インストール - Podman
概要
コンテナとは、ソフトウェアプロセスやマイクロサービスをパッケージ化して、あらゆるコンピューティング環境で実行可能にするソフトウェアソリューションである。
コンテナに含まれるファイルには、アプリケーションコード、環境変数、設定コード、バイナリプログラム、ソフトウェアの依存関係、ライブラリ等がある。
これらのコンポーネントをバンドルするプロセスはコンテナ化と呼ばれ、最終的な製品はコンテナイメージとして知られている。
このイメージは、クラウド、オンプレミスのデータシステム、ローカルシステム等、あらゆるプラットフォームにデプロイされる。
Podman (Pod Manage) は、Open Container Initiatives (OCI) のコンテナイメージを開発、管理、本番環境で実行する時に使用するコンテナエンジンである。
OCIは、コンテナフォーマットとランタイムに関するOSレベルの仮想化ソフトウェアコンテナのオープンなガバナンス構造を実装するために設計された。
Podmanコンテナは、スーパユーザ / 非スーパーユーザのいずれでも実行可能である。
Podmanのソケットアクティベーション
ソケットアクティベーションは、systemdがソケット (TCP、UDP、Unixソケット等) を作成することで機能する。
クライアントがソケットに接続する時、systemdはソケット用に設定されたsystemdサービスを起動する。
新しく起動されたプログラムは、ソケットのファイルディスクリプタを継承して、着信した接続を受け付けることができる。 (システムコールのaccept()
を実行する)
これにより、デフォルトのsystemdソケット設定であるAccept=no
に対応し、サービスがソケットを受け付けるようになる。
Podmanは、2種類のソケットアクティベーションをサポートしている。
- APIサービスのソケットアクティベーション
- コンテナのソケット起動
Podmanのインストール
パッケージ管理システムからインストール
# RHEL sudo yum install epel-release sudo dnf install podman # SUSE sudo zypper install podman
スタティックビルド済みのPodmanの使用
Podmanのダウンロード
※注意
スタティックビルド済みのPodmanを使用する場合は、Podman Desktopが使用できないことに注意する。
PodmanのGithubにアクセスして、スタティックビルド済みのPodmanをダウンロードする。
ダウンロードしたファイルを解凍する。
tar xf podman-remote-static-linux_<アーキテクチャ名>.tar.gz cd bin mv podman-remote-static-linux_<アーキテクチャ名> podman
必要ならば、Podmanを任意のインストールディレクトリに配置する。
mkdir -p <任意のインストールディレクトリ> mv podman <任意のインストールディレクトリ>
~/.profileファイル等に、環境変数PATH
およびソケットの設定を記述する。
vi ~/.profile
# ~/.profileファイル
export PATH="<Podmanのインストールディレクトリ>:$PATH"
export DOCKER_HOST=unix:///run/user/$UID/podman/podman.sock
gvproxyのダウンロード
SUSEにおいて、パッケージ管理システムにgvproxyパッケージが存在しないため、手動でgvproxyをインストールする必要がある。
まず、gvproxyのGithubにアクセスして、gvproxyをダウンロードする。
ダウンロードしたgvproxyのファイル名を変更して、/usr/libexec/podmanディレクトリまたは/usr/local/libexec/podmanディレクトリにコピーする。
mv gvproxy-linux-<アーキテクチャ名> gvproxy sudo mkdir -p /usr/libexec/podman または sudo mkdir -p /usr/local/libexec/podman sudo mv gvproxy /usr/local/libexec/podman
ソースコードからインストール
Goのバージョンが1.16未満の場合
もし、パッケージ管理システムのGoのバージョンが1.16未満の場合は、Goの公式Webサイトにアクセスして、Goをダウンロードする。
ダウンロードしたファイルを解凍する。
tar xf go<バージョン>.linux-<アーキテクチャ名>.tar.gz mv go<バージョン>.linux-<アーキテクチャ名> Go
必要ならば、Goを任意のインストールディクトリに配置する。
mv Go <任意のインストールディレクトリ>
~/.profileファイル等に、環境変数PATH
を追記する。
export GOPATH=<Goのインストールディレクトリ>
export PATH=/<Goのインストールディレクトリ>/bin:$PATH
最新のconmonが必要な場合
最新バージョンのconmonがシステムにインストールされていることが期待される。
conmonは、OCIランタイムをモニタリングするために使用される。
conmonのビルドに必要なライブラリをインストールする。
# SUSE sudo zypper install meson ninja glib2-devel libseccomp-devel
conmonのGithubにアクセスして、ソースコードをダウンロードする。
ダウンロードしたファイルを解凍する。
tar xf conmon-<バージョン>.tar.gz cd conmon-<バージョン>
または、git clone
コマンドを実行して、ソースコードをダウンロードする。
git clone https://github.com/containers/conmon cd conmon
conmonをビルドおよびインストールする。
meson --prefix=<Podmanのインストールディレクトリ> ./build ninja -C ./build ninja -C ./build install
conmonファイルは/<Podmanのインストールディレクトリ>/liexec/podmanディレクトリにインストールされるため、binディレクトリへのシンボリックリンクを作成する。
ln -s /<Podmanのインストールディレクトリ>/liexec/podman/conmon /<Podmanのインストールディレクトリ>/bin/conmon
最新のcrun /runcが必要な場合
最新バージョンのcrun /runcがシステムにインストールされていることが期待される。
crun /runcは、Podmanによりその1つがデフォルトのランタイムとしてピックアップされる。(crunはruncよりも優先される)
crun /runcのGithubにアクセスして、ソースコードをダウンロードする。
ダウンロードしたファイルを解凍する。
tar xf runc-<バージョン>.tar.gz cd runc-<バージョン>
または、git clone
コマンドを実行して、ソースコードをダウンロードする。
git clone https://github.com/opencontainers/runc.git cd runc
crun /runcをビルドおよびインストールする。
# SELinux, SECcompを有効にする場合 make BUILDTAGS="selinux seccomp" PREFIX=<Podmanのインストールディレクトリ> -j $(nproc) # SELinux, SECcompを無効にする場合 make BUILDTAGS="" PREFIX=<Podmanのインストールディレクトリ> -j $(nproc) make PREFIX=<Podmanのインストールディレクトリ> install
CNIネットワークの設定
※注意
CNIバックエンドは非推奨であり、Podman 5.0以降ではNetavarkが優先されるため、CNIネットワークは削除される予定である。
CNIネットワーキングの基本的な設定は、Podmanのビルド時で行われており、Podmanを使用するために他の設定は必要ない。
追加の設定を行う場合は、CNIネットワークの設定ファイルをダウンロードして、/etc/containersディレクトリに配置する。
sudo mkdir -p /etc/containers sudo curl -L -o /etc/containers/registries.conf https://src.fedoraproject.org/rpms/containers-common/raw/main/f/registries.conf sudo curl -L -o /etc/containers/policy.json https://src.fedoraproject.org/rpms/containers-common/raw/main/f/default-policy.json
CNIネットワークの設定の詳細は、PodmanのGithubに記載されている。
ユーザネームスペースの有効化
Linuxカーネルがユーザネームスペースをサポートしているかどうかを確認する。
zgrep CONFIG_USER_NS /proc/config.gz # 出力例: ユーザネームスペースをサポートしている場合 CONFIG_USER_NS=y
もし、ユーザネームスペースが無効の場合は有効にする。
# ユーザネームスペースを一時的に有効にする sudo sysctl kernel.unprivileged_userns_clone=1 # ユーザネームスペースを恒久的に有効にする echo 'kernel.unprivileged_userns_clone=1' > /etc/sysctl.d/userns.conf
Podmanのビルド
Podmanのビルドに必要なライブラリをインストールする。
# RHEL sudo dnf install 'dnf-command(builddep)' sudo dnf builddep rpm/podman.spec --enablerepo=codeready-builder-for-rhel-$(rpm --eval %{?rhel})-$(uname -m)-rpms sudo dnf install conmon containers-common crun iptables netavark nftables slirp4netns # SUSE sudo zypper install pkg-config libseccomp-devel libgpgme-devel libbtrfs-devel device-mapper-devel systemd-devel libapparmor-devel protobuf-devel # Raspberry Pi / Mobian sudo apt install btrfs-progs git uidmap pkg-config crun golang-go go-md2man iptables libassuan-dev libbtrfs-dev libc6-dev libdevmapper-dev libglib2.0-dev \ libgpgme-dev libgpg-error-dev libprotobuf-dev libprotobuf-c-dev libseccomp-dev libselinux1-dev libsystemd-dev libapparmor-dev \ netavark # 古いバージョンのRaspbian OSの場合、netavarkパッケージが利用できない場合がある # その場合、containernetworking-pluginsパッケージをインストールする
PodmanのGithubにアクセスして、ソースコードをダウンロードする。
ダウンロードしたファイルを解凍する。
tar xf podman-<バージョン>.tar.gz cd podman-<バージョン>
または、git clone
コマンドを実行して、Podmanのソースコードをダウンロードすることもできる。
git clone https://github.com/containers/podman/ cd podman
Podmanをビルドおよびインストールする。
# SELinux, SECcomp (syscall filtering) を有効にする場合 make BUILDTAGS="selinux seccomp" PREFIX=<Podmanのインストールディレクトリ> -j $(nproc) # AppArmor, SECcomp (syscall filtering) を有効にする場合 make BUILDTAGS="apparmor seccomp" PREFIX=<Podmanのインストールディレクトリ> -j $(nproc) # SELinux, SECcomp (syscall filtering) を無効にする場合 make BUILDTAGS="" PREFIX=<Podmanのインストールディレクトリ> -j $(nproc) make install PREFIX=<Podmanのインストールディレクトリ>
~/.profileファイル等に、環境変数PATH
およびPodmanソケットの設定を記述する。
vi ~/.profile
# ~/.profileファイル
export PATH="/<Podmanのインストールディレクトリ>/bin:$PATH"
export DOCKER_HOST=unix:///run/user/$UID/podman/podman.sock
Podmanの設定
Dockerから移行する場合
DockerからPodman Desktopに透過的に移行するため、環境変数DOCKER_HOST
を使用することができる。
- 使い慣れたDockerコマンドを使い続けることが可能である。
- Podmanの利点を活用できる。
- GradleやTestcontainers等のツールは、再設定なしでPodmanと通信することができる。
Podmanソケットファイルの場所を確認する。
podman info --format '{{.Host.RemoteSocket.Path}}'
Podmanソケットの場所を設定するため、~/.profileファイル等に環境変数DOCKER_HOST
に記述する。
vi ~/.profile
# ~/.profileファイル
export DOCKER_HOST="unix://<Podmanソケットファイルのパス>"
Linux仮想マシンの初期化
コンテナが実行される新しいLinux仮想マシンを初期化する。
VMにアクセスするためのSSHキーが自動的に生成されて、VM内のスーパーユーザアカウントとユーザアカウントへのシステム接続が追加される。
podman machine init
デフォルトでは、VMのディストリビューションはカスタムFedoraイメージに基づくWSLを除き、Fedora CoreOSである。
一般的なFedora CoreOSのアップグレードは14日ごとに行われるが、自動アップデートのZincataはPodmanマシンでは無効になっている。
Linux仮想マシンを開始する。
podman machine start
開始後、Docker APIに関するメッセージが表示される。
これは、Docker APIフォワーディングがリッスンしているため、環境変数DOCKER_HOST
を設定することにより、Docker APIクライアントに接続することができることを表す。
API forwarding listening on: /home/user-name/.local/share/containers/podman/machine/qemu/podman.sock You can connect Docker API clients by setting DOCKER_HOST using the following command in your terminal session: export DOCKER_HOST='unix:///home/user-name/.local/share/containers/podman/machine/qemu/podman.sock'
Podmanマシンの接続の設定
各Podmanマシンは2つのデフォルト接続を公開する。
Podmanのデフォルト接続は1つのみ選択することができる。
- ルートレス
- ルートフル
Podman DesktopやKind等の他のツールはデフォルト接続に接続する。
もし、別のPodmanマシンの作成等により、デフォルトのPodmanマシン接続が変更された可能性があるイベントが発生した場合、デフォルト接続の確認と設定を検討すること。
まず、Podmanマシンの接続を確認する。
podman system connection ls
次に、Podmanマシンのデフォルト接続を任意の接続に設定する。
podman system connection default podman-machine-default # または podman system connection default podman-machine-default-root
Podmanマシンのデフォルト接続が変更されているかどうかを確認する。
podman system connection ls
デフォルト接続を持つPodmanマシンを再起動する。
podman machine stop podman machine start
Podman DesktopとPodmanの接続を更新する。
Podman Desktopのメイン画面右下にある[電球]アイコンを選択して[トラブルシューティング]ページを開き、[プロバイダーを再接続]ボタンを押下する。
Podmanの動作確認
Podmanの動作を確認するため、テストイメージをダウンロードして実行する。
podman run hello-world
Podmanコマンド
ログイン
podman loguin -u <ユーザ名> -v <登録するURL> # 例: Docker Hubにログインする場合 podman login -u <Docker Hubのユーザ名> -v https://docker.io podman login -u <Docker Hubのユーザ名> -v https://index.docker.io/v2/
認証情報は、/run/user/$UID/containers/auth.jsonファイルに保存される。
Docker Hubにログインすることにより、PodmanコマンドでDocker Hubからイメージを検索およびダウンロードすることができる。
Podmanイメージの検索
Quay (デフォルト) および他のWebサイト (登録している場合) からイメージを検索およびダウンロードする。
podman search <イメージ名>
Podmanイメージのダウンロード
podman pull <イメージ名> # 例: Ubuntuの公式イメージをダウンロード podman pull ubuntu # 例: Docker HubからApache2のイメージをダウンロード podman pull docker.io/httpd:latest
ダウンロードしたPodmanイメージの一覧の表示
podman images
Podmanイメージの削除
podman image rm <イメージID>
Podmanイメージを全て削除する。
podman image rm -f $(podman images -q)
Podmanコンテナの削除
podman container rm <コンテナID>
Podmanコンテナを全て削除する。
podman container rm -f $(podman container ps -a -q)
コンテナの起動
podman run --name <コンテナ名> -d <イメージ名> # 例: イメージ名はubuntu、コンテナ名はubuntu01として起動 podman run --name ubuntu01 -itd ubuntu /bin/bash # 例: イメージ名はhttpd、コンテナ名はwwwとして起動 # また、コンテナ内の80番ポートをホスト側の8080番にポートフォワーディングしている podman run --name www -p 8080:80 -d httpd
コンテナのプロセス確認
# 動作中のコンテナのみ表示 podman ps # 全てのコンテナを表示 podman ps -a または podman ps --all
コンテナの停止
コンテナが停止している時は、STATUSでExitedとなる。
podman stop <コンテナ名> または podman stop <コンテナID>
コマンドの実行
起動中のコンテナにコマンドを実行する。
podman exec -it <コンテナ名> /bin/bash
コンテナとホスト間のファイルコピー
ホストからコンテナにファイルをコピーする。
podman cp <ホストのファイルパス> <コンテナ名:コンテナ内の保存先> # または podman cp <ホストのファイルパス> <コンテナID:コンテナ内の保存先> # 例: podman cp sample.txt my_suse:/tmp # コンテナを実行 podman exec -it my_suse /bin/bash # cd /tmp && lsコマンドを実行してファイルを確認
コンテナからホストにファイルをコピーする。
podman cp <コンテナ名:コンテナ内のファイルパス> <ホストの保存先> # または podman cp <コンテナID:コンテナ内のファイルパス> <ホストの保存先> # 例: podman cp my_suse:/tmp/sample.txt ~/Downloads
ボリュームのマウント
コンテナにボリュームをマウントする。
-v
オプションの代わりに--mount
オプションを付加することが推奨されている。
--mount
オプションは、キーバリュー形式で各要素が指定できる。
podman container run -it --mount type=<volume, bind, tmpfsのいずれかを指定>,src=<ボリューム名>,dst=<コンテナ内のパス> <コンテナ名/イメージ名:タグ名>
--rm
オプションを付加することにより、匿名ボリュームの場合はコンテナ停止と同時にボリュームも破棄される。
名前付きボリュームの場合は、--rm
オプションを付加しても、ボリュームは破棄されない。
mountオプションで指定できる種類 | 説明 |
---|---|
type | volume 、bind 、tmpfs を指定する。
|
src | source と記述することもできる。匿名ボリュームの場合は、省略する。 名前付きボリュームの場合は、その名前を記述する。 バインドマウントの場合は、ホスト側のディレクトリを指定する。 |
dst | destination 、target と記述することもできる。コンテナ側のディレクトリを指定する。 |
- 匿名ボリューム
- ホスト側に/var/lib/podman/volumesディレクトリ内に領域が確保されて、指定したコンテナ内のディレクトリと共有される。
- 識別のためにハッシュ値が振られており、同一のネットワークからそのハッシュ値でアクセスすることができる。
podman container run --mount type=volume,dst=<コンテナ内のディレクトリパス 例: /tmp/sample> <コンテナ名/イメージ名:タグ名>
- 名前付きボリューム
- 匿名ボリュームと同様、ホスト側には/var/lib/podman/volumesディレクトリ内に領域が確保されて、指定したコンテナ内のディレクトリと共有される。
- ホスト名を指定するため、同一のネットワークからそのホスト名でアクセスすることができる。
podman container run --mount type=volume,src=<ボリューム名>,dst=<ホスト名>:<コンテナ内のディレクトリパス 例: /tmp/sample> <コンテナ名/イメージ名:タグ名>
- バインドマウント
- ホスト側のカレントディレクトリ内にある指定したディレクトリとコンテナ側の指定したディレクトリが共有される。
podman container run --mount type=bind,src=<ホスト側のディレクトリパス 例: $PWD/host-sample>,dst=<コンテナ内のディレクトリパス 例: /tmp/container-sample> <コンテナ名/イメージ名:タグ名>
ボリュームのアンマウント
podman volume umount <ボリューム名>
特定のコンテナにマウントされているボリュームをアンマウントする。
podman volume umount <コンテナID>
ボリュームの削除
podman volume rm <ボリューム名>
使用されていないボリュームを削除する。
podman volume prune
ボリュームを全て削除する。
podman volume rm $(podman volume ls -q)
コンテナのバックアップ
コンテナをイメージ化してバックアップする。
- コンテナを新しいメージとして作成する。
podman commit <コンテナID> <任意のイメージ名>
- 作成したイメージをファイルとして保存する。
podman save <上記で入力した任意のイメージ名> > <バックアップするファイル名>.tar
バックアップしたコンテナの復元
podman load -i <バックアップしたファイル名>.tar
正常に復元されているかどうかを確認する。
podman images
Podmanに関するプロセスを全て終了する
pkill
コマンドは、Linuxの基本コマンドであり、プロセスの名前や他の属性に基づいてプロセスを終了するために使用する。
これにより、podmanという名前のプロセス (Podmanが起動しているプロセス) を全て終了することができる。
pkill podman
例えば、問題が発生した場合や特定の操作が必要な場合、全てのPodmanプロセスを終了させる手段として使用されることがある。
ただし、注意が必要であり、実行中のコンテナが強制的に停止される可能性がある点に留意する必要がある。
Podmanのストレージ
コンテナ内で発生したデータは同じコンテナ内のどこかに書き込まれるが、コンテナを破棄すると同時に削除される。
コンテナを破棄してもデータは保存する場合、または、他のコンテナで再利用する場合は、コンテナ外にデータ保存領域を作成する機能を提供している。
- ボリューム
- Podmanの管理下でストレージ領域を確保する。
- ルートレスモードのデフォルトでは、~/.local/share/containersディレクトリである。
- 名前付きボリュームと匿名ボリュームがあり、名前付きの場合はホスト内で名前解決できるため簡単にアクセスすることができる。
- 匿名ボリュームは任意のハッシュ値が振られる。
- 他のプロセスからはアクセスできないため安全に使用できる。
- バインドマウント
- ホスト側のディレクトリをコンテナ内のディレクトリと共有する。
- tmpfs
- メモリ上に一時的なストレージ領域を確保する。
- 使用用途としては、機密性の高い情報を一時的にマウントする場合等がある。
-v
オプション、VOLUME
、volumes
で指定する場合に関しても、基本的には上記のいずれかを扱っている。
Containerfile
Containerfileとは
Containerfileは、コンテナイメージの作成手順を自動化する設定ファイルである。
コンテナエンジン (Podman、Buildah、Docker) は、Containerfileから指示を読み取り、イメージの作成に必要なステップを自動化する。
イメージを構築を自動化するには、Containerfileというファイルを作成する必要がある。
Containerfileには、イメージを組み立てるための手順が記述されている。
Containerfileには、Containerfileを含むコンテキストディレクトリのパスを引数として、buildah bud
、podman build
コマンドを呼び出す。
PodmanおよびBuildahのデフォルトはContainerfileであり、Dockerfileにフォールバックする。
Containerfileは、Dockerfileと同じシンタックスをサポートしている。
イメージの構築
podman build -t <任意のリポジトリ名>/<任意のタグ名> . # Containerfileのパスを指定する場合 podman build -t <任意のリポジトリ名>/<任意のタグ名> -f <Containerfileのパス>
シンタックス
FROM
FROM <pullするイメージ名>:<タグ名> # 別名を指定する場合 FROM <pullするイメージ名>:<タグ名> AS <別名> # FROM <pullするイメージ名>@<ダイジェスト名> # 別名を指定する場合 FROM <pullするイメージ名>@<ダイジェスト名> AS <別名>
MAINTAINER
MAINTAINERは生成されたイメージの作者フィールドを設定する。
ユーザにサポートのためのEメールもしくはURLを提供する場合に使用する。
MAINTAINER <作者名> <メールアドレス>
CMD
ContainerfileのCMDは1つのみ指定できる。
複数のCMDが記述されている場合は、最後のCMDのみが有効になる。
CMDには3つのシンタックスがある。
# 実行可能コマンドを指定する CMD ["<実行可能コマンド>", "<引数 1>", "<引数 2>", "<引数...>"] # 実行可能ファイルを省略する場合は、ENTRYPOINTにデフォルトの引数を指定する CMD ["<引数 1>", "<引数 2>", "<引数...>"] # シェルで実行するコマンドを指定する : /bin/sh -c "<コマンド> <引数 1> <引数 2> <引数...>" # 例: CMD echo "This is a test." | wc - CMD <コマンド> <引数 1> <引数 2> <引数...>
Podman Compose
Podman Composeについて
podman compose
コマンドは、docker-composeやpodman-composeのような外部のComposeプロバイダの薄いラッパーである。
つまり、podman compose
はConpose機能を実装する別のツールを実行するが、Composeプロバイダがローカルの Podmanソケットと透過的に通信できるように環境を設定する。
指定したオプション、コマンド、引数は直接composeプロバイダに渡される。
デフォルトのComposeプロバイダは、docker-composeとpodman-composeである。
両方ともインストールされている場合は、docker-composeが優先される。
なぜなら、docker-composeはCompose仕様のオリジナルの実装であり、サポートされているプラットフォーム (Linux、MacOS、Windows) で広く使用されているからである。
デフォルトの挙動を変更する場合や、選択したプロバイダのカスタムインストールパスが必要な場合は、containers.confファイルのcompose_provider
フィールドを変更する必要がある。
また、環境変数PODMAN_COMPOSE_PROVIDER
を設定して変更することもできる。
Podman Composeのインストール
パッケージ管理システムからインストール
# RHEL sudo dnf install podman-compose # SUSE sudo zypper install python3-podman-compose
PyPIからインストール
# Python3のルートディレクトリにインストールする場合 pip3 install podman-compose python-dotenv PyYAML # Python3のユーザディレクトリにインストールする場合 pip3 install --user podman-compose python-dotenv PyYAML # GithubからPodman Composeを直接インストールする場合 pip3 install https://github.com/containers/podman-compose/archive/devel.tar.gz pip3 install python-dotenv PyYAML
ソースコードからインストール
まず、PyYAMLおよびPython-DotEnvをインストールする。
パッケージ管理システムからPyYAMLおよびPython-DotEnvをインストールする場合、依存関係が多すぎるため、PyPIからインストールすることを推奨する。
pip3 install --user python-dotenv PyYAML
もし、CNIネットワークを使用する場合は、Podman DNSname Pluginをインストールする。
ただし、2023年以降、Podman DNSname Pluginの開発は止まっているため、netavarkとaardvark-dnsを使用することを推奨する。
# Podman DNSname Pluginのインストール git clone https://github.com/containers/dnsname.git cd dnsname make -j $(nproc) PREFIX=<Podmanのインストールディレクトリ> make install PREFIX=<Podmanのインストールディレクトリ> # netavarkおよびaardvark-dnsをパッケージ管理システムからインストール sudo zypper install netavark aardvark-dns
Podman ComposeのGithubから、ソースコードをダウンロードする。
git clone https://github.com/containers/podman-compose.git -b stable
Podman Composeをビルドおよびインストールする。
export PYTHONPATH="/<Podmanのインストールディレクトリ>/lib/python<Pythonのバージョン>/site-packages:$PYTHONPATH" python3 ./setup.py build python3 ./setup.py install --prefix=<Podmanのインストールディレクトリ>
~/.profileファイル等に、環境変数PYTHONPATH
を設定する。
export PYTHONPATH="/<Podmanのインストールディレクトリ>/lib/python<Pythonのバージョン>/site-packages:$PYTHONPATH"
Podman Desktop
Podman Desktopのインストール
Podman Desktopの公式Webサイト、または、Githubにアクセスして、Podman Desktopをダウンロードする。
ダウンロードしたファイルを解凍する。
tar xf podman-desktop-<バージョン>.tar.gz mv podman-desktop-<バージョン> Podman-Desktop
必要ならば、任意のインストールディレクトリに配置する。
mv Podman-Desktop <任意のインストールディレクトリ>
Podman Desktopのデスクトップエントリファイルを作成する。
vi ~/.local/share/applications/Podman-Desktop.desktop
# ~/.local/share/applications/Podman-Desktop.desktopファイル
[Desktop Entry]
Type=Application
Name=Podman Desktop
Exec=/<Podman Desktopのインストールディレクトリ>/podman-desktop %F
Icon=io.podman_desktop.PodmanDesktop
Categories=Development;
StartupWMClass=Podman Desktop
Terminal=false
Docker Hubの使用
Docker Hubにログインする。
podman login -u <Docker Hubのユーザ名> -v https://docker.io podman login -u <Docker Hubのユーザ名> -v https://index.docker.io/v2/
Podman Desktopを再起動する。
認証情報は、/run/user/$UID/containers/auth.jsonファイルに保存される。
ルートレスモード
ルートレスモードとは
Podmanはsetuidパッケージが不要であり、一般ユーザとしてコンテナを実行することができる。
ルートレスモードで実行する場合、Podmanコンテナはユーザネームスペースを使用して、コンテナ内のrootをPodmanを実行しているユーザに設定する。
ルートレスモードのPodmanは、コンテナを実行しているユーザには無い特権は持たず、ロックダウンされたコンテナを実行する。
これらの制限の一部は (例えば、--privileged
オプションを付加して) 解除できるが、ルートレスコンテナが起動したユーザ以上の権限を持つことはない。
一般ユーザとしてPodmanを実行する時、ホストから/etc/passwdにマウントした場合でも、一般ユーザには権限が無いため変更することはできない。
PodmanとDockerの違い
DockerとPodmanの違いの1つは、コンテナの扱い方である。
Dockerは、コンテナを実行するためにスーパーユーザ権限を必要とする。
Podmanは、スーパーユーザ権限無しでコンテナを実行することができる。
例えば、ルートレスモードのPodmanでは、ポート番号が1024番未満のポートでコンテナを起動することはできないため、1024番以上のポートを使用する必要がある。
もし、1024番未満のポートでコンテナを作成する必要がある場合は、ルートレスモードを解除してスーパーユーザ権限で実行する。
podman machine set --rootful
ルートレスモードに戻す場合は、以下に示すコマンドを実行する。
podman machine set --rootful=false
しかし、Dockerには、コンテナを作成および管理するためDocker Composeが存在する。
幸運なことに、PodmanはDocker CLIをエミュレートできるため、Docker Composeと連携することができる。