PHPとデータベース - MySQL
概要
PHPにおいて、MySQLへの接続とCRUDの手順を記載する。
MySQLの接続・切断
MySQLの接続
MySQLへ接続するには、mysqli_connect
関数を使用する。
resource mysqli_connect(string host, string username, string passwd, string dbname [, int port [, string socket ]]) MySQLサーバへ接続または再利用する。 引数: host 接続先のMySQLサーバを指定する。 <ホスト名またはIPアドレス>:<ポート番号>のように、ポート番号を指定することが可能であり、 ホスト名またはIPアドレスでは、:/path/to/socketのようにソケットへのパスを指定することも可能である。 <ホスト名またはIPアドレス>または<ホスト名またはIPアドレス>:<ポート番号>を指定する場合、 MySQLクライアントライブラリはそれをオーバーライドして、ローカルソケット(Windowsでは名前付きパイプ)に接続する。 username ユーザ名 password パスワード dbname 接続するデータベース名を指定する。 port 接続するMySQLサーバーのポート番号を指定する。 socket 使用するソケットを指定する。 戻り値: MySQLサーバへの接続オブジェクトを返す。
以下の例では、MySQLサーバへ接続している。
<?php
// データベースへの接続に必要な変数を指定
$host = 'localhost'; // 以下の指定方法も可能
// localhost:3307(ホスト名とポート番号)
// 127.0.0.1:3307(IPアドレスとポート番号)
// /tmp/mysql(ソケットのみ)
$username = 'root';
$passwd = 'root';
$dbname = 'mydb';
// データベースへ接続
$link = mysqli_connect($host, $username, $passwd, $dbname);
// 接続チェック
if(!$link)
{
die('データベースの接続に失敗しました。');
}
echo "データベースの接続に成功しました! \n";
// データベースの接続を閉じる
mysqli_close($link);
?>
MySQLの切断
MySQLへの接続を切断するには、mysqli_close
関数を使用する。
bool mysqli_close(mysqli link_identifier]) link_identifierが指すMySQLへの非持続的リンクを閉じる。 link_identifierを省略する場合、最後に開いたリンクが使用される。 持続的ではないリンクは、スクリプトの実行終了時に自動的に閉じるため、通常は、mysql_close関数は不要である。 引数: link_identifier mysqli_connect関数の戻り値のリンクIDを指定する。 戻り値: MySQLの切断に成功する場合はtrue、失敗する場合はfalseを返す。
以下の例では、MySQLへの接続を明示的に切断している。
$host = 'localhost';
$username = 'root';
$passwd = 'root';
$dbname = 'mydb';
// データベースへ接続
$link = mysqli_connect($host, $username, $passwd, $dbname);
// ...MySQLのCRUD処理
mysqli_close($link);
エラー処理
MySQLに対する処理でエラーが発生する場合、mysqli_error
関数を使用して、エラーメッセージを取得することができる。
string mysqli_error(mysqli link_identifier]) 直近のMySQL関数からのエラー文字列を返す。 MySQLのバックエンドのエラーは警告が発生しないため、 代わりに、mysqli_error関数を使用してエラー文字列を取得する。 引数: link_identifier MySQLのリンクID 戻り値: 直近のMySQL関数からのエラー文字列を返す。 エラーが発生していない場合は、空文字列を返す。
以下の例では、mysqli_connect関数でエラーが発生した場合にエラーメッセージを取得している。
$host = 'localhost';
$username = 'root';
$passwd = 'root';
$dbname = 'mydb';
// データベースへ接続
$link = mysqli_connect($host, $username, $passwd, $dbname);
if(!$link)
{
print(mysqli_error());
}
// ...MySQLに対するCRUD処理
mysqli_close($link);
MySQLの接続に失敗する場合、その後のMySQLに対する処理を実行できないため、
exit関数またはdie関数を使用して、プログラムを終了する。
exit関数およびdie関数の詳細は、PHPの基礎 - PHPの終了処理を参照すること。
$host = 'localhost';
$username = 'root';
$passwd = 'root';
$dbname = 'mydb';
// データベースへ接続
$link = mysqli_connect($host, $username, $passwd, $dbname);
if(!$link)
{
die('接続失敗です。'.mysqli_error());
}
// ...MySQLに対するCRUD処理
mysqli_close($link);
以下の例では、MySQLの接続と切断を実行している。
<?php
$host = 'localhost';
$username = 'root';
$passwd = 'root';
$dbname = 'mydb';
// データベースへ接続
$link = mysqli_connect($host, $username, $passwd, $dbname);
if(!$link)
{
die('接続失敗です。'.mysqli_error());
}
print('<p>接続に成功しました。</p>');
// ...MySQLに対するCRUD処理
$close_flag = mysqli_close($link);
if($close_flag)
{
print('<p>切断に成功しました。</p>');
}
?>
データベースの選択
MySQLへ接続後、データベースを選択するには、mysqli_select_db
関数を使用する。
bool mysqli_select_db(mysqli link_identifier, string dbname) データベース名を指定して、アクティブなデータベースに設定する。 それ以降に実行するmysqli_query関数は、全てアクティブなデータベース上で実行される。 link_identifierを指定しない場合は、直近に接続したリンクを指定したとみなされる。 mysqli_select_db関数は、接続のデフォルトデータベースを変更する際にのみ使用する。 デフォルトデータベースは、mysqli_connect関数の第4引数でも指定できる。 引数: link_identifier MySQLのリンクID database_name アクティブにするデータベース名 戻り値: 成功した場合はtrue、失敗する場合はfalseを返す。
SELECT文等のクエリを発行する場合は、アクティブなデータベースに対して実行されるため、
クエリを発行する前に、データベース名を指定してデータベースを選択する必要がある。
また、存在しないデータベースを選択する場合、以下のようなエラーが表示される。
Access denied for user '<ユーザ名>'@'<ホスト名またはIPアドレス>' to databese '<データベース名>'
<?php
$link = mysqli_connect('localhost', 'user', 'pass', 'my_db');
if(!$link)
{
die('接続失敗です。'.mysqli_error());
}
print('<p>接続に成功しました。</p>');
// 現在のデフォルトデータベース名を返す
if($result = mysqli_query($link, "SELECT DATABASE()"))
{
$row = mysqli_fetch_row($result);
printf("Default database is %s.\n", $row[0]);
mysqli_free_result($result);
}
// データベースをworldに変更する
$db_selected = mysqli_select_db($link, "world");
if(!$db_selected)
{
die('データベース選択失敗です。'.mysql_error());
}
print('<p>uriageデータベースを選択しました。</p>');
// ...MySQLに対するCRUD処理
$close_flag = mysqli_close($link);
if($close_flag)
{
print('<p>切断に成功しました。</p>');
}
?>
データの取得(SELECT文)
クエリを発行するには、mysqli_query
関数を使用する。
SQL文の最後にセミコロン(;)を付加してはならないことに注意すること。
mixed mysqli_query(mysqli link, string query [, int resultmode]) 指定したクエリを発行する。 引数: query 発行するクエリを記述したSQL。 クエリ文字列は、セミコロンを付加してはならない。 link_identifier MySQLのリンクID 戻り値: 成功した場合はtrue、失敗する場合はfalseを返す。 SELECT、SHOW、DESCRIBE、EXPLAINの場合は、mysqli_query関数は結果オブジェクトを返す。
以下の例では、一時テーブルを作成して、レコードを10行取得している。
<?php
$link = mysqli_connect("localhost", "my_user", "my_password", "my_db");
// 接続状況の確認
if(mysqli_connect_errno())
{
printf("Connect failed: %s\n", mysqli_connect_error());
exit();
}
// 一時テーブルの作成(結果セットを返さない)
if(mysqli_query($link, "CREATE TEMPORARY TABLE myCity LIKE City") === TRUE)
{
printf("Table myCity successfully created.\n");
}
// SELECT文の実行(結果セットを返す)
if($result = mysqli_query($link, "SELECT Name FROM City LIMIT 10"))
{
printf("Select returned %d rows.\n", mysqli_num_rows($result));
// 結果セットを開放する
mysqli_free_result($result);
}
// 大量のデータを取得する場合、MYSQLI_USE_RESULTを使用する
if($result = mysqli_query($link, "SELECT * FROM City", MYSQLI_USE_RESULT))
{
// この結果セットが閉じるまで、サーバとやりとりする関数は一切実行できないことに注意する
// もし、関数を実行した時、out of syncエラーが発生する
if(!mysqli_query($link, "SET @a:='this will not work'"))
{
printf("Error: %s\n", mysqli_error($link));
}
// 結果セットを開放する
mysqli_free_result($result);
}
mysqli_close($link);
?>
SELECT文は、テーブルから条件に合うレコードに含まれる指定フィールドの値を取得するものである。
したがって、結果として、複数のカラムの値が複数のレコード数だけ取得できる。
結果セットから実際のデータを取得するには、mysqli_fetch_assoc
関数を使用する。
array mysqli_fetch_assoc(mysqli_result result) mysqli_fetch_assoc関数は、取得した結果セットの最初のレコードの値を、連想配列で取得する。 連想配列のキーは、結果セットのカラムを表す。 mysqli_fetch_assoc関数の実行後、レコードは1行進む。 もし、2つ以上のカラムが同じフィールド名であった場合、最後に現れたカラムが優先され、以前のデータを上書きする。 同名の複数のカラムにアクセスする場合、mysqli_fetch_row関数を使用して数値添字配列を使用するか、カラム名にエイリアスを指定する。 注意 この関数により返されるフィー ルド名は、大文字・小文字を区別する。 カラムの値がNULLの場合、PHPのNULL値が代入される。 引数: result クエリを発行して取得した出力セットの値 戻り値: 取得したレコードにおいて、カラム名と値に対応する連想配列を返す。 結果セットの全てのレコードを取得した場合は、NULLを返す。
SELECT文の出力結果には、複数のレコードが含まれる。
出力結果のレコードに対するカーソルがあり(最初は先頭の行を指す)、mysqli_fetch_assoc
関数を実行する時、
カーソルがあるレコードに対する処理が行われて、処理が終わればカーソルは自動的に次のレコードに移る。
そのため、mysqli_fetch_assoc
関数を連続して実行することにより、出力結果に含まれる全てのレコードに対する処理が実行できる。
mysqli_fetch_assoc
関数では、現在、カーソルがあるレコードの各カラムの値を連想配列の形にして返す。
例えば、SELECT id, name from T_SampleのようなSELECT文を実行する場合、
以下のように記述することで、現在のレコードの各カラムの値を取得できる。
$result = mysqli_query($link, 'SELECT id, name from T_Sample');
$row = mysqli_fetch_assoc($result);
print($row['id']);
print($row['name']);
クエリの出力結果に含まれる全てのレコードを取得するには、以下のように記述する。
$result = mysqli_query($link, 'SELECT id, name from T_Sample');
while($row = mysqli_fetch_assoc($result))
{
print($row['id']);
print($row['name']);
}
以下の例では、データベースuriageのテーブルshouhinから該当する全てのレコードを取得している。
<?php
$link = mysqli_connect('localhost', 'user', 'passwd', 'my_db');
if(!$link)
{
die('接続失敗です。'.mysqli_error());
}
print('<p>接続に成功しました。</p>');
$db_selected = mysqli_select_db($link, 'uriage');
if(!$db_selected)
{
die('データベースの選択に失敗しました。'.mysqli_error());
}
print('<p>uriageデータベースを選択しました。</p>');
// 文字コードをutf8mb4 に変更
if(!mysqli_set_charset($link, "utf8mb4"))
{
printf('文字コードの変更に失敗しました。'.mysqli_error($link));
exit();
}
$result = mysqli_query($link, 'SELECT id,name FROM shouhin');
if(!$result)
{
die('クエリが失敗しました。'.mysqli_error());
}
while($row = mysqli_fetch_assoc($result))
{
print('<p>');
print('id='.$row['id']);
print(',name='.$row['name']);
print('</p>');
}
$close_flag = mysqli_close($link);
if($close_flag)
{
print('<p>切断に成功しました。</p>');
}
?>
※注意
MySQLの設定によっては文字化けを引き起こすため、SELECT文等の出力結果を取得する前に、
mysqli_set_charset('utf8mb4');
等を実行して、MySQLのクライアントの文字コードを変更すること。