
- 種類
- セラミックコンデンサまたはフィルムコンデンサが推奨される。
- これは、高周波特性が良好であり自己回復性がある。