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== | == 入力特性(I<sub>B</sub>-V<sub>BE</sub>特性)における温度特性 == | ||
<u>トランジスタの入力特性(I<sub>B</sub>-V<sub>BE</sub>特性)は、温度によって変化する。</u><br> | <u>トランジスタの入力特性(I<sub>B</sub>-V<sub>BE</sub>特性)は、温度によって変化する。</u><br> | ||
データシート上には、温度が-55[℃]、-40[℃]、-25[℃]、25[℃]、100[℃]など異なる温度の時のI<sub>B</sub>-V<sub>BE</sub>特性が記載されている。<br> | データシート上には、温度が-55[℃]、-40[℃]、-25[℃]、25[℃]、100[℃]など異なる温度の時のI<sub>B</sub>-V<sub>BE</sub>特性が記載されている。<br> | ||
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コレクタ-エミッタ間電圧V<sub>CE</sub>が6[V]、温度が-25[℃]、25[℃]、100[℃]の時の特性が記載されており、温度が高くなると特性は左側にシフトしていることが分かる。<br> | コレクタ-エミッタ間電圧V<sub>CE</sub>が6[V]、温度が-25[℃]、25[℃]、100[℃]の時の特性が記載されており、温度が高くなると特性は左側にシフトしていることが分かる。<br> | ||
[[ファイル:ErectricParts_Transistor_Characteristic_4.jpg|フレームなし|中央]] | [[ファイル:ErectricParts_Transistor_Characteristic_4.jpg|フレームなし|中央]] | ||
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== I<sub>C</sub>-V<sub>BE</sub>特性 == | |||
==== I<sub>C</sub>-V<sub>BE</sub>特性とは ==== | |||
I<sub>C</sub>-V<sub>BE</sub>特性とは、エミッタ接地トランジスタの静特性で、コレクタ電流I<sub>C</sub>とベース-エミッタ間電圧V<sub>BE</sub>の関係を表した特性である。<br> | |||
I<sub>C</sub>-V<sub>BE</sub>特性は、ベース電流I<sub>B</sub>とベース-エミッタ間電圧V<sub>BE</sub>の関係を表したV<sub>BE</sub>-I<sub>B</sub>特性と同じ形であり、<br> | |||
コレクタ電流I<sub>C</sub>は、ベース電流I<sub>B</sub>のh<sub>FE</sub>倍となる。<br> | |||
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<u>※補足</u><br> | |||
<u>ベース-エミッタ間電圧V<sub>BE</sub>とは、トランジスタのベース-エミッタ間に生じる電圧のことである。</u><br> | |||
<u>ベース-エミッタ間電圧V<sub>BE</sub>はベース電流依存性を持っており、ベース電流I<sub>B</sub>が多いほどベース-エミッタ間電圧V<sub>BE</sub>が高くなる。</u><br> | |||
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<u>ベース-エミッタ間電圧V<sub>BE</sub>がある電圧を超えると、コレクタ電流I<sub>C</sub>が流れ始める。</u><br> | |||
<u>この時、コレクタ電流I<sub>C</sub>は、ベース-エミッタ間電圧V<sub>BE</sub>の増加に対して、指数eのべき乗の関数で増加する。</u><br> | |||
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\begin{align} | |||
I_{C} &= I_{S}(\exp(\frac{V_{BE}}{V_{T}}) - 1) \\ | |||
&= I_{S}(\exp(\frac{qV_{BE}}{kT}) - 1) | |||
\end{align} | |||
</math><br> | |||
<u>ここで、I<sub>S</sub>はトランジスタの品種によって決まる逆方向飽和電流[A]、qは電子の電荷[C]、kはボルツマン定数、Tは絶対温度[K]、</u><br> | |||
<u>VBEはベース-エミッタ間電圧、VT(=q/kT)は半導体の物性で求まり27[℃](300[K])において約26[mV]となる。</u><br> | |||
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==== I<sub>C</sub>-V<sub>BE</sub>特性の温度特性 ==== | |||
I<sub>C</sub>-V<sub>BE</sub>特性は温度によって変化する。<br> | |||
データシート上には、温度が-55[℃]、-40[℃]、-25[℃]、25[℃]、100[℃]、125[℃]等の異なる温度の時のI<sub>C</sub>-V<sub>BE</sub>特性が記載されている。<br> | |||
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I<sub>C</sub>-V<sub>BE</sub>特性は、温度が高くなると、特性は左側にシフトする。<br> | |||
すなわち、温度が高くなると、同じコレクタ電流I<sub>C</sub>を流すために必要なベース-エミッタ間電圧V<sub>BE</sub>が減少する。<br> | |||
また、ベース-エミッタ間電圧V<sub>BE</sub>が一定の時は、温度が高いほどコレクタ電流I<sub>C</sub>が流れる。<br> | |||
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一般的に、ベース-エミッタ間電圧V<sub>BE</sub>は1[℃]が上がると、約2[mV]が下がると言われている。(-2[mV]/[℃])<br> | |||
例えば、温度が30[℃]変化すると、ベース-エミッタ間電圧V<sub>BE</sub>が60[mV]変化する。<br> | |||
ベース-エミッタ間電圧V<sub>BE</sub>は約0.6[V]なので、温度が30[℃]変化すると、ベース-エミッタ間電圧VBEが約10[%]も変化する。<br> | |||
これは、精度を求められる回路では全く無視できない数字となる。<br> | |||
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[[カテゴリ:電子部品]] | [[カテゴリ:電子部品]] |