「その他 - ミラー効果とミラー容量」の版間の差分

提供:MochiuWiki - SUSE, Electronic Circuit, PCB
ナビゲーションに移動 検索に移動
(ページの作成:「== 概要 == ミラー効果』と『ミラー容量』とは? 『ミラー効果』と『ミラー容量』とは? 上図の左に示すように、電圧利得-A倍…」)
 
 
1行目: 1行目:
== 概要 ==
== 概要 ==
ミラー効果』と『ミラー容量』とは?
ここでは、ミラー効果とミラー容量について記載する。<br>
『ミラー効果』と『ミラー容量』とは?
<br><br>
上図の左に示すように、電圧利得-A倍の増幅器の入力と出力の間に容量Cが存在する場合を考えます。


この時、入力インピーダンスZINは
== ミラー効果とミラー容量とは ==
ZIN=vINiIN=1jω(1+A)C
下図左に示すように、電圧利得-A倍の増幅器の入力と出力の間に容量Cが存在する場合を考える。<br>
[[ファイル:Circuit Miller Effect 1.png|フレームなし|中央]]
<br>
この時、入力インピーダンスZ<sub>IN</sub>は、次式で表される。<br>
<math>Z_{IN} = \frac{V_{IN}}{I_{IN}} = \frac{1}{j \omega (1 + A)C}</math><br>
<br>
これは、入力側から見ると、容量Cが等価的に(1 + A)倍になっているようにみえる。<br>
これをミラー効果といい、大きくみえる容量のことをミラー容量という。<br>
<br>
<u>※補足</u><br>
<u>ミラー効果(Miller Effect)は,1920年にJohn Milton Miller氏によって発表された現象である。</u><br>
<br><br>


となります。
== ミラー効果とミラー容量の式の導出方法 ==
 
増幅器の入出力インピーダンスが理想的であるとし、入力インピーダンスは無限大とする。<br>
これは入力側から見ると、容量Cが等価的に1+A倍になっているように見えます。このことをミラー効果といい、大きく見える容量のことをミラー容量といいます。
[[ファイル:Circuit Miller Effect 2.png|フレームなし|中央]]
 
<br>
では次に、上記の式の導出方法について説明します。
この時、出力電圧V<sub>OUT</sub>と入力電圧V<sub>IN</sub>は、以下の2つの式で表される。<br>
 
<math>
補足
\begin{cases}
ミラー効果(Miller Effect)は,1920年にJohn Milton Miller氏によって発表された現象です。ミラー効果のミラーは発見した人の名前が由来となっています。
V_{OUT} &= -A V_{IN} \\
『ミラー効果』と『ミラー容量』の式の導出方法
V_{IN} &= \frac{1}{C} \int I_{IN} dt + V_{OUT}
『ミラー効果』と『ミラー容量』の式の導出方法
\end{cases}
増幅器の入出力インピーダンスが理想的であるとし、入力インピーダンスは無限大とします。
</math><br>
 
<br>
この時、出力電圧vOUTと入力電圧vINは以下の2式で表されます。
上記の2式より、入力電圧V<sub>IN</sub>は次式となる。<br>
vOUTvIN=−=AvIN1C∫iINdt+vOUT
<math>V_{IN} = \frac{1}{(1 + A)C} \int I_{IN} dt</math><br>
 
<br>
2式より入力電圧vINは以下の式となります。
ここで、上式をラプラス変換すると、次式となる。<br>
vIN=1(1+A)C∫iINdt
<math>V_{IN}(s) = \frac{1}{s(1+A)C} I_{IN}(s)</math><br>
 
<math>\frac{V_{IN}(s)}{I_{IN}(s)} = \frac{1}{s(1 + A)C}</math><br>
ここで、上式をラプラス変換すると、以下の式となります。
<br>
vIN(s)=1s(1+A)CiIN
次に、フーリエ変換を行って、sにjωを代入すると、入力インピーダンスZ<sub>IN</sub>は次式となる。<br>
 
<math>Z_{IN} = \frac{V_{IN}}{I_{IN}} = \frac{1}{j \omega (1 + A)C}</math><br>
その後、フーリエ変換を行い、sをjωに変換すると、入力インピーダンスZINは以下の式となります。
<br>
ZIN=vINiIN=1jω(1+A)C
つまり、上図左の回路を入力側から見ると、(1 + A)Cの容量のコンデンサが並列に接続されている状態と等価となる。<br>
 
そのため、上図右の等価回路に置き換えが可能となる。<br>
つまり、上図の左の回路を入力側から見ると、(1+A)Cの容量のコンデンサが並列に接続されている状態と等価となります。そのため、上図の右の等価回路に置き換えが可能となります。
<br>
 
また、上図左の回路を入力側から見ると、容量Cが等価的に(1 + A)倍になっているように見える。<br>
また、上図の左の回路を入力側から見ると、容量Cが等価的に1+A倍になっているように見えます。このことをミラー効果といいます。さらに、(1+A)Cの容量(大きく見える容量)のコンデンサをミラー容量といいます。
これをミラー効果といい、(1 + A)Cの容量(大きくみえる容量)のコンデンサをミラー容量という。<br>
<br><br>
<br><br>


__FORCETOC__
__FORCETOC__
[[カテゴリ:電子回路]]
[[カテゴリ:電子回路]]

2020年8月14日 (金) 11:01時点における最新版

概要

ここでは、ミラー効果とミラー容量について記載する。


ミラー効果とミラー容量とは

下図左に示すように、電圧利得-A倍の増幅器の入力と出力の間に容量Cが存在する場合を考える。

Circuit Miller Effect 1.png


この時、入力インピーダンスZINは、次式で表される。


これは、入力側から見ると、容量Cが等価的に(1 + A)倍になっているようにみえる。
これをミラー効果といい、大きくみえる容量のことをミラー容量という。

※補足
ミラー効果(Miller Effect)は,1920年にJohn Milton Miller氏によって発表された現象である。


ミラー効果とミラー容量の式の導出方法

増幅器の入出力インピーダンスが理想的であるとし、入力インピーダンスは無限大とする。

Circuit Miller Effect 2.png


この時、出力電圧VOUTと入力電圧VINは、以下の2つの式で表される。


上記の2式より、入力電圧VINは次式となる。


ここで、上式をラプラス変換すると、次式となる。



次に、フーリエ変換を行って、sにjωを代入すると、入力インピーダンスZINは次式となる。


つまり、上図左の回路を入力側から見ると、(1 + A)Cの容量のコンデンサが並列に接続されている状態と等価となる。
そのため、上図右の等価回路に置き換えが可能となる。

また、上図左の回路を入力側から見ると、容量Cが等価的に(1 + A)倍になっているように見える。
これをミラー効果といい、(1 + A)Cの容量(大きくみえる容量)のコンデンサをミラー容量という。