QMLのコントロール - ListModel
概要
ListModelは、Qt Quick / QMLにおけるデータモデリングを構成する重要な要素である。
これは、QMLで使用できるモデルの1つであり、主にリスト形式のデータを扱うために使用する。
ListModelは、動的にデータを追加・削除・変更できる機能を持つ。
各アイテムはJavaScriptオブジェクトとして扱われ、キーと値のペアを保持できる。
これにより、例えば名前、年齢、住所といった複数の属性を持つデータを管理することが可能となる。
例えば、ショッピングカートの商品リスト、TODOリスト、連絡先リスト等、同じ構造を持つデータの集合を表示する場合で使用される。
ListView、GridView、PathView等のビューコンポーネントと組み合わせることにより、データの視覚的な表現を実現できる。
データの操作では、appendメソッド、insertメソッド、moveメソッド、removeメソッド、setメソッド等が存在しており、モデルの内容を動的に更新できる。
また、各アイテムのプロパティを直接変更することも可能である。
ListModelはQMLエンジンによって最適化されており、大量のデータを効率的に処理することができる。
また、モデルが変更された際に自動的に関連するビューが更新される仕組みも備えている。
C++で定義したカスタムモデルと比較すると機能は限定的であるが、単純なデータ管理であればListModelで対応することが可能である。
複雑なデータ構造や大規模なデータ操作が必要な場合は、C++でQAbstractListModelクラスを継承したカスタムモデルを定義する必要がある。
さらに、ListModelはJavaScriptの配列やオブジェクトから直接データを読み込むことができるため、JSONデータの取り扱いも可能である。
これにより、WebAPIからのデータ取得結果をモデルに反映するような実装も行うことができる。
プロパティ
countプロパティ
現在のモデル内のアイテム数を返す読み取り専用のプロパティである。
モデルの要素数を確認する、あるいは、ループ処理での終了条件として使用する。
dynamicRolesプロパティ
モデル内の各アイテムが異なるロール (プロパティ名) を持つことを許可するかどうかを制御する。
メソッド
// 以下の例で使用するListModel
ListModel {
id: myModel
// 初期データを設定
ListElement {
name: "Alice"
age: 20
}
ListElement {
name: "Bob"
age: 25
}
ListElement {
name: "Charlie"
age: 30
}
}
appendメソッド
リストの末尾に新しいアイテムを追加する。
複数のプロパティを持つオブジェクトをそのまま追加できるため、複数の情報を1度に追加することもできる。
ListModel {
id: myModel
// 初期データを設定
ListElement {
name: "Alice"
age: 20
}
ListElement {
name: "Bob"
age: 25
}
ListElement {
name: "Charlie"
age: 30
}
}
insertメソッド
指定した位置に新しいアイテムを挿入する。
これは、特定の位置にデータを追加する場合に使用する。
clearメソッド
モデル内の全てのアイテムを削除する。
removeメソッド
指定したインデックスのアイテムを削除する。
moveメソッド
アイテムを異なる位置に移動する。
getメソッド / setメソッド
データを取得および更新する。
getメソッドは、指定したインデックスのアイテムを取得する。
setメソッドは、指定したインデックスのアイテムを更新する。
setPropertyメソッド
特定のアイテムの個別のプロパティを更新する。
syncメソッド
別のListModelやJavaScript配列との同期を取る場合に使用する。
データソースとして与えられたアイテムの配列で、現在のモデルを更新する。
シグナルハンドラ
モデルの変更を検知するためのものが存在する。
countChangedシグナル
モデル内のアイテム数が変更された場合に発生する。
これを利用することにより、モデルの状態変化に応じて処理を実行することができる。
その他のシグナル
各アイテムのプロパティ変更を検知するためのシグナルも使用できる。
これらは動的に生成されており、プロパティ名に基づいて自動的に提供される。
例えば、nameプロパティの変更を監視する場合は、onNameChangedシグナルハンドラが使用できる。
モデルの変更操作に対するロールバック機能も提供されており、これは、特定の操作が失敗した場合、モデルの状態を以前の状態に戻すことができる。
これにより、データの整合性を保ちながら、安全な操作を実現することができる。