「電子部品 - ジャイロセンサ」の版間の差分

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(ページの作成:「== 概要 == ジャイロセンサ(角速度センサ)とは、回転角速度の測定を実現する慣性センサの1種である。<br> 角速度とは、ある物…」)
 
 
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[[ファイル:Electronic Parts GyroSensor 4.jpg|フレームなし|中央]]
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<center>'''図. 静電容量方式 MEMS 3軸ジャイロセンサ信号処理用ASIC(参考 : STマイクロ社)'''</center><br>
<center>'''図. 静電容量方式 MEMS 3軸ジャイロセンサ信号処理用ASIC(参考 : STマイクロ社)'''</center><br>
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== ジャイロセンサ搭載機器 ==
民生用途で使用されるジャイロセンサは、機器によって必要とされる角速度の検出範囲が非常に幅広く、それに適したジャイロセンサを選定することが重要となる。<br>
例えば、このページの初めに記載した機器でも、角速度検出範囲が大きく異なる。(下図を参照)<br>
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スマートフォンやゲーム機のユーザインタフェースとして、ジャイロセンサーの出力を利用する場合、<br>
大きく振るなどの動き(大きな検出範囲)と細かな動き(小さな検出範囲)の両方を捉える必要があるため、検出範囲を幅広く確保する必要がある。<br>
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ジャイロセンサには、検出範囲を切り替える機能が搭載されている場合が多く、1つのデバイスでレンジを切り替えることができる。<br>
例えば、STマイクロ社のL3GD20Hジャイロセンサの場合、設定により、±2000[dps]、±500[dps]、±245[dps]の検出範囲を選択することができる。<br>
カーナビ等の自律航法用にジャイロセンサの出力を利用する場合は、±100[dps]~±500[dps]程度の検出範囲を利用する。<br>
また、デジタルカメラ(またはスマートフォンに内蔵されるOISモジュールと呼ばれる光学手ブレ補正付きカメラモジュール)にジャイロセンサの出力を利用する場合、<br>
±150[dps]以下の検出範囲を利用する。<br>
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車載用途で使用されるジャイロセンサは、横滑り検知やロールオーバー検知といったアクティブセーフティやパッシブセーフティに関わる機器で用いられ、<br>
ジャイロセンサの出力範囲は±100[dps]~±300[dps]程度が利用される。<br>
この場合においても、振動型ジャイロセンサは多く利用されているが、+105[℃]や+125[℃]といった高い動作温度での特性や信頼性保証が求められたり、<br>
車に搭載することで発生する振動による悪影響を極力削減する工夫が必要になるため、民生品をそのまま車載用途に利用することはできず、<br>
車載に特化して設計・製造されている製品群から選択する必要がある。<br>
[[ファイル:Electronic Parts GyroSensor 5.jpg|フレームなし|中央]]
<center>'''図. アプリケーション別に必要とされる角速度範囲'''</center><br>
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== ジャイロセンサの選定基準 ==
機器によって角速度の検出範囲がある程度決まっても、数ある製品の中から最適な製品を絞り込むには十分と言えない。<br>
次のステップとして、以下のパラメータの対応範囲、特性、もしくは有無について検討することで、さらなる選定を進めることができる。<br>
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* 電源電圧
*: デバイスに供給する電圧値である。
*: デジタル製品の場合、デバイスのコア部に電源を供給するVdd_Coreとデバイスのインタフェース部に電源を供給するVdd_IOの2系統ある。
*: <br>
* 消費電流
*: 動作モードにより、消費する電流が異なる。
*: 間欠動作させることが多い場合、スリープモードやパワーダウンモードでの消費電流も重要となる。
*: ノーマルモードの動作はmAオーダー、スリープモードの待機電流はmAまたはuAオーダー、パワーダウンモードの待機電流はuA以下である。
*: <br>
* ゼロレート出力の温度依存性
*: ゼロレート出力値が温度により、どの程度変動するのかを表すパラメータである。
*: この数値が低いほど、温度変化に対して安定した特性を得ることができる。
*: <br>
* 感度の温度依存性
*: 感度が温度によりどの程度変動するかを表すパラメータである。
*: この数値が低いほど、温度変化に対して安定した特性を得ることができる。
*: <br>
* 出力データレート
*: 出力がどの程度頻繁に更新されるかを表すパラメータである。
*: 出力データレートが速いと消費電力が大きくなり、遅いと消費電力が小さくなる。
*: 機器に応じて必要となるデータレートは異なるが、多くの製品ではこのパラメータは調整可能なので任意に設定する。
*: <br>
* 周波数応答
*: 検出する信号の周波数帯域を示すパラメータである。
*: ジャイロセンサは、入力信号のDC成分からデバイスに内蔵されているLPFの帯域までの信号を捉えることができる。
*: また、多くの製品でHPFとそのカットオフ周波数も個別に調整可能なので、機器に応じて任意に設定する。
*: <br>
* 非線型性
*: 出力を直線で近似した値と実際の出力を比較した際に発生する誤差において、検出範囲を%で表すパラメータである。
*: この数値が低いほど、回転後に得られる出力の誤差が少ないことを示す。
*: <br>
* ノイズ密度
*: 出力に重畳されるデバイス起因のノイズを示すパラメータである。
*: ノイズが大きいと出力の解像度に影響を与え、微小な信号を捉えようとしてもノイズに埋もれて測定が困難になる。
*: <br>
* セルフテスト
*: デバイスに内蔵された自己診断機能である。
*: この機能により、セットにジャイロセンサを組み込んだ後でも、セットを動かすことなくジャイロが正常に動作しているかを判別することができる。
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[[カテゴリ:電子部品]]
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