「その他 - レーザー回折・散乱法」の版間の差分
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Mie散乱理論やフラウンホーファー回折理論に基づいて解析を行う。 | |||
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動的光散乱法 (Dynamic Light Scattering : DLS) では、ブラウン運動による散乱光強度の時間変動を測定して、主に1[nm]~1[μm]の粒子径範囲に適用する。<br> | |||
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# 得られたデータを専用ソフトウェアで解析する。 | |||
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* 試料の適切な分散状態の確保 | |||
* 温度管理 (特に、DLS測定時) | |||
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また、データ解析時には適切な光学モデルの選択と屈折率データの入力が必要である。<br> | |||
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この手法の最大の特徴は、非破壊で広い粒子径範囲の測定が可能な点である。<br> | |||
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<u>一方で、試料には一定の透明度が必要であり、基本的に球形粒子を仮定した解析となることに注意する。</u><br> | |||
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光散乱現象のうち、回折とMie散乱の現象を用いるのがレーザー回折・散乱法である。<br> | |||
レーザー回折・散乱法では、粒子の大きさによって散乱光強度の散乱角度依存性 (散乱パターン) が変わるという現象を利用する。<br> | |||
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Mie散乱は複雑な式であるが、 パラメータの関係だけを示すように記述すると、次式のようになる。<br> | |||
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2025年1月11日 (土) 23:36時点における版
概要
レーザー回折・散乱法は、粉体の平均粒径や粒子の大きさ (粒度) の分布を測定する方法の1つである。
測定粒子を分散させた状態でレーザー光を照射して、散乱した光の角度等から粒度分布を算出する。
なお、粒度分布とは、試料粉体内の粒子径の存在比率を表したものである。
レーザー回折・散乱法は、一度に測定できる粒子径範囲が広く、おおよそ0.02~2,000[μm]の範囲を測定できる。
通常は試料を溶媒に分散させる湿式測定を行うが、粉のまま測定する乾式測定や高濃度試料をペースト状で測定することも可能である。
粒度分布の測定方法には、レーザー回折・散乱法以外にも次のような方法があるが、短時間で広範囲の粒度を精度よく測定できるため主流の測定方法として活用されている。
メリット
- 1度に測定できる粒子径測定範囲が広い。
- 測定時間が短時間である。
- 粒度分布の変化をリアルタイムで観察できる。
- 適用できる試料の範囲が広い。
- 再現性が高い。
- サンプリング操作が容易である
- サンプル量が少量で済む。
デメリット
- 細粒の場合、粒子の屈折率が必要になる。
- サブミクロン粒子は低精度となる。
- 機種により計算方法が異なる場合がある。
- 球形として計算するため、正確性は高くない。
- 個々の粒子径を識別する分解能は高くない。
測定の種類と測定方法
静的光散乱法
静的光散乱法 (Static Light Scattering : SLS) では、粒子による散乱光の角度分布を測定して、主に0.1[μm]~3000[μm]の粒子径範囲に適用する。
Mie散乱理論やフラウンホーファー回折理論に基づいて解析を行う。
動的光散乱法
動的光散乱法 (Dynamic Light Scattering : DLS) では、ブラウン運動による散乱光強度の時間変動を測定して、主に1[nm]~1[μm]の粒子径範囲に適用する。
自己相関関数を用いて解析を行う。
- 測定の基本的な手順としては、まず、試料を適切な分散媒に分散させて濃度を調整する。(透過率70-95[%]程度が理想的である)
- その後、レーザー光源から単色光を照射して、試料セルに導入された試料からの散乱光を複数の検出器で検出する。
- 得られたデータを専用ソフトウェアで解析する。
測定時の注意点
- 試料の適切な分散状態の確保
- 温度管理 (特に、DLS測定時)
- 振動の防止
データ解析時の注意点
また、データ解析時には適切な光学モデルの選択と屈折率データの入力が必要である。
この手法の最大の特徴は、非破壊で広い粒子径範囲の測定が可能な点である。
一方で、試料には一定の透明度が必要であり、基本的に球形粒子を仮定した解析となることに注意する。
レーザー回折・散乱法の原理
光散乱現象のうち、回折とMie散乱の現象を用いるのがレーザー回折・散乱法である。
レーザー回折・散乱法では、粒子の大きさによって散乱光強度の散乱角度依存性 (散乱パターン) が変わるという現象を利用する。
Mie散乱は複雑な式であるが、 パラメータの関係だけを示すように記述すると、次式のようになる。