設定 - Bind(Raspberry Pi)

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概要

DNSサーバ(BIND)は、raspberrypi.comというドメイン名からIPアドレスを返したり、IPアドレスからドメイン名を返すサーバである。

内部向けDNSサーバは、LANにあるサーバまたはクライアントPCにアクセスする時、IPアドレスではなくraspberrypi.com等のドメイン名を入力してアクセスできるようにするDNSサーバである。
外部向けDNSサーバは、WANにあるサーバまたはクライアントPCにアクセスする時、自ドメイン名からIPアドレスへの変換(名前解決)を行なうようにするDNSサーバである。

例えば、外部向けDNSサーバの設定により、自宅サーバが稼動中にも係わらず、
ダイナミックDNSサービス側が保守やトラブル等でサービスが停止したことにより、ドメイン名でサーバにアクセスできなくなるということがなくなる。

DNSサーバには、DNSキャッシュサーバとDNSコンテンツサーバの2種類があり、これらは、別の動作を行うDNSサーバである。
下表に、DNSキャッシュサーバとDNSコンテンツサーバの役割を示す。

DNSサーバの種類 役割
DNSキャッシュサーバ ドメイン名とIPアドレスの対応の問い合わせを行い、その結果をキャッシュする。
企業では、社内LANに配置される。
また、自社の管理するドメイン名を持たない。
DNSコンテンツサーバ ドメイン名とIPアドレスの対応表をゾーンという単位で管理する。
企業ではDMZに配置される。
また、自社の管理するドメイン名があり、外部からの問い合わせに応答。


※注意
外部向けDNSサーバの場合は、独自ドメイン取得済であること。
また、静的IPアドレスの場合のみである。

参考書
91WKgzqLfSL._SL1500_.jpg
Rocky Linux & AlmaLinux 実践ガイド
81KD3bqetEL._SL1500_.jpg
A Beginners Guide Raspberry Pi 5
電子計算、プログラミング、DIYプロジェクトのための
Raspberry Pi 5の作成、構築、探索のためのガイド
91pjBtGun1L._SL1500_.jpg
Managing Mission
クリティカルドメイン、DNS、ドメイン名の謎を解く



BINDのインストール

DNSサーバを構築するため、BINDをインストールする。

# 内部向けDNSサーバを構築する場合
sudo apt install bind9 bind9-utils bind9-dnsutils dns-root-data python3-ply



BINDの設定 : 内部向けDNSの場合

内部向けDNSサーバ全体の設定

BINDの全体的な動作を設定する。

sudo vi /etc/bind/named.conf.options


# /etc/bind/named.conf.optionsファイル

options {
    ...略

    # 内部向けDNSサーバの管理外の問合せ先
    ## フォワードしない場合
    forwarders {
      0.0.0.0;
    };
    ## フォワードする場合は、HGW等のIPアドレスを入力する
    forwarders {
     192.168.1.1;
    };

    ...略

    # IPv6の設定
    ## IPv6を使用する場合
    listen-on-v6 { any; };
    ## IPv6を使用しない場合
    listen-on-v6 { none; };

    ...略

    # 問い合わせを許可する範囲を指定
    ## LAN(192.168.1.*)のみ問い合わせを許可する場合
    allow-query { localhost; 192.168.1.0/24; };
    ## 全てのIPアドレスから問い合わせを許可する場合
    allow-query { any; };

    # 全てListenする場合 (未設定でもよい)
    //listen-on port 53 { localhost; };  
    //listen-on port 53 { any; };                    # 全てListenする場合
    listen-on port 53 { localhost; 192.168.1.XX; };  # LAN内のみListenする場合

    # 再帰問い合わせの設定
    # 再帰問い合わせはDNS増幅攻撃に利用されるため、外部向けDNSサーバはDNSキャッシュサーバ、内部向けDNSサーバはDNSリゾルバのように別サーバに分離することが推奨される
    ## recurionがyesの場合、DNSキャッシュサーバとして動作する
    ## recurionがnoの場合、DNSコンテンツサーバ(権威サーバ)として動作する (このDNSサーバでホストしているドメイン以外は解決しない)
    recursion no;
    ## recurionがyesの場合、受け付ける対象のホストの設定
    ## allow-recursionがanyの場合、全てのIPアドレスから受け付ける
    allow-recursion { 192.168.1.0/24; localhost; };
};


内部向けDNSサーバの正引きゾーンおよび逆引きゾーンを設定する。

sudo vi /etc/bind/named.conf.default-zones


# /etc/bind/named.conf.default-zonesファイル

...略

// 内部向けDNSサーバのゾーンの設定 (追加)
// 192.168.1.* の正引き
zone "raspberrypi.com" {
    type master;
    file "/etc/bind/raspberrypi.db";
};

// 192.168.1.* の逆引き
zone "1.168.192.in-addr.arpa" {
    type master;
    file "/etc/bind/db.1.168.192";
};


内部向け正引きゾーンデータベースの作成 (ドメイン名からIPアドレス)

この設定を有効にするには、外部向けDNSサーバを静的IPアドレスにする必要がある。

内部向けDNSサーバの正引きゾーンデータベースを作成する。
以下の例に記述しているXXやYY等のIPアドレスを、該当するクライアントPCのIPアドレスに変更すること。

sudo vi /etc/bind/raspberrypi.db


# /etc/bind/raspberrypi.dbファイル

$TTL 86400

@      IN SOA ns.raspberrypi.com.    root.raspberrypi.com. (
                                     2022041001 ; Serial  例. 作成年月日 + 01(連番)を記述する
                                     28800      ; Refresh
                                     14400      ; Retry
                                     3600000    ; Expire
                                     86400      ; Minimum TTL
)

@            IN NS ns.raspberrypi.com.
ns           IN A  192.168.1.XX  ; 内部向けDNSサーバのIPアドレス
raspi        IN A  192.168.1.XX  ; 内部向けDNSサーバのIPアドレス (別名を付けることもできる)
pc1          IN A  192.168.1.YY  ; クライアントPC 1
pc2          IN A  192.168.1.ZZ  ; クライアントPC 2
pc3          IN A  192.168.1.AA  ; クライアントPC 3


内部向け逆引きゾーンデータベースの作成 (IPアドレスからドメイン名)

この設定を有効にするには、外部向けDNSサーバを静的IPアドレスにする必要がある。

内部向けDNSサーバの逆引きゾーンデータベースを作成する。
以下の例に記述しているXXやYY等は、各クライアントPCのIPアドレスに変更すること。

sudo vi /etc/bind/db.1.168.192


# /etc/bind/db.1.168.192ファイル

$TTL 86400

@   IN SOA ns.raspberrypi.com.    root.raspberrypi.com. (
                      2022041001 ; Serial   例. 作成年月日 + 01(連番)を記述する
                      3H         ; Refresh
                      1H         ; Retry
                      1W         ; Expire
                      1D )       ; Minimum

       IN NS  ns.raspberrypi.com.  ;
       IN PTR raspberrypi.com.     ;
       IN A   255.255.255.0        ;

XX     IN PTR ns.raspberrypi.com.     ; 内部向けDNSサーバのIPアドレス
XX     IN PTR raspi.raspberrypi.com.  ; 内部向けDNSサーバのIPアドレス (別名を付けることもできる)
YY     IN PTR pc1.raspberrypi.com.    ; クライアントPC 1
ZZ     IN PTR pc2.raspberrypi.com.    ; クライアントPC 2
AA     IN PTR pc3.raspberrypi.com.    ; クライアントPC 3


設定ファイルが正常に記述されているかどうかを確認する。

sudo named-checkconf


内部向けDNSサーバの起動

内部向けDNSサーバを起動する。
firewalldをインストールしている場合は、併せて、ファイアーウォールのポート開放も行う。

sudo systemctl start named.service

sudo firewall-cmd --permanent --add-service=dns
sudo firewall-cmd --reload


内部向けDNSサーバの停止

内部向けDNSサーバを停止する。
firewalldをインストールしている場合は、併せて、ファイアーウォールのポートも閉じる。

sudo systemctl stop named.service

sudo firewall-cmd --permanent --remove-service=dns
sudo firewall-cmd --reload


クライアントPCの設定

LinuxでKDEを使用している場合、[KDEシステム設定]を起動して、[接続] - 画面左の接続名 - 画面右の[IPv4]タブ - [DNSサーバ:]項目に内部向けDNSサーバのIPアドレスを追加する。
Linuxを再起動する。

ドメイン名の正引きおよび逆引きの確認

内部向けDNSサーバと各クライアントPCの正引きおよび逆引きができるかどうかを確認する。

# 再帰問い合わせが有効の場合
nslookup ns.raspberrypi.com   # 内部向けDNSサーバの正引き
nslookup pc1.raspberrypi.com  # クライアントPC 1の正引き

nslookup 192.168.1.XX  # 内部向けDNSサーバの逆引き
nslookup 192.168.1.YY  # クライアントPC 1の逆引き

# 再帰問い合わせが無効の場合(recursion項目がnoの場合)
dig @<該当PCのIPアドレス> <該当PCのドメイン名>
例1. dig @192.168.10.5 ns.raspberrypi.net
例2. dig @192.168.10.6 pc01.raspberrypi.net