「Qtの基礎 - ウインドウ」の版間の差分
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return app.exec(); | return app.exec(); | ||
} | |||
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==== ウィンドウの背景を画像にする ==== | |||
<code>QStyle</code>クラスは、ウィンドウの外見を詳細に設定することができる。<br> | |||
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<code>QStyle</code>クラスを継承した派生クラスを作成して、必要な項目のうち、比較的簡単に設定できる項目である。<br> | |||
<code>QStyle</code>クラスを継承した派生クラスは数種類用意されており、OSにより使用できるものが決まっている。<br> | |||
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以下の例は、Qtに付属しているサンプルを参考にしている。(<Qtのインストールディレクトリ>/examples/widgets/stylesheetディレクトリ)<br> | |||
ここでは、examples/widgets/stylesディレクトリに合わせて、<code>QMotifStyle</code>クラスを継承した派生クラスを作成している。<br> | |||
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設定後、<code>QMainWindow</code>クラスまたは<code>QDialog</code>クラスのコンストラクタにおいて、以下のように記述して適用する。<br> | |||
<syntaxhighlight lang="c++"> | |||
QApplication::setStyle(new MyStyle); // MyStyleクラスは、QMotifStyleクラスの派生クラス | |||
</syntaxhighlight> | |||
<br> | |||
ウィンドウの背景を画像にするには、まず、<code>polish</code>メソッドをオーバーライドする。<br> | |||
次に、画像を設定するためのsetTextureメソッド(メソッド名は任意)を作成する。<br> | |||
<syntaxhighlight lang="c++"> | |||
#pragma once | |||
#include <QtGui/QMotifStyle> | |||
class MyStyle : public QMotifStyle | |||
{ | |||
public: | |||
MyStyle(); | |||
~MyStyle(); | |||
void polish(QPalette &palette); | |||
private: | |||
static void setTexture(QPalette &palette, QPalette::ColorRole role, const QPixmap &pixmap); | |||
}; | |||
</syntaxhighlight> | |||
<br> | |||
<code>polish</code>メソッドとsetTextureメソッドは、以下のように記述する。<br> | |||
背景画像は、型抜き画像としても使用することができる。したがって、背景用画像と型抜き用画像の2つを用意する必要はない。<br> | |||
<syntaxhighlight lang="c++"> | |||
void MyStyle::polish(QPalette &palette) | |||
{ | |||
QPixmap backgroundImage("window.png"); | |||
setTexture(palette, QPalette::Window, backgroundImage); | |||
} | |||
void MyStyle::setTexture(QPalette &palette, QPalette::ColorRole role, const QPixmap &pixmap) | |||
{ | |||
for(int i = 0; i < QPalette::NColorGroups; ++i) | |||
{ | |||
QColor color = palette.brush(QPalette::ColorGroup(i), role).color(); | |||
palette.setBrush(QPalette::ColorGroup(i), role, QBrush(color, pixmap)); | |||
} | |||
} | |||
</syntaxhighlight> | |||
<br> | |||
==== ボタンのスタイルの変更 ==== | |||
上記のセクションにも記述した<code>polish</code>メソッドを使用して、ボタンのスタイルを変更することができる。<br> | |||
<br> | |||
<code>QPalette</code>クラスのコンストラクタでは、ボタンの色を定義する。<br> | |||
ウィンドウおよびコントロールの設定の詳細は、[http://doc-snapshot.qt-project.org/4.8/qpalette.html Qtの公式WebサイトのQPalleteリファレンス]を参照すること。<br> | |||
<syntaxhighlight lang="c++"> | |||
void MyStyle::polish(QPalette &palette) | |||
{ | |||
QPixmap backgroundImage("window.png"); | |||
// 追加部分 : ボタンスタイルを変更 | |||
palette = QPalette(QColor(0, 0, 0, 50)); | |||
palette.setBrush(QPalette::ButtonText, Qt::cyan); | |||
setTexture(palette, QPalette::Window, backgroundImage); | |||
} | |||
</syntaxhighlight> | |||
<br> | |||
また、ボタンの背景を画像に変更するには、以下のように記述する。<br> | |||
<syntaxhighlight lang="c++"> | |||
void MyStyle::polish(QPalette &palette) | |||
{ | |||
QPixmap backgroundImage("window.png"); | |||
// 追加部分 : ボタンの背景を画像にする場合 | |||
QPixmap buttonImage("button.png"); | |||
// 追加部分 : ボタンを押下した時の背景 | |||
QPixmap midImage = buttonImage; | |||
setTexture(palette, QPalette::Button, buttonImage); | |||
setTexture(palette, QPalette::Mid, midImage); | |||
setTexture(palette, QPalette::Window, backgroundImage); | |||
} | } | ||
</syntaxhighlight> | </syntaxhighlight> | ||
2021年3月17日 (水) 06:27時点における版
概要
Qtにおいて、ウィンドウのメニューバー、ツールバー、ステータスバーの作成手順を記載する。
メニュー
サブメニュー名の&の直後の文字列がニーモニックとして使用される。
下図の"File"はQMenuクラス、"Open"はQActionクラスである。
"Open"の右側にあるアイコンを選択するとサブメニューを入力できる。
サブメニューを入力すると、その親メニュー(上図では、"Open")はQMenuクラスに変更される。
追加したアクションは、Qt Designer画面下にある[アクションエディタ]ペインに表示される。
ツールバー
ここでは、ツールバーのアイコン(24x24のpng形式が標準)を作成したとする。
リソースファイルの作成
[ファイル] - [ファイル/プロジェクトの新規作成] - 画面左の[ファイルとクラス] - [Qt] - [Qt リソースファイル]を選択する。
Qtのリソースディレクトリ名をResource、ディレクトリパスはプロジェクト直下とする。
リソースエディタを開く
Qtのメイン画面左にあるプロジェクトツリーの[Resources]直下に、リソースファイル(.qrc)が表示されるので、
リソースファイルを右クリックして、[エディタで開く]を選択する。
※注意
リソースファイルの新規作成時は、自動的にリソースエディタが開く。
新規登録
以下に、リソースファイルが空の場合の登録手順を示す。
- まず、リソースエディタを開いて、[Add Prefix]ボタンを押下する。
または、プロジェクトツリーにあるリソースファイルを右クリックして、[プレフィックスの追加...]を選択する。 - プレフィックス名に
/(スラッシュ)を入力する。 - 次に、[Add Files]ボタンを押下する。
- ファイル選択ダイアログ画面にて、リソースファイルを選択する。([Ctrl] + [A]キーで全選択できる)
※注意
プロジェクトツリーにあるリソースファイルを右クリックして、[既存ファイルの追加...]を選択する場合、既定のプレフィックスが作成される。
また、プレフィックスには任意の文字列を指定することができる。
追加登録
以下に、リソースを追加する手順を示す。
- まず、リソースエディタを開いて、プレフィックスの行を選択する。
または、プロジェクトツリーにあるプレフィックス名を右クリックして、[既存のファイルの追加...]を選択する。 - [Add Files]ボタンを押下する。
- ファイル選択ダイアログ画面にて、リソースファイルを選択する。([Ctrl] + [A]キーで全選択できる)
※注意
プロジェクトツリーのプレフィックス(/)を右クリックして、[既存のファイルを追加]を選択して登録することもできる。
リソースの削除
以下に、リソースを削除する手順を示す。
- 削除するリソースの行を選択する。
- [削除]ボタンを押下して、ファイルの削除画面を表示する。
- ファイル名を確認して、[OK]ボタンを押下する。
※注意
[Delete file permanently]にチェックを入力して削除する場合、ファイルの実体も削除される。
プロジェクトツリーで削除するリソースを右クリックして、[Remove...]を選択して削除することもできる。
リソースの保存
メニューを選択してリソースファイルを上書き保存する。
[ファイル] - [<リソースファイル名>の保存]
リソースをテキストエディタで編集する
テキストエディタを使用すると、リソースファイルの内容を直接変更することができる。
プロジェクトツリーのリソースファイル(.qrc)を右クリックして、[テキストエディタで開く]を選択する。
// リソースのテキストエディタでの編集例
<RCC>
<qresource prefix="/">
<file>images/drag.png</file>
<file>images/flower.png</file>
<file>images/photo.png</file>
</qresource>
</RCC>
※注意
テキストエディタでファイルパスの設定を削除しても、ファイルの実体が削除されることはない。
リソースの使用例
リソース名の文字列の取得
プロジェクトツリーのプレフィックスの下にリソース名が表示されている。
リソース名を右クリックして、[パス ":~" をコピー]を選択する。
使用例 1
ソフトウェアのタイトルバーのアイコンとして使用する。
// プロジェクトディレクトリ直下のimagesディレクトリ内にあるflower.pngファイル
setWindowIcon(QIcon(":/images/flower.png"));
使用例 2
ラベルにセットして、画像として表示する。
// プロジェクトディレクトリ直下のimagesディレクトリ内にあるphoto.pngファイル
std::unique_ptr<QLabel> pLabel = std::make_unique<QLabel>();
pLabel->setPixmap(QPixmap(":/images/photo.png"));
使用例 3
ドラッグ&ドロップにおいて、ドラッグ中の画像として使用する。
// プロジェクトディレクトリ直下のimagesディレクトリ内にあるdrag.pngファイル
std::unique_ptr<QDrag> pDrag = std::make_unique<QDrag>(this);
qDrag->setPixmap(QPixmap(":/images/drag.png"));
使用例 3
サブメニューにアイコンを割り当てる手順を示す。
- Qt Designer画面下のアクションエディタを右クリックして、[編集...]を選択する。
- [アクションを編集]画面が開くので、[アイコン(I):]項目の[...]ボタンを押下してリソースに登録した画像ファイルを選択する。
または、[▼]ボタンを押下して、[ファイルを選択...]から画像ファイルを選択することもできる。 - アクションエディタにて、アクションの左側に選択したアイコンが表示される。
使用例 4
ツールバーにアイコンを割り当てる手順を示す。
- ツールバーの追加は、Qt Designerに表示しているウィンドウを右クリックして、[ツールバーを追加]を選択する。
- ツールバーの追加後、アクションエディタから任意のアクションをツールバーへ、ドラッグ&ドロップする。
ステータスバー
ウインドウまたはダイアログにおいて、ステータスバーを表示する。
#include <QStatusBar>
QStatusBar StatusBar;
StatusBar->showMessage(tr("ステータスを表示中..."));
ステータスバーにプログレスバーを表示する場合、以下のように記述する。
#include <QStatusBar>
QStatusBar StatusBar;
QProgressBar bar;
StatusBar->addWidget(&bar);
bar.setMinimum(0);
bar.setMaximum(100);
for(int i = 0; i < 100; i++)
{
bar.setValue(i);
// 以下に処理を記述
// ...
}
StatusBar->removeWidget(&bar);
タブオーダーの設定
タブオーダーを無効化するには、ウインドウにある全てのウィジェットのタブオーダーを自分自身にする。
QList<QWidget *>widgets = findChildren<QWidget *>();
foreach(QWidget *widget, widgets)
{
widget->setTabOrder(widget, widget);
}
ウインドウおよびウィジェットの形状の変更
ウインドウおよびプッシュボタン等のウィジェットにおいて、形状を非矩形に変更する、および、背景を画像に変更する手順を記載する。
非矩形ウインドウ
まず、型抜き用画像を作成する。
型抜き用画像は、ウインドウの形状を表す部分を描画した画像のことであり、画像以外の箇所を透過ピクセルにする。
したがって、型抜き用画像は透過(アルファチャンネル)をサポートするフォーマットで保存する必要がある。
これは、Inkscape(ソフトウェア)を使用して、ウィンドウの形状を描画してPNG形式で保存する方法を推奨する。
次に、QMainWindowクラスまたはQDialogクラスのコンストラクタにおいて、以下のように記述する。
MainWindow::MainWindow()
{
Qt::WindowFlags flags = Qt::Dialog | Qt::MSWindowsFixedSizeDialogHint | Qt::FramelessWindowHint;
setWindowFlags(flags);
QPixmap pixmap("window.png");
setMask(pixmap.mask());
// 型抜き画像のサイズに合わせる
resize( 300, 300 );
}
ウインドウおよびウィジェットの外観の変更
例えば、ウインドウの背景色を変更する場合、QMainWindowクラスまたはQDialogクラスのコンストラクタにおいて、以下のように記述する。
MainWindow::MainWindow()
{
// 背景色を設定する
setStyleSheet("* {background-color : rgb( 255, 255, 128 )}");
// 透過率を設定する
setWindowOpacity(0.7);
}
また、上記の変更は、Qt Designerから実行することもできる。
Qt Designer画面から、ウインドウまたはウィジェットの[プロパティ] - [styleSheet]項目を選択する。
[スタイルシートを変更]画面が開くので、[〜を追加]プルダウンから"background-color"と"Opacity"のQSSを追加する。
QSSをプロジェクト全体に適用する
一般的に、QSSの設定は各ウィジェットごとに設定するが、プロジェクト全体で共通のQSSを設定することもできる。
QSSの書式や構文は、CSSとほぼ同じである。
以下の例は、Qtに付属しているサンプルを参考にしている。(<Qtのインストールディレクトリ>/examples/widgets/stylesheetディレクトリ)
まず、MainWindow.qssファイルを作成する。
// MainWindow.qss
// QPushButtonの設定例
QPushButton
{
background-color: #000088;
border-color: #000044;
border-style: solid;
border-radius: 5;
}
QPushButton:hover
{
background-color: #880000;
}
QPushButton:pressed
{
background-color: #008800;
}
次に、MainWindow.qssファイルをQApplicationクラスのsetStyleSheetメソッドに渡す。
QApplicationクラスのインスタンスはシングルトンとして生成されているため、そのインスタンスから実行する。
また、QSSファイルはリソースとして登録しておくとよい。
以下の例では、main関数でQSSファイルを読み込み、設定している。
QSSには、他にも様々なクラスやセレクタが存在する。
#include "MainWindow.h"
#include <QtCore>
int main(int argc, char *argv[])
{
QApplication app(argc, argv);
QFile file(":/qss/MainWindow.qss");
file.open( QFile::ReadOnly );
QString strStyles = QLatin1String(file.readAll());
app.setStyleSheet( strStyles );
MainWindow w;
w.show();
return app.exec();
}
ウィンドウの背景を画像にする
QStyleクラスは、ウィンドウの外見を詳細に設定することができる。
QStyleクラスを継承した派生クラスを作成して、必要な項目のうち、比較的簡単に設定できる項目である。
QStyleクラスを継承した派生クラスは数種類用意されており、OSにより使用できるものが決まっている。
以下の例は、Qtに付属しているサンプルを参考にしている。(<Qtのインストールディレクトリ>/examples/widgets/stylesheetディレクトリ)
ここでは、examples/widgets/stylesディレクトリに合わせて、QMotifStyleクラスを継承した派生クラスを作成している。
設定後、QMainWindowクラスまたはQDialogクラスのコンストラクタにおいて、以下のように記述して適用する。
QApplication::setStyle(new MyStyle); // MyStyleクラスは、QMotifStyleクラスの派生クラス
ウィンドウの背景を画像にするには、まず、polishメソッドをオーバーライドする。
次に、画像を設定するためのsetTextureメソッド(メソッド名は任意)を作成する。
#pragma once
#include <QtGui/QMotifStyle>
class MyStyle : public QMotifStyle
{
public:
MyStyle();
~MyStyle();
void polish(QPalette &palette);
private:
static void setTexture(QPalette &palette, QPalette::ColorRole role, const QPixmap &pixmap);
};
polishメソッドとsetTextureメソッドは、以下のように記述する。
背景画像は、型抜き画像としても使用することができる。したがって、背景用画像と型抜き用画像の2つを用意する必要はない。
void MyStyle::polish(QPalette &palette)
{
QPixmap backgroundImage("window.png");
setTexture(palette, QPalette::Window, backgroundImage);
}
void MyStyle::setTexture(QPalette &palette, QPalette::ColorRole role, const QPixmap &pixmap)
{
for(int i = 0; i < QPalette::NColorGroups; ++i)
{
QColor color = palette.brush(QPalette::ColorGroup(i), role).color();
palette.setBrush(QPalette::ColorGroup(i), role, QBrush(color, pixmap));
}
}
ボタンのスタイルの変更
上記のセクションにも記述したpolishメソッドを使用して、ボタンのスタイルを変更することができる。
QPaletteクラスのコンストラクタでは、ボタンの色を定義する。
ウィンドウおよびコントロールの設定の詳細は、Qtの公式WebサイトのQPalleteリファレンスを参照すること。
void MyStyle::polish(QPalette &palette)
{
QPixmap backgroundImage("window.png");
// 追加部分 : ボタンスタイルを変更
palette = QPalette(QColor(0, 0, 0, 50));
palette.setBrush(QPalette::ButtonText, Qt::cyan);
setTexture(palette, QPalette::Window, backgroundImage);
}
また、ボタンの背景を画像に変更するには、以下のように記述する。
void MyStyle::polish(QPalette &palette)
{
QPixmap backgroundImage("window.png");
// 追加部分 : ボタンの背景を画像にする場合
QPixmap buttonImage("button.png");
// 追加部分 : ボタンを押下した時の背景
QPixmap midImage = buttonImage;
setTexture(palette, QPalette::Button, buttonImage);
setTexture(palette, QPalette::Mid, midImage);
setTexture(palette, QPalette::Window, backgroundImage);
}
