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ベース-エミッタ間電圧V<sub>BE</sub>は約0.6[V]なので、温度が30[℃]変化すると、ベース-エミッタ間電圧VBEが約10[%]も変化する。<br> | ベース-エミッタ間電圧V<sub>BE</sub>は約0.6[V]なので、温度が30[℃]変化すると、ベース-エミッタ間電圧VBEが約10[%]も変化する。<br> | ||
これは、精度を求められる回路では全く無視できない数字となる。<br> | これは、精度を求められる回路では全く無視できない数字となる。<br> | ||
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== 電流伝達特性(I<sub>C</sub>-I<sub>B</sub>特性) == | |||
==== 電流伝達特性(I<sub>C</sub>-I<sub>B</sub>特性)とは ==== | |||
トランジスタの電流伝達特性(I<sub>C</sub>-I<sub>B</sub>特性)とは、コレクタ-エミッタ間電圧V<sub>CE</sub>を一定とした時、コレクタ電流I<sub>C</sub>とベース電流I<sub>B</sub>の関係を表した特性のことである。<br> | |||
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下図のように、コレクタ電流I<sub>C</sub>がある一定値(IC1)を超えるまでベース電流I<sub>B</sub>が増えると、コレクタ電流I<sub>C</sub>は比例して増加するため、特性の形は「線形」になる。<br> | |||
また、その比例定数は 直流電流増幅率h<sub>FE</sub>となるため、式で表すと<br> | |||
<math>I_{C} = h_{FE} \times I_{B}</math><br> | |||
となる。<br> | |||
[[ファイル:ErectricParts Transistor Characteristic 6.jpg|フレームなし|中央]] | |||
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直流電流増幅率h<sub>FE</sub>は、一般的に、数十~数百の値なので、ベース電流が10[μA]オーダーで変化すると、コレクタ電流I<sub>C</sub>はmAオーダーで変化する。<br> | |||
一方、コレクタ電流I<sub>C</sub>がある一定値を超えた時、ベース電流I<sub>B</sub>を増やしても、コレクタ電流I<sub>C</sub>が増加しなくなる。<br> | |||
これが、トランジスタの飽和である。<br> | |||
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また、トランジスタのデータシートを見ると、直流電流増幅率h<sub>FE</sub>とコレクタ電流I<sub>C</sub>の関係を表したh<sub>FE</sub>-I<sub>C</sub>特性がある。<br> | |||
下図に、2SC1815の<u>h<sub>FE</sub>-I<sub>C</sub></u>特性を示す。<br> | |||
[[ファイル:ErectricParts Transistor Characteristic 7.jpg|フレームなし|中央]] | |||
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この特性より、コレクタ電流I<sub>C</sub>はある一定値までは、直流電流増幅率h<sub>FE</sub>がほぼ一定なので、<math>I_{C} = h_{FE} \times I_{B}</math>より、<br> | |||
ベース電流I<sub>B</sub>とコレクタ電流I<sub>C</sub>は比例関係にある。<br> | |||
しかし、コレクタ電流I<sub>C</sub>がある一定値を超えると、直流電流増幅率h<sub>FE</sub>が減少するため、ベース電流I<sub>B</sub>が増加しても、<math>I_{C} = h_{FE} \times I_{B}</math>より、<br> | |||
コレクタ電流I<sub>C</sub>が増加しなくなる。<br> | |||
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<u>※補足</u><br> | |||
* <u>トランジスタをスイッチとして使用する場合</u> | |||
*: <u>ベース電流I<sub>B</sub>を増やしても、コレクタ電流I<sub>C</sub>が増加しなくなる領域(飽和領域という)を用いる。</u> | |||
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* <u>トランジスタをアンプとして使用する場合</u> | |||
*: <u>ベース電流I<sub>B</sub>とコレクタ電流I<sub>C</sub>は比例関係となる領域(活性領域という)を用いる。</u> | |||
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* <u>その他</u> | |||
*: <u>直流電流増幅率はh<sub>FE</sub>ではなくβ(ベータ)で表すこともある。</u> | |||
*: <u>一方、交流電流増幅率は、小信号電流増幅率h<sub>fe</sub>(<math>= \frac{\Delta I_{c}}{\Delta I_{b}}</math>)で表す。</u> | |||
*: <u>直流電流増幅率h<sub>FE</sub>は同一型番のトランジスタでもバラツキが大きいため、設計の際には注意が必要となる。</u> | |||
*: <br> | |||
*: <u>直流電流増幅率のh<sub>FE</sub>は、Hybrid Forward Emitterの略である。</u> | |||
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