インストール - GDB
概要
GDBとは、UNIX系OSで標準的に利用されるデバッガの1つである。
実行形式のファイルを指定して起動すると、プログラムの実行を開始して、実行状態の監視や介入が可能となる。
特定の時点における変数などの値の表示や代入、特定の位置を指定して実行を停止(ブレークポイント)、
1命令ずつ停止させて実行(ステップ実行)等の機能を、対話的なコマンドラインインターフェースで利用することができる。
また、GDBを直接介した実行だけでなく、OS上で既に実行されているプロセスを指定して制御する(アタッチする)こともできる。
別のコンピュータ上で実行されているプログラムをデバッグする遠隔モードもあるため、組み込みソフトウェアの開発やLinuxカーネル開発などにも用いられる。
依存関係のライブラリのインストール
GDBの依存関係のライブラリをインストールする。
# RHEL sudo dnf install bison m4 flex gawk wget make texinfo gcc gcc-c++ python3-devel \ xz-devel xxhash-devel gmp-devel mpfr-devel mpc-devel isl-devel # SUSE sudo zypper install bison m4 flex gawk wget texinfo make gcc gcc-c++ python3-devel \ xz-devel xxhash-devel gmp-devel mpfr-devel mpc-devel isl-devel
Texinfoをパッケージ管理システムを使用してインストールする場合は膨大な時間が掛かるため、手動でインストールすることを推奨する。
- まず、Texinfoの公式Webサイトから、Texinfoをダウンロードする。
- 次に、Texinfoを解凍して、Texinfoディレクトリ直下にbuildディレクトリを作成する。
mkdir build
- Texinfoをビルドおよびインストールするため、以下のコマンドを実行する。
../configure --prefix=/<Texinfoのインストールディレクトリ>
make -j $(nproc)
make TEXMF=/<Texinfoのインストールディレクトリ>/texmf install-tex
make install
- .profileファイルまたは.bashrcファイル等に、以下の環境変数を追記する。
export PATH="/<Texinfoのインストールディレクトリ>/bin:$PATH"
export LD_LIBRARY_PATH="/<Texinfoのインストールディレクトリ>/lib64:$LD_LIBRARY_PATH"
GDBのインストール
GDBの公式Webサイトから、GDBのソースコードをダウンロードする。
または、以下のコマンドを実行してダウンロードする。
wget https://ftp.gnu.org/gnu/gdb/gdb-<バージョン名>.tar.xz
ダウンロードしたファイルを解凍して、解凍したディレクトリに移動する。
tar xf gdb-<バージョン名>.tar.xz cd gdb-<バージョン名>
ビルドディレクトリを作成する。
mkdir build && cd build
※注意
Qt Creatorにおいて、ユーザが個別にインストールしたGDBを使用する時は、
GDBをコンパイルする際に、以下のように、Pythonの実行ファイルとライブラリのパスを指定する必要がある。
[ -z "$PYTHON" ] && export PYTHON=<Python3の実行ファイルのフルパス>; \ export PYTHON_LIBDIR=$("$PYTHON" -c "import sysconfig; print(sysconfig.get_config_var('LIBDIR'))") 例. [ -z "$PYTHON" ] && export PYTHON=$HOME/Python/bin/python3.8; \ export PYTHON_LIBDIR=$("$PYTHON" -c "import sysconfig; print(sysconfig.get_config_var('LIBDIR'))")
以下のコマンドを実行して、GDBをインストールする。
# ネイティブ向けGDBの場合 ../configure --prefix="$HOME/InstallSoftware/GDB/GDB-<バージョン名>" \ --with-python="$PYTHON" LDFLAGS="-L$PYTHON_LIBDIR" \ --program-suffix=<サフィックス 例. _12_1> # 必要であれば、パッケージ管理システムのGDBと名前が重複しないようにすることも可能 # AArch64 クロスコンパイラ向けGDBの場合 export PATH="/<AArch64向けBinutisおよびAArch64向けGCCのインストールディレクトリ>/bin:$PATH" && \ ../configure --prefix=<AArch64クロスコンパイラ向けGCCのインストールディレクトリ> \ --build=x86_64-pc-linux-gnu --host=x86_64-pc-linux-gnu --target=aarch64-linux-gnu \ --with-python="$PYTHON" LDFLAGS="-L$PYTHON_LIBDIR -static-libstdc++" \ --disable-multilib --disable-nls \ --with-sysroot=<ターゲットのシステムルートディレクトリ> \ # 不要の可能性あり CFLAGS="-g0 -O3 -fstack-protector-strong" \ # 不要の可能性あり CXXFLAGS="-g0 -O3 -fstack-protector-strong" \ # 不要の可能性あり --program-suffix=<サフィックス 例. _12_1> # 複数のGDBと名前が重複しないようにすることも可能 # H8/300 クロスコンパイラ向けGDBの場合 export PATH="/<AArch64向けBinutisおよびAArch64向けGCCのインストールディレクトリ>/bin$PATH" && \ ../configure --prefix=<AArch64クロスコンパイラ向けGCCのインストールディレクトリ> \ --build=x86_64-pc-linux-gnu --host=x86_64-pc-linux-gnu --target=h8300-elf \ --with-python="$PYTHON" LDFLAGS="-L$PYTHON_LIBDIR -static-libstdc++" \ --disable-multilib --disable-nls \ CFLAGS="-g0 -O3 -fstack-protector-strong" \ # 不要の可能性あり CXXFLAGS="-g0 -O3 -fstack-protector-strong" \ # 不要の可能性あり --program-suffix=<サフィックス 例. _12_1> # 複数のGDBと名前が重複しないようにすることも可能 make -j $(nproc) make install # 全てインストールする場合 # または make -C gdb install # 最小限のGDBのみインストールする場合
必要に応じて、~/.profileファイル等に環境変数を設定する。
export PATH="/<GDBのインストールディレクトリ>/bin:$PATH" export LD_LIBRARY_PATH="/<GDBのインストールディレクトリ>/lib64:$LD_LIBRARY_PATH"
警告およびエラー
以下に示すような警告が出力される場合がある。
warning: File "/home/<ユーザ名>/.gdbinit" auto-loading has been declined by your `auto-load safe-path' set to "$debugdir:$datadir/auto-load".
この時、~/.gdbinitファイルを作成して、以下の設定を記述する。
vi ~/.gdbinit
# ~/.gdbinitファイル set auto-load safe-path . # ディレクトリごとに.gdbinitファイルを読み込む場合 # または set auto-load safe-path / # システム上のどこからでも.gdbinitファイルを読み込むする場合