体F上の多項式
体Fの要素を係数とする多項式を、体F上の多項式と呼ぶ。
そして、体F上の多項式間の演算は、実数体上の多項式と同様に行う。
既約多項式
体F上の多項式で、それよりも次数の低い体F上多項式に因数分解できない多項式を既約多項式という。
特に、次数がmである時、m次既約多項式という。
例.1
多項式 は、全ての係数がGF(2)の要素0、1であるから、GF(2)上の多項式である。
例.2
多項式 と は、GF(2)上の3次の既約多項式である。
例.3
5次多項式 は、 と因数分解できるため、既約多項式ではない。
GF(2)の既約多項式の求め方
m次の既約多項式を求めるには、まず、m次の次数が存在する必要がある。(例. 3次既約多項式ではx3、5次既約多項式ではx5等)
のため、係数は0、 1のいずれかである。
もし、係数が2以上の値の時は、係数に を用いて計算する。
GF(2)上の1次既約多項式を求めるには、 において、因数分解できないため、1次既約多項式は、 の2つである。
2次以降の既約多項式では、必ず定数項を含むことに注意する。
なぜなら、定数項が存在しない場合、 となり、また、f(x)は1次既約多項式xで可約だから(因数分解できるから)である。
2次既約多項式を求めるには、 とする時、 (床関数)だから、
f(x)が1次既約多項式で因数分解できなければよく、かつ、剰余定理から ならばよい。
(床関数とは、 を満たす整数nのことを と記述する。 は、xを超えない最大の整数とも言える。)
したがって、2次既約多項式は、 となる。
3次既約多項式を求めるには、 とする時、 だから、
f(x)が1次既約多項式で因数分解できなければよく、かつ、剰余定理から ならばよい。
したがって、3次既約多項式は、 の2つとなる。
4次既約多項式を求めるには、 とする時、 だから、
f(x)が2次以下の既約多項式で因数分解できなければよく、かつ、剰余定理から ならばよい。
f(x)を2次の既約多項式 で割った剰余は、
が同時に0になってはならないため、
したがって、4次既約多項式は、 の3つとなる。
5次既約多項式を、以下に示す。
- x
- 1 + x
- 1 + x + x2
- 1 + x + x3
- 1 + x + x3
- 1 + x3 + x4
- 1 + x + x2 + x3 + x4
- 1 + x + x4
- 1 + x3 + x5
- 1 + x2 + x5
- 1 + x + x2 + x3 + x5
- 1 + x + x3 + x4 + x5
- 1 + x2 + x3 + x4 + x5
- 1 + x + x2 + x4 + x5