「極座標」の版間の差分
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r &= \sqrt{x^{2}+y^{2}} \\ | r &= \sqrt{x^{2}+y^{2}} \\ | ||
\theta &= \operatorname{sgn}(y) \ | \theta &= \operatorname{sgn}(y) \cos^{-1} \left ( \frac{x}{\sqrt{x^{2}+y^{2}}} \right ) \\ | ||
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\begin{cases} | \begin{cases} | ||
r &= \sqrt{x^{2}+y^{2}} \\ | r &= \sqrt{x^{2}+y^{2}} \\ | ||
\theta &= \operatorname{sgn}(y) \ | \theta &= \operatorname{sgn}(y) \cos^{-1} \left ( \frac{x}{\sqrt{x^{2}+y^{2}}} \right ) \\ | ||
z &= z | z &= z | ||
\end{cases} | \end{cases} | ||
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また、変数変換を行うことにより、ヤコビアンを計算してdxdyとdrdθの関係式を求める必要がある。<br> | |||
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\begin{align} | |||
J &= | |||
\begin{vmatrix} | |||
\frac{\partial x}{\partial r} & \frac{\partial x}{\partial \theta} \\ | |||
\frac{\partial y}{\partial r} & \frac{\partial y}{\partial \theta} | |||
\end{vmatrix} \\ | |||
&= | |||
\begin{vmatrix} | |||
\cos{\theta} & -r \sin{\theta} \\ | |||
\sin{\theta} & r \cos{\theta} | |||
\end{vmatrix} \\ | |||
&= r \cos^{2}{\theta} + r \sin^{2}{\theta} \\ | |||
&= r | |||
\end{align} | |||
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したがって、<math>dxdy = r dr d \theta</math>となる。<br> | |||
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<u>例. 以下の2重積分を求めよ。</u><br> | |||
<math>\iint\limits_D xy \, dxdy</math><br> | |||
<math>D = \{ (x, y) | 1 \le x^{2} + y^{2} \le 4, x \ge 0, y \ge 0 \}</math><br> | |||
このように円が含まれる場合は、極座標変換 <math>x = r \cos{\theta}, \, y = r \sin{\theta}(r \ge 0, \, 0 \le \theta \le 2 \pi)</math>とおく。<br> | |||
積分範囲は、<math>1 \le r^{2} \le 4, \, r \cos{\theta} \ge 0, \, r \sin{\theta} \ge 0</math>となり、<math>r \ge 0</math>のため、<math>1 \le r \le 2, \, \cos{\theta} \ge 0, \, \sin{\theta} \ge 0</math>となる。<br> | |||
<math>\cos{\theta} \ge 0</math>かつ<math>\sin{\theta} \ge 0</math>を満たすθは、<math>0 \le \theta \le \frac{\pi}{2}</math>なので、<br> | |||
変換後の積分範囲D'は、<math>D' = \{ (r, \theta) | 1 \le r \le 2, \, 0 \le \theta \le \frac{\pi}{2} \}</math>の形に変形でき、2重積分を計算することができる。<br> | |||
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2020年12月9日 (水) 11:21時点における版
概要
極座標とは、n次元ユークリッド空間Rn上で定義され、1個の動径rとn − 1個の偏角θ1, ..., θn−1からなる座標系のことである。
点S(0, 0, x3, ..., xn)を除く直交座標は、局所的に一意的な極座標に座標変換できるが、
点Sにおいては、ヤコビアンが0となってしまうため、一意的な極座標表現は不可能である。
これは、点Sにおける偏角が定義できないことからも明らかである。
円座標
2次元ユークリッド空間R2における極座標は円座標と呼ばれ、1つの動径座標と一つの角度座標からなる最も単純な極座標である。
rθ平面、極座標平面(または平面極座標)ともいう。
特異点は(r, θ) = (0, θ)、すなわち、xy座標での原点(x, y) = (0, 0)である。
2次元ベクトル空間にも定義できることから、複素数体C上にも定義できる。この時、円座標を極形式と呼んだりもする。
その場合、オイラーの公式を利用してz = reiθと表す。
円座標平面上で偏角を限定しない場合、xy平面上で円を描く。
円座標(r, θ)から直交直線座標(x, y)への変換は次式で与えられる。
角度座標の範囲をとする場合、直交直線座標から円座標への変換は次式で与えられる。
ここで、sgnは符号関数である。
原点(x,y) = (0,0)において、特異性があり、分母が0となるためθが定まらない。
円柱座標
円座標で(0, 0)を除くXY平面上の全ての点を表現できることから、これにZ軸を加えれば、XYZ空間が表現できる。
これを円柱座標という。
円柱座標空間上(RθZ空間上)で、θとZを限定しない場合、XYZ空間上で円柱を描く。
また、円柱座標空間上の特異点はZ軸上の全ての点である。
円筒座標(r, θ, z) から直交直線座標(x, y, z)への変換は次式で与えられる。
直交直線座標から円筒座標への変換は、次式で与えられる。
また、変数変換を行うことにより、ヤコビアンを計算してdxdyとdrdθの関係式を求める必要がある。
したがって、となる。
例. 以下の2重積分を求めよ。
このように円が含まれる場合は、極座標変換 とおく。
積分範囲は、となり、のため、となる。
かつを満たすθは、なので、
変換後の積分範囲D'は、の形に変形でき、2重積分を計算することができる。
球座標
3次元ユークリッド空間R3における極座標である。球面座標ともいう。
1個の動径rと2個の偏角θ、φによって表現される。(下図を参照)
球座標において、動径を固定して、2個の偏角を動かせば、XYZ空間上で球を描く。
球座標から直交直線座標への変換は、次式で与えられる。
直交直線座標から球座標への変換は、次式で与えられる。
Z軸上のにおいて特異性があり、分母が0となるためφが定まらない。
原点においては、θも定まらない。