概要

ユークリッドの互除法とは、大きな整数の最大公約数を早く計算する方法である。

ここでは、ユークリッドの互除法とユークリッドの互除法の不定方程式への応用方法を記載する。


ユークリッドの互除法の性質

ユークリッドの互除法では、以下の重要な性質を用いて最大公約数の計算を行う。

重要な性質
除算の等式 :  において、"aとbの最大公約数" = "bとrの最大公約数"

実際に、ユークリッドの互除法を用いて、390と273の最大公約数を計算してみる。

まず、a = 390をb = 273で除算すると、q = 1、r = 117となる。
 
上記の性質より、"390と273の最大公約数" = "273と117の最大公約数"

次に、a = 273をb = 117で除算する。
 
上記の性質より、"273と117の最大公約数" = "117と39の最大公約数"

次に、a = 117をb = 39で除算する。
 

割り切れるということは、117と39の最大公約数は39である。

以上により、390と273の最大公約数が39であることが分かる。

このように、上記の性質を用いて、除算を繰り返して最大公約数を求める方法をユークリッドの互除法という。


ユークリッドの互除法の証明

上記の重要な性質 を証明する。

証明
aをbで除算した商をq、余りをrとおくと、 より、

aとbがともにmの倍数ならば、 もmの倍数である。
よって、"aとbの公約数"は"bとrの公約数"でもある。
したがって、 

bとrがともにmの倍数ならば、 もmの倍数である。
よって、"bとrの公約数"は"aとbの公約数"でもある。
したがって、 

以上、2つの不等式より、 となる。

除算を繰り返し行うと、余りの定義より なので、値はどんどん小さくなる。
そして、最後は必ず余りが0になって終了する。
その時の割った数が最大公約数になる。


1次不定方程式への応用

1次不定方程式 の整数解 を求める問題を考える。


 を満たす整数 を求める。
11と8にユークリッドの互除法を適用する。
 
 
 

これを遡っていく。(余りの部分を順々に代入していく)
 
 
 
 
 
これは、 の形になっている。
つまり、 が解の1つとなる。

したがって、1次不定方程式 の整数解にあるように、
解が1つ見つかれば一般解が構成できる。
一般解は、 

ポイントは、ユークリッドの互除法の式を用いて、
1を の形で表す。→ の形で表す。→ の形で表す。
と変形していくことである。