2次元ユークリッド空間R2における極座標は円座標と呼ばれ、1つの動径座標と一つの角度座標からなる最も単純な極座標である。
rθ平面、極座標平面(または平面極座標)ともいう。
特異点は(r, θ) = (0, θ)、すなわち、xy座標での原点(x, y) = (0, 0)である。
2次元ベクトル空間にも定義できることから、複素数体C上にも定義できる。この時、円座標を極形式と呼んだりもする。
その場合、オイラーの公式を利用してz = reiθと表す。
円座標平面上で偏角を限定しない場合、xy平面上で円を描く。
円座標(r, θ)から直交直線座標(x, y)への変換は次式で与えられる。
角度座標の範囲を とする場合、直交直線座標から円座標への変換は次式で与えられる。
ここで、sgnは符号関数である。
原点(x,y) = (0,0)において、特異性があり、分母が0となるためθが定まらない。
ヤコビアン
2重積分に応用するには、変数変換を行うことにより、ヤコビアンを計算してdxdyとdrdθの関係式を求める必要がある。
したがって、 となる。
例1. 円の積分
以下の2重積分を求めよ。
このように円が含まれる場合は、極座標変換 とおく。
積分範囲は、 となり、 のため、 となる。
かつ を満たすθは、 なので、
変換後の積分範囲D'は、 の形に変形でき、2重積分を計算することができる。
例2. 楕円の積分
以下の2重積分を求めよ。
積分領域Dが楕円の場合、楕円の方程式 の分母a2とb2を消すため、極座標変換を行い、
とおく。
ヤコビアンを計算して dxdyとdrdθの関係式を求める。
したがって、 となる。
また、積分範囲は、 となるので、
変換後の積分領域D'は、 の形に変形できる。