応用数学 - 1階常微分方程式

2022年11月14日 (月) 23:54時点におけるWiki (トーク | 投稿記録)による版 (→‎同次形微分方程式)

概要

1階常微分方程式としては、以下のようなものがある。
これらは方程式の形により分類される。

  • 変数分離形微分方程式
  • 同次形微分方程式
  • 1階線形微分方程式
  • ベルヌーイ形微分方程式
  • 完全微分方程式



の扱い

以下の命題は、  は、形式的に分数のように扱うことができることを示している。

命題1.
 

証明.
  とおいて、両辺をxで微分すると、 
置換積分の公式より、 
  より、
 


命題2.
 

証明.
  の両辺をdxで除算して、本来の記号   に戻すと次式となる。
 

両辺をxで積分すると次式となる。
 

左辺に対して命題1を適用すると次式となる。
 


命題3.
 

証明.
  の両辺をdxで除算して、本来の記号  に戻すと次式となる。
 

この両辺をxで積分すると次式となる。
 

左辺第2項に命題1を適用して整理する。
 



変数分離形微分方程式

f(x)をxのみの関数、g(y)をyのみの関数とする時、以下に示す形になる微分方程式を変数分離形という。
 

変数分離系の方程式は、以下のように記述することもある。

  •  
  •  
  •  


  • 変数分離形の例
     
     

  • 変数分離形ではない例
     
     


例題1. 
微分方程式の一般解を求めよ。
 

解答.
 


例題2.
微分方程式の一般解を求めよ。
 

解答.
 


例題3.
微分方程式の一般解を求めよ。
 

解答.
 


例題4.
微分方程式の一般解を求めよ。
 

解答.
  とおく。
 



同次形微分方程式

   のみの関数になっている微分方程式を、同次形微分方程式という。
 

同次形微分方程式は、変数変換することにより、変数分離形として記述できる。

変数分離形として記述できることの説明

  とおけば、  より、積の微分公式を使用して、  となる。
これを、  に代入すると、  となる。
したがって、 

これは未知関数uの変数分離形である。


同次形微分方程式の例

  •  
  •  
  •   分母分子をxで除算すると、  と記述できるため、同次形微分方程式である。


例題.
微分方程式の一般解を求めよ。
 

解答.
  とおくと、 
積の微分公式より、 

これを微分方程式に代入すると、  となり、各項を計算すると、  となる。
したがって、  であるため、変数分離形となる。

この両辺をxで積分すると、
 

  であるので、これを上式に代入すると、次式となる。
 

したがって、一般解は、
 



1階線形微分方程式

1階線形微分方程式とは

  をxのみの関数とする時、以下の形の微分方程式を、1階線形微分方程式(first-order linear differential equation)という。

 


上式(1)の中で、  の以下の方程式を同次方程式(homogeneous equation)という。

 


上式(1)の中で、  の場合の方程式を非同次方程式(inhomogeneous equation)という。

同次方程式は、変数分離形の方程式となる。

理由.
  を記述し直すと、
  となり、左辺はyのみの関数、右辺はxのみの関数となる。


• まとめ:

  • 同次方程式(変数分離形)
     
  • 非同次方程式
     


1階線形微分方程式の例

  •  
  •  
  •  


1階線形微分方程式ではない例

  •   の項があるものは、非線形である。
例.   (ベルヌーイ形の微分方程式)


1階線形微分方程式の一般解

定理
1階線形微分方程式   の一般解は、以下の公式で表される。
 

ここで、 
   の原始関数の1つ

上式にある   を積分因子(integrating factor)という。


1階線形微分方程式の一般解の証明

1階線形微分方程式   の両辺に  を乗算すると、次式が得られる。
 

ここで、  である。
なぜなら、上式(2)において、  とおくと、  であるので、合成関数の微分公式より、次式が得られるからである。
 

したがって、  を考慮して、上式(3)の左辺を記述し直すと、 
さらに、積の微分公式より、  となる。

上式(4)の両辺をxで積分すると、次式が得られる。
 

したがって、一般解は次式で表される。
 
QED.