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(→符号化の基礎) |
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衛星通信や光ファイバー通信等の多くのデジタル通信システムにおいて、二元対称通信路は基本的なモデルとして使用されている。<br> | 衛星通信や光ファイバー通信等の多くのデジタル通信システムにおいて、二元対称通信路は基本的なモデルとして使用されている。<br> | ||
ただし、実際の通信路はより複雑な特性を持つことが多く、より精密なモデル化が必要となる場合もある。<br> | ただし、実際の通信路はより複雑な特性を持つことが多く、より精密なモデル化が必要となる場合もある。<br> | ||
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例題: | |||
ビット誤り率 <math>p = 0.1 \quad \cdots 10[%]</math> の二元対称通信路を考える。 | |||
入力メッセージとして、"1011"のビット列を送信する。 | |||
各ビットは、次のような確率で伝送される。 | |||
* 正しく伝送される確率 : <math>1 - p = 0.9 \cdots 90[%]</math> | |||
* 反転する確率 : <math>p = 0.1 \quad \cdots 10[%]</math> | |||
例えば、この"1011"の4ビットのメッセージの伝送において、3番目のビットだけが反転した場合、出力は"1001"となる。 | |||
この特定のエラーパターンが発生する確率は、次式のように計算できる。 | |||
<math>0.9 \times 0.9 \times 0.1 \times 0.9 = 0.0729 \quad \cdots 7.29[%]</math> | |||
これは | |||
1番目のビット : 正しく伝送 (確率0.9) | |||
2番目のビット : 正しく伝送 (確率0.9) | |||
3番目のビット : 反転 (確率0.1) | |||
4番目のビット : 正しく伝送 (確率0.9) | |||
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この通信路の通信路容量C | |||
<math>p = 0.1</math> の場合は、<br> | |||
<math> | |||
\begin{align} | |||
H(0.1) &= -0.1 \times \log_{2} (0.1) - 0.9 \times \log_{2} (0.9) \\ | |||
&\approx 0.469 \mbox{[bit]} | |||
\end{align} | |||
</math><br> | |||
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したがって、通信路容量は <math>C = 1 - H(0.1) \approx 1 - 0.469 \approx 0.531 \, \mbox{[bit]/[channel]}</math> 使用する。<br> | |||
これは、理想的な符号化を行うことにより、1回のチャネル使用あたり最大で約0.531[ビット]の情報を、任意に小さい誤り確率で伝送できることを意味する。<br> | |||
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上記の計算例は、実際の通信システムの設計において、必要な誤り訂正符号の強度を決定、あるいは、達成可能な通信速度を見積もる場合に重要となる。<br> | |||
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