CMake - qt finalize executableコマンド

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概要

qt_finalize_executableコマンドは、Qt 6で導入された新しいCMakeのコマンドである。
このコマンドは、Qtアプリケーションのビルドプロセスの最後に呼び出される。

Qt 6では、可能な限り、qt_finalize_executableコマンドを使用することが推奨される。
このコマンドは、アプリケーションの配布や異なる環境での実行を容易にすることができるためである。

※注意
qt_finalize_executableコマンドは、ターゲット (実行可能ファイル) が定義された後に呼び出す必要があることに注意する。

また、qt_finalize_executableコマンドを使用するには、CMake 3.16以降が必要である。


qt_finalize_executableコマンドの意味

qt_finalize_executableコマンドは、主に、実行可能ファイルに必要なQt関連のリソースや依存関係を設定するために使用される。

qt_finalize_executableコマンドの主な機能を、以下に示す。

  • 依存するQtライブラリの配置
    例: Windowsの場合は、必要なDLLを実行可能ファイルと同じディレクトリにコピーする等の処理を行う。
  • プラットフォーム固有の設定
    例: Windowsでのmanifestファイルの処理等を行う。
  • リソースファイルの処理
  • MacOSでの.appバンドルの設定


また、このコマンドを使用しなくても問題が生じにくい状況も存在する。

  • 単純なコンソールアプリケーション
  • 開発マシン上でのみ実行するアプリケーション
  • Qt Coreモジュールのみを使用する小規模なアプリケーション



qt_finalize_executableコマンドの設定

qt_finalize_executableコマンドは、Qt 6 Coreコンポーネントで定義されている。

 find_package(Qt6 REQUIRED COMPONENTS Core)


引数MANUAL_FINALIZATION (存在する場合) 以外の全ての引数は、標準のCMake add_executableコマンドに渡される。

 qt_add_executable(<プロジェクトのターゲット名>
                  [WIN32] [MACOSX_BUNDLE]
                  [MANUAL_FINALIZATION]
                  <ソースファイル 1>
                  <ソースファイル 2>
                  # ...略
 )
 
 # または
 
 qt_add_executable(<プロジェクトのターゲット名>)


以下の例では、ファイナライズは自動的に処理される。
CMake 3.18以前を使用している場合、ファイナライズは呼び出しの一部として即座に実行される。
CMake 3.19以降を使用している場合、ファイナライズは現在のディレクトリスコープの最後で行われる。

 qt_add_executable(SampleApp)



qt_finalize_executableコマンドを使用しない場合

一般的に、qt_finalize_executableコマンドの使用が推奨されているが、使用しなくても必ずしも問題が発生するわけではない。
ただし、このコマンドを省略することにより、特定の状況下で問題が生じる可能性がある。

このコマンドを使用しない場合の潜在的な問題を、以下に示す。

  • 依存関係の管理
    実行可能ファイルが必要なQtライブラリを見つけられない可能性がある。
    特に、異なるPC間でアプリケーションを実行する際に問題が発生しやすくなる。

  • プラットフォーム固有の設定
    Windows上でのmanifestファイルの処理が適切に行われない可能性がある。
    MacOS上での.appバンドルが正しく構成されない可能性がある。

  • リソースの処理
    Qtリソースシステムを使用している場合、リソースが正しく組み込まれない可能性がある。

  • プラグインの管理
    必要なQtプラグインが適切に配置されない可能性がある。