インストール - Anaconda
概要
Pythonには、多くの便利なライブラリがあり、高度な数値計算やデータ分析、機械学習などが簡単にできるようになっている。
しかし、それらのライブラリの多くはPythonに標準で付属しておらず、ライブラリ(パッケージ)を個別でインストールして、環境を整える。
そこで、PythonのディストリビューションであるAnacondaを利用すれば、豊富なライブラリをPythonと同時にインストールできる。
Anacondaとは、Python本体とPythonでよく利用されるライブラリをセットにしたPythonパッケージである。
Anacondaをインストールするだけで、Python本体とライブラリがインストールされるため、環境構築が簡単になる。
ここでは、Anacondaのインストール方法と独自のパッケージマネージャであるcondaの簡単な使用方法を記載する。
Anacondaのインストール
まず、Anacondaのインストールに必要なライブラリをインストールする。
# RHEL sudo dnf install libXcomposite libXcursor libXi libXtst libXrandr alsa-lib mesa-libEGL libXdamage mesa-libGL libXScrnSaver # SUSE sudo zypper install libXcomposite1 libXi6 libXext6 libXau6 libX11-6 libXrandr2 libXrender1 libXss1 libXtst6 libXdamage1 libXcursor1 libxcb1 libX11-xcb1 \ libasound2 Mesa-libGL1 Mesa-libEGL1
次に、Linux向けのAnacondaインストーラをAnacondaの公式Webサイトからダウンロードする。
または、curl
コマンドまたはwget
コマンドを使用してダウンロードする。
curl -O https://repo.anaconda.com/archive/Anaconda3-<バージョン>-Linux-x86_64.sh
ダウンロードしたファイルを実行して、Anacondaをインストールする。
chmod u+x Anaconda3-<バージョン>-Linux-x86_64.sh ./Anaconda3-<バージョン>-Linux-x86_64.sh
"インストールプロセスを続行するには、使用許諾契約書を確認してください。"メッセージが表示されるので、
[Enter]ボタンを押下して、ライセンス条項を表示する。
ライセンス条項の一番下までスクロールし、[はい]チェックボックスにチェックして[同意]ボタンを押下する。
次に、インストールディレクトリを指定する。(標準のインストールパスは、PREFIX=$HOME/anaconda<バージョン>である)
インストールを続行する。 (インストールが完了するまでに数分かかる場合がある)
※注意 1
インストールパスでは、/usrディレクトリは選択しないこと。
"conda initを実行して、インストーラーにAnacondaを初期化させますか?"メッセージが表示されるので、[はい]ボタンを押下する。
(conda init
コマンドは、conda 4.6.12以降で使用できる)
※注意 2
[いいえ]ボタンを押下すると、condaは初期化せず、また.~/.bashrcファイルも変更しない。
そのため、インストール完了後に手動で初期化するには、最初にsource <condaへのパス>/bin/activate
を実行した後、conda init
コマンドを実行する必要がある。
インストールプロセスが終了する。
(インストーラは、https://www.anaconda.com/pycharm でAnaconda向けPyCharmをインストールするためのリンクを提供する)
シェルが開くたびに、ベース環境を有効にするかどうかをコントロールすることもできる。
(これは、<coode>conda initコマンドが最初に実行された場合にのみ動作する。conda init
コマンドは、conda 4.6.12以降で使用できる)
# Bash : ~/.bashrcファイル
# Zsh : ~/.zshrcファイル
# Fish : ~/.config/share/fish/config.fishファイル
# デフォルトでベース環境を有効にする
conda config --set auto_activate_base True
# デフォルトではベース環境を有効にしない
conda config --set auto_activate_base False
Anacondaの初期設定
Anacondをインストールすると、.bashrcファイルに以下の設定が追記される。
# >>> conda initialize >>>
# !! Contents within this block are managed by 'conda init' !!
__conda_setup="$('/home/ユーザ名/anaconda3/bin/conda' 'shell.bash' 'hook' 2> /dev/null)"
if [ $? -eq 0 ]; then
eval "$__conda_setup"
else
if [ -f "/home/ユーザ名/anaconda3/etc/profile.d/conda.sh" ]; then
. "/home/ユーザ名/anaconda3/etc/profile.d/conda.sh"
else
export PATH="/home/ユーザ名/anaconda3/bin:$PATH"
fi
fi
unset __conda_setup
# <<< conda initialize <<<
※注意
上記は、Anacondaのbinディレクトリが環境変数PATHに追加されるため、AnacondaのPythonが優先的に使用されることになる。
Anacondaは、conda-4.4.0から、Anacondaのbin ディレクトリを環境変数PATHに追加することを非推奨としている。
その代わりに、~/.bashrcファイルまたは~/.profileファイルに、次のように設定して、conda activateでAnacondaの環境を起動して使用することを推奨している。
. /<Anacondaのインストールディレクトリ>/etc/profile.d/conda.sh
現状のままでは、Anacondaのbinディレクトリにインストールされているopenssl等の実行ファイルがシステムの実行ファイルを乗っ取っている。
Anacondaしか使用しないのであれば問題になることは少ないが、例えば、node.jsのような他のプログラム言語を使用して開発しようとすると必ず問題が発生する。
なお、Anaconda推奨のconda.shではなく、以下のようにエイリアスを設定してもよい。
以下の例では、conda_activateとしているが、他のコマンドと衝突しなければ、caというような短い名前を付けることもできる。
alias conda_activate=". /<Anacondaのインストールディレクトリ/bin/activate"
# 以下の設定をコメントアウトする
# >>> conda initialize >>>
# !! Contents within this block are managed by 'conda init' !!
#__conda_setup="$('/home/ユーザ名/anaconda3/bin/conda' 'shell.bash' 'hook' 2> /dev/null)"
#if [ $? -eq 0 ]; then
# eval "$__conda_setup"
#else
# if [ -f "/home/ユーザ名/anaconda3/etc/profile.d/conda.sh" ]; then
# . "/home/ユーザ名/anaconda3/etc/profile.d/conda.sh"
# else
# export PATH="/home/ユーザ名/anaconda3/bin:$PATH"
# fi
#fi
#unset __conda_setup
# <<< conda initialize <<<
最後に、Anacondaの設定を有効にするため、以下のコマンドを実行する。
source ~/.bashrc
標準でベース環境をアクティブにせず、どこからでもcondaを実行するには、以下のコマンドを実行する。
conda config --set auto_activate_base False
Anacondaのアンインストール
Anacondaは、下記に示す2種類の方法で簡単にアンインストールすることができる。
単純な削除
ターミナルにて、インストールしたAnacondaディレクトリを削除する。
rm -rf ~/anaconda3/Anaconda
Anaconda-Cleanプログラムで削除
Anacondaとそのプログラムから構成ファイルとディレクトリのすべてを削除する場合、
最初に、Anaconda-Cleanをインストールおよび実行した後、単純な削除を実行する。
Anaconda-Cleanパッケージをインストールする。
conda install anaconda-clean
Anaconda関連のファイルとディレクトリを削除する。
conda anaconda-clean
Anaconda-Cleanコマンドを使用した後、上記の単純な削除を実行する。
rm -rf ~/anaconda3/Anaconda
condaの使用方法
Pythonにはpipというパッケージマネージャが存在するが、Anacondaには独自のパッケージマネージャであるcondaが付属している。
condaには多くの機能があるが、ここでは基本的な使用方法だけを記載する。
インストール済みのパッケージを表示
インストール済みのパッケージを表示するには、以下のコマンドを実行する。
conda list
パッケージの検索
パッケージの検索をするには、以下のコマンドを実行する。
conda search パッケージ名
パッケージのインストール
パッケージをインストールするには、以下のコマンドを実行する。
conda install パッケージ名
Anacondaのアップデート方法
Anaconda本体のアップデート
Anaconda本体のアップデートを行う場合、以下のコマンドを実行してアップデートする。
conda update anaconda
conda(パッケージ管理システム)のアップデート
アップデートが存在する場合は、"Proceed ([y]/n)?"と表示されるので、"y"を入力する。
conda update conda
パッケージ(ライブラリ)のアップデート
アップデートが存在する場合は、"Proceed ([y]/n)?"と表示されるので、"y"を入力する。
conda update --all
上記の2つのコマンドはセットで使用する。
個別のパッケージ(ライブラリ)をアップデートする場合は、-–allの箇所にパッケージ名を入力する。
Pythonのアップデート
Pythonのマイナーアップデート(例. 3.8.1を3.8.2にアップデート等)の場合、以下のコマンドを実行してアップデートする。
conda update python
3.7から3.8へアップデートする場合、以下のようにinstallコマンドとバージョンを指定してアップデートする。
conda install python=3.8
あるいは、後述するAnaconda Navigatorからアップデートする方法でもよい。
上記で行った各種のアップデートは、Anaconda Navigatorから行うことができる。
以下のコマンドを入力して、Anaconda Navigatorを起動する。
anaconda-navigator &
Anaconda Navigatorを起動して、画面左にある[Enviroments]を選択する。
[Enviroments]画面の右端に、アップデートがあるパッケージは青い文字と矢印で表示されるので、それを選択してアップデートする。
Anaconda Navigatorのデスクトップエントリファイルを作成することもできる。
vi ~/.local/share/applicationsディレクトリにorg.Anaconda_Navigator.desktop
# ~/.local/share/applications/org.Anaconda_Navigator.desktopファイル
[Desktop Entry]
Type=Application
Name=Anaconda Navigator
GenericName=Anaconda Navigator
Exec="/<Anacondaのインストールディレクトリ>/bin/anaconda-navigator" %F
Icon=/<Anacondaのインストールディレクトリ>/pkgs/anaconda-navigator-<バージョン>/info/recipe/navigator.ico
Categories=Development;IDE;
StartupWMClass=Anaconda_Navigator
Terminal=false
PyCharmとAnacondaの連携
Pycharmの[File]メニュー - [Default Settings]を選択する。
[Create Project]画面が開くので、画面下部の[Existing interpreter]ラジオボタンにチェックを入力して、
[Interpreter]項目に~/anaconda3/bin/python3.7ディレクトリを選択する。
Windowsの場合は、Anacondaフォルダに入っている、python.exeを選択する。