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| == ベクトルの終点の存在範囲 == | | == ベクトルの終点の存在範囲 == |
| | ==== 定義 ==== |
| ベクトルの終点の存在範囲の定義 | | ベクトルの終点の存在範囲の定義 |
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| 平行四辺形OACBの周と内部 | | 平行四辺形OACBの周と内部 |
| <math>\begin{cases} \vec{p} = s \vec{a} + t \vec{b} \\ 0 \le s \le 1 \\ 0 \le t \le 1 \\ \end{cases}</math> | | <math>\begin{cases} \vec{p} = s \vec{a} + t \vec{b} \\ 0 \le s \le 1 \\ 0 \le t \le 1 \\ \end{cases}</math> |
| | <br> |
| | ==== 直線AB ==== |
| | 異なる2点を通る直線のベクトル方程式の通り、点 <math>P(\vec{p})</math> が次式を満たしながら動く時、点 <math>P(\vec{p})</math> の存在範囲は直線ABとなる。<br> |
| | [[ファイル:Vector Equation 6.jpg|フレームなし|中央]] |
| | <br> |
| | <math> |
| | \begin{cases} |
| | \vec{p} = s \vec{a} + t \vec{b} \\ |
| | s + t = 1 |
| | \end{cases} |
| | </math><br> |
| | <br> |
| | ==== 線分AB ==== |
| | 点 <math>P(\vec{p})</math> の存在範囲を線分AB上に限定する場合を考える。<br> |
| | [[ファイル:Vector Equation 7.jpg|フレームなし|中央]] |
| | <br> |
| | * <math>t = 0 (s = 1)</math> の時、点 <math>P(\vec{p})</math> は、点 <math>A(\vec{a})</math> と一致する。 |
| | * <math>t = 0.5 (s = 0.5)</math> の時、点 <math>P(\vec{p})</math> は、線分ABの中点に位置する。 |
| | * <math>t = 1 (s = 0)</math> の時、点 <math>P(\vec{p})</math> は、点 <math>B(\vec{b})</math> と一致する。 |
| | <br> |
| | つまり、<math>0 \le t \le 1 \, \, (0 \le s \le 1)</math> の時、線分ABを表現することができる。<br> |
| | <br> |
| | <math> |
| | \begin{cases} |
| | \vec{p} = s \vec{a} + t \vec{b} \\ |
| | s + t = 1 \\ |
| | s \ge 0 \\ |
| | t \ge 0 \\ |
| | \end{cases} |
| | \qquad |
| | \mbox{は 、 線 分 AB を 表 す } |
| | </math><br> |
| | <br> |
| | ==== △OAB ==== |
| | 例えば、<math>s + t = 0.5</math> の時、次式となり、<br> |
| | tを <math>0 \le t \le 0.5</math> の範囲で変化させると、点Pは、下図(1)のように、線分ABに平行な線分A'B'上を動く。<br> |
| | [[ファイル:Vector Equation 8.jpg|フレームなし|中央]] |
| | <br> |
| | <math> |
| | \begin{align} |
| | \vec{p} &= (0.5 - t) \vec{a} + t \vec{b} \\ |
| | &= 0.5 \vec{a} + t (\vec{b} - \vec{a}) \\ |
| | &= 0.5 \overrightarrow{OA} + t \overrightarrow{AB} |
| | \end{align} |
| | </math><br> |
| | <br> |
| | そして、<math>s + t</math> を、<math>0 \le s + t \le 1</math> の範囲で変化させると、線分A'B'は、上図(2)のように、△OABの全体を動く。<br> |
| | <br> |
| | したがって、<br> |
| | <math> |
| | \begin{cases} |
| | \vec{p} = s \vec{a} + t \vec{b} \\ |
| | 0 \le s + t \le 1 \\ |
| | s \ge 0 \\ |
| | t \ge 0 \\ |
| | \end{cases} |
| | \qquad |
| | \mbox{は 、 △ OAB の 周 と 内 部 を 表 す } |
| | </math><br> |
| | <br> |
| | ==== 平行四辺形OACB ==== |
| <br><br> | | <br><br> |
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概要
ベクトル方程式とは、"ある条件を満たす点を、ベクトルで表現した式"のことである。
直線は、点の集合である。
例えば,直線
は、点(x, y)が満たす条件を式にしたもので,この条件を満たす点の集合が直線になる。
ベクトルでは、点の位置を表すために、位置ベクトルが存在する。
この位置ベクトルを利用して、曲線上の点の位置ベクトル
の満たす関係式を、その曲線のベクトル方程式という。
直線のベクトル方程式
定点
を通り、
に平行な直線のベクトル方程式
定点を通りある直線に平行な直線のベクトル方程式
定点
を通り、
でないベクトル
に平行な直線のベクトル方程式
点
を通り、
でないベクトル
に平行な直線をgとする。
点
が直線g上にあるということは、
と表すことができる。
より、


と表すことができる。
この時、
を直線gの方向ベクトルtを媒介変数という。
また、このベクトル方程式をベクトルの成分で表すことを考える。
原点をO、点Aの座標を
、直線g上の任意の点を
として、
とする時、
ベクトル方程式は、次式となる。


媒介変数tを用いて表されたこの連立方程式を、直線gの媒介変数表示という。
この連立方程式からtを消去する時、次のことが成り立つ。
点
を通り、
が方向ベクトルである直線の方程式
異なる2点を通る直線のベクトル方程式(共線条件)
異なる2点を通る直線のベクトル方程式(共線条件)の定義
異なる2点
を通る直線のベクトル方程式は、次式となる。
または
平面上の異なる2点
を通る直線上に,点
があることを考える。
この時、
と表されるので、次式となる。

上式の方程式において、
とおく時、次式としても表すことができる。

例.
の時、直線ABの式は
である。
P(x, y)として、ベクトルで考えると

したがって、次式のように媒介変数表示で表すことができる。

上記の連立方程式からtを消去すると、直線の式
が成り立つことがわかる。
定点
を通り、ベクトル
に垂直な直線のベクトル方程式
定点を通り,ある直線に垂直な直線のベクトル方程式の定義
定点
を通り、
でないベクトル
に垂直な直線のベクトル方程式
(
は直線の法線ベクトル)
下図に、定点
を通り、ベクトル
に垂直な直線を示す。
点
がこの直線上にあるということは、
である。
内積を用いて表すと、次式となる。


例. 点
、直線ABの式
とする時、この直線に垂直な直線の式を求める。
P(x, y) として、ベクトルで考えると





したがって、ベクトル方程式
を用いて、定点
を通り、ベクトル
に垂直な直線を表すことができる。
ベクトルの終点の存在範囲
定義
ベクトルの終点の存在範囲の定義
とする。(s、tは実数の変数)
s、tに条件がある時,次のような図形を表す。
直線AB
線分AB
の周と内部
平行四辺形OACBの周と内部
直線AB
異なる2点を通る直線のベクトル方程式の通り、点
が次式を満たしながら動く時、点
の存在範囲は直線ABとなる。

線分AB
点
の存在範囲を線分AB上に限定する場合を考える。
の時、点
は、点
と一致する。
の時、点
は、線分ABの中点に位置する。
の時、点
は、点
と一致する。
つまり、
の時、線分ABを表現することができる。

△OAB
例えば、
の時、次式となり、
tを
の範囲で変化させると、点Pは、下図(1)のように、線分ABに平行な線分A'B'上を動く。

そして、
を、
の範囲で変化させると、線分A'B'は、上図(2)のように、△OABの全体を動く。
したがって、

平行四辺形OACB
円のベクトル方程式
中心がC,半径がrの円のベクトル方程式
中心がC、半径がrの円のベクトル方程式の定義
3つの定点を
、円周上の任意の点を
とする。
または
中心C、半径rの円上にある点Pについて考える。
円の定義は、"中心Cからの距離がrである点の集まり"であるため、
である。
ベクトルで表すと、
である。
ゆえに、
したがって、
また、
として成分で表すと、
であり、円の方程式となる。