線積分
概要
高校で学習する積分では、積分範囲が数直線の上に乗っていた。
つまり、1変数の関数f(x)があって、そのf(x)のグラフの曲線とx軸とに挟まれた領域の面積を求めるというのが高校で学習する積分である。
2変数関数h(x,y)を考える。
この関数は土地の起伏を表しているようなイメージである。地図上の位置を(x,y)で指定すると、h(x,y)がその地点の標高を返すと考えれば理解しやすい。
この関数h(x,y)を積分する。積分範囲は、このxy平面の上を走る自由な曲線コースとする。
自由な曲線コースの上を進みながら積分する、これが線積分である。
もちろん、それを計算するためには、その曲線を具体的に指定しなければならない。
まずは、イメージを説明する。
積分コースに沿ってうねるように立てられた衝立(ついたて)のようなものを考える。
この衝立の高さはその地点でのh(x,y)を意味している。
線積分で計算したいのはこの衝立の面積である。
線積分の計算方法
xy平面上を走る曲線レールを細かく分割すると、その1つ1つはほぼ直線だとみなせる。
その微小な長さと、その近くでのh(x,y)の値とを掛け合わせたものを考えれば、それは衝立を微小な短冊状に切ったものの面積を表すことになる。
それらを全て加算すれば、望むものが得られる。
この計算をするには、コースの形がtの関数になったx(t)とy(t)で表されていると都合が良い。
コースのスタート地点が(x(a),y(a))であり、ゴール地点が(x(b),y(b))であり、a≦t≦bであるようなtによって(x(t),y(t))で示されるようにする。
(変数tは時刻であるかのようなイメージである)
時刻tからt+Δtまでの微小時間Δt内にコース上の点が動く距離を考える。
最初(x(t),y(t))にあった点が(x(t+Δt),y(t+Δt))にまで移動することになる。微小な時間だから、ほぼ直線的に移動したものと考える。
すると移動距離Δlは三平方の定理により、次式のように表せる。
また、ほぼ直線的に変化しているので、x(t+Δt)−x(t)は、y(t+Δt)−y(t)はと近似できる。
ここで、Δtが無限に小さいと考えれば、次式のようになる。
このdlが微小時間dtに点がコース上を進む微小距離である。
x(t)とy(t)が具体的に分かっていれば、tのみの関数として表される。(1変数の関数f(x)を積分するときのdxに相当する部分である)
この地点でのh(x,y)の値は、tの時とt+dtの時とでほとんど同じ値なので、h(x(t),y(t))を使用する。
次のようにすれば、線積分の計算ができる。
線積分の制約
上記で説明した線積分の公式の中には、x(t)とy(t)を微分したものが出てくる。
ということは、x(t)とy(t)とはどちらも滑らかでないと微分ができない。
しかし、幾つかの地点で微分ができない場合は、そこでコースを分割して別々に計算して、後で足し合わせればよい。
3次元の線積分
上記の線積分を3次元に拡張することは簡単である。
3変数関数U(x,y,z)を考え、3次元空間を自由に飛び回るコースで積分する。
要するに、3次元を走る微小な長さと、その近くでのU(x,y,z)の値とを掛けせたものを端から端までの和をとる。
考え方は上記と同様で、次のようにする。
ベクトル量の線積分
物理学では、ベクトルの概念と組み合わさった形の別の線積分が出てくるので、これだけで線積分が完全に理解できない。
それについては、別のページで記載する。