「Qtの基礎 - ウインドウ」の版間の差分

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  {
  {
     widget->setTabOrder(widget, widget);
     widget->setTabOrder(widget, widget);
}
</syntaxhighlight>
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== ウインドウおよびウィジェットの形状の変更 ==
ウインドウおよびプッシュボタン等のウィジェットにおいて、形状を非矩形に変更する、および、背景を画像に変更する手順を記載する。<br>
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==== 非矩形ウインドウ ====
まず、型抜き用画像を作成する。<br>
型抜き用画像は、ウインドウの形状を表す部分を描画した画像のことであり、画像以外の箇所を透過ピクセルにする。<br>
したがって、型抜き用画像は透過(アルファチャンネル)をサポートするフォーマットで保存する必要がある。<br>
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これは、[https://inkscape.org/ja/ Inkscape](ソフトウェア)を使用して、ウィンドウの形状を描画してPNG形式で保存する方法を推奨する。<br>
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次に、QMainWindowクラスまたはQDialogクラスのコンストラクタにおいて、以下のように記述する。<br>
<syntaxhighlight lang="c++">
MainWindow::MainWindow()
{
    Qt::WindowFlags flags = Qt::Dialog | Qt::MSWindowsFixedSizeDialogHint | Qt::FramelessWindowHint;
    setWindowFlags(flags);
    QPixmap pixmap("window.png");
    setMask(pixmap.mask());
    // 型抜き画像のサイズに合わせる
    resize( 300, 300 );
}
</syntaxhighlight>
<br>
==== ウインドウおよびウィジェットの外観の変更 ====
例えば、ウインドウの背景色を変更する場合、QMainWindowクラスまたはQDialogクラスのコンストラクタにおいて、以下のように記述する。
<syntaxhighlight lang="c++">
MainWindow::MainWindow()
{
    // 背景色を設定する
    setStyleSheet("* {background-color : rgb( 255, 255, 128 )}");
    // 透過率を設定する
    setWindowOpacity(0.7);
}
</syntaxhighlight>
<br>
また、上記の変更は、Qt Designerから実行することもできる。<br>
Qt Designer画面から、ウインドウまたはウィジェットの[プロパティ] - [styleSheet]項目を選択する。<br>
[スタイルシートを変更]画面が開くので、[〜を追加]プルダウンから"background-color"と"Opacity"のQSSを追加する。<br>
<br>
==== QSSをプロジェクト全体に適用する ====
一般的に、QSSの設定は各ウィジェットごとに設定するが、プロジェクト全体で共通のQSSを設定することもできる。<br>
QSSの書式や構文は、CSSとほぼ同じである。<br>
<br>
以下の例は、Qtに付属しているサンプルを参考にしている。(<Qtのインストールディレクトリ>/examples/widgets/stylesheetディレクトリ)<br>
まず、MainWindow.qssファイルを作成する。<br>
<syntaxhighlight lang="css">
// MainWindow.qss
// QPushButtonの設定例
QPushButton
{
    background-color: #000088;
    border-color: #000044;
    border-style: solid;
    border-radius: 5;
}
QPushButton:hover
{
  background-color: #880000;
}
QPushButton:pressed
{
    background-color: #008800;
}
</syntaxhighlight>
<br>
次に、MainWindow.qssファイルをQApplicationクラスのsetStyleSheetメソッドに渡す。<br>
QApplicationクラスのインスタンスはシングルトンとして生成されているため、そのインスタンスから実行する。<br>
また、QSSファイルはリソースとして登録しておくとよい。<br>
<br>
以下の例では、main関数でQSSファイルを読み込み、設定している。<br>
QSSには、他にも様々なクラスやセレクタが存在する。<br>
<syntaxhighlight lang="c++">
#include "MainWindow.h"
#include <QtCore>
int main(int argc, char *argv[])
{
    QApplication app(argc, argv);
    QFile file(":/qss/MainWindow.qss");
    file.open( QFile::ReadOnly );
    QString strStyles = QLatin1String(file.readAll());
    app.setStyleSheet( strStyles );
    MainWindow w;
    w.show();
    return app.exec();
  }
  }
  </syntaxhighlight>
  </syntaxhighlight>

2021年3月11日 (木) 20:39時点における版

概要

Qtにおいて、ウィンドウのメニューバー、ツールバー、ステータスバーの作成手順を記載する。


メニュー

サブメニュー名の&の直後の文字列がニーモニックとして使用される。

下図の"File"はQMenuクラス、"Open"はQActionクラスである。

Qt Basic Window 1.jpg


"Open"の右側にあるアイコンを選択するとサブメニューを入力できる。
サブメニューを入力すると、その親メニュー(上図では、"Open")はQMenuクラスに変更される。

追加したアクションは、Qt Designer画面下にある[アクションエディタ]ペインに表示される。

Qt Basic Window 2.jpg



ツールバー

ここでは、ツールバーのアイコン(24x24のpng形式が標準)を作成したとする。

リソースファイルの作成

[ファイル] - [ファイル/プロジェクトの新規作成] - 画面左の[ファイルとクラス] - [Qt] - [Qt リソースファイル]を選択する。
Qtのリソースディレクトリ名をResource、ディレクトリパスはプロジェクト直下とする。

リソースエディタを開く

Qtのメイン画面左にあるプロジェクトツリーの[Resources]直下に、リソースファイル(.qrc)が表示されるので、
リソースファイルを右クリックして、[エディタで開く]を選択する。

※注意
リソースファイルの新規作成時は、自動的にリソースエディタが開く。

新規登録

以下に、リソースファイルが空の場合の登録手順を示す。

  1. まず、リソースエディタを開いて、[Add Prefix]ボタンを押下する。
    または、プロジェクトツリーにあるリソースファイルを右クリックして、[プレフィックスの追加...]を選択する。
  2. プレフィックス名に/(スラッシュ)を入力する。
  3. 次に、[Add Files]ボタンを押下する。
  4. ファイル選択ダイアログ画面にて、リソースファイルを選択する。([Ctrl] + [A]キーで全選択できる)


※注意
プロジェクトツリーにあるリソースファイルを右クリックして、[既存ファイルの追加...]を選択する場合、既定のプレフィックスが作成される。
また、プレフィックスには任意の文字列を指定することができる。

追加登録

以下に、リソースを追加する手順を示す。

  1. まず、リソースエディタを開いて、プレフィックスの行を選択する。
    または、プロジェクトツリーにあるプレフィックス名を右クリックして、[既存のファイルの追加...]を選択する。
  2. [Add Files]ボタンを押下する。
  3. ファイル選択ダイアログ画面にて、リソースファイルを選択する。([Ctrl] + [A]キーで全選択できる)


※注意
プロジェクトツリーのプレフィックス(/)を右クリックして、[既存のファイルを追加]を選択して登録することもできる。

リソースの削除

以下に、リソースを削除する手順を示す。

  1. 削除するリソースの行を選択する。
  2. [削除]ボタンを押下して、ファイルの削除画面を表示する。
  3. ファイル名を確認して、[OK]ボタンを押下する。


※注意
[Delete file permanently]にチェックを入力して削除する場合、ファイルの実体も削除される。
プロジェクトツリーで削除するリソースを右クリックして、[Remove...]を選択して削除することもできる。

リソースの保存

メニューを選択してリソースファイルを上書き保存する。
[ファイル] - [<リソースファイル名>の保存]


リソースをテキストエディタで編集する

テキストエディタを使用すると、リソースファイルの内容を直接変更することができる。

プロジェクトツリーのリソースファイル(.qrc)を右クリックして、[テキストエディタで開く]を選択する。

 // リソースのテキストエディタでの編集例
 <RCC>
    <qresource prefix="/">
       <file>images/drag.png</file>
       <file>images/flower.png</file>
       <file>images/photo.png</file>
    </qresource>
 </RCC>


※注意
テキストエディタでファイルパスの設定を削除しても、ファイルの実体が削除されることはない。


リソースの使用例

リソース名の文字列の取得

プロジェクトツリーのプレフィックスの下にリソース名が表示されている。

リソース名を右クリックして、[パス ":~" をコピー]を選択する。

使用例 1

ソフトウェアのタイトルバーのアイコンとして使用する。

 // プロジェクトディレクトリ直下のimagesディレクトリ内にあるflower.pngファイル
 setWindowIcon(QIcon(":/images/flower.png"));


使用例 2

ラベルにセットして、画像として表示する。

 // プロジェクトディレクトリ直下のimagesディレクトリ内にあるphoto.pngファイル
 std::unique_ptr<QLabel> pLabel = std::make_unique<QLabel>();
 pLabel->setPixmap(QPixmap(":/images/photo.png"));


使用例 3

ドラッグ&ドロップにおいて、ドラッグ中の画像として使用する。

 // プロジェクトディレクトリ直下のimagesディレクトリ内にあるdrag.pngファイル
 std::unique_ptr<QDrag> pDrag = std::make_unique<QDrag>(this);
 qDrag->setPixmap(QPixmap(":/images/drag.png"));


使用例 3

サブメニューにアイコンを割り当てる手順を示す。

  1. Qt Designer画面下のアクションエディタを右クリックして、[編集...]を選択する。
  2. [アクションを編集]画面が開くので、[アイコン(I):]項目の[...]ボタンを押下してリソースに登録した画像ファイルを選択する。
    または、[▼]ボタンを押下して、[ファイルを選択...]から画像ファイルを選択することもできる。
  3. アクションエディタにて、アクションの左側に選択したアイコンが表示される。


使用例 4

ツールバーにアイコンを割り当てる手順を示す。

  1. ツールバーの追加は、Qt Designerに表示しているウィンドウを右クリックして、[ツールバーを追加]を選択する。
  2. ツールバーの追加後、アクションエディタから任意のアクションをツールバーへ、ドラッグ&ドロップする。



ステータスバー

ウインドウまたはダイアログにおいて、ステータスバーを表示する。

 #include <QStatusBar>
 
 QStatusBar StatusBar;
 StatusBar->showMessage(tr("ステータスを表示中..."));


ステータスバーにプログレスバーを表示する場合、以下のように記述する。

 #include <QStatusBar>
 
 QStatusBar StatusBar;
 QProgressBar bar;
 StatusBar->addWidget(&bar);
 
 bar.setMinimum(0);
 bar.setMaximum(100);
 for(int i = 0; i < 100; i++)
 {
    bar.setValue(i);
    // 以下に処理を記述
    // ...
 }
 
 StatusBar->removeWidget(&bar);



タブオーダーの設定

タブオーダーを無効化するには、ウインドウにある全てのウィジェットのタブオーダーを自分自身にする。

 QList<QWidget *>widgets = findChildren<QWidget *>();
 
 foreach(QWidget *widget, widgets)
 {
    widget->setTabOrder(widget, widget);
 }



ウインドウおよびウィジェットの形状の変更

ウインドウおよびプッシュボタン等のウィジェットにおいて、形状を非矩形に変更する、および、背景を画像に変更する手順を記載する。

非矩形ウインドウ

まず、型抜き用画像を作成する。
型抜き用画像は、ウインドウの形状を表す部分を描画した画像のことであり、画像以外の箇所を透過ピクセルにする。
したがって、型抜き用画像は透過(アルファチャンネル)をサポートするフォーマットで保存する必要がある。

これは、Inkscape(ソフトウェア)を使用して、ウィンドウの形状を描画してPNG形式で保存する方法を推奨する。

次に、QMainWindowクラスまたはQDialogクラスのコンストラクタにおいて、以下のように記述する。

 MainWindow::MainWindow()
 {
    Qt::WindowFlags flags = Qt::Dialog | Qt::MSWindowsFixedSizeDialogHint | Qt::FramelessWindowHint;
    setWindowFlags(flags);
    QPixmap pixmap("window.png");
    setMask(pixmap.mask());
 
    // 型抜き画像のサイズに合わせる
    resize( 300, 300 );
 }


ウインドウおよびウィジェットの外観の変更

例えば、ウインドウの背景色を変更する場合、QMainWindowクラスまたはQDialogクラスのコンストラクタにおいて、以下のように記述する。

 MainWindow::MainWindow()
 {
    // 背景色を設定する
    setStyleSheet("* {background-color : rgb( 255, 255, 128 )}");
 
    // 透過率を設定する
    setWindowOpacity(0.7);
 }


また、上記の変更は、Qt Designerから実行することもできる。
Qt Designer画面から、ウインドウまたはウィジェットの[プロパティ] - [styleSheet]項目を選択する。
[スタイルシートを変更]画面が開くので、[〜を追加]プルダウンから"background-color"と"Opacity"のQSSを追加する。

QSSをプロジェクト全体に適用する

一般的に、QSSの設定は各ウィジェットごとに設定するが、プロジェクト全体で共通のQSSを設定することもできる。
QSSの書式や構文は、CSSとほぼ同じである。

以下の例は、Qtに付属しているサンプルを参考にしている。(<Qtのインストールディレクトリ>/examples/widgets/stylesheetディレクトリ)
まず、MainWindow.qssファイルを作成する。

 // MainWindow.qss
 
 // QPushButtonの設定例
 QPushButton
 {
    background-color: #000088;
    border-color: #000044;
    border-style: solid;
    border-radius: 5;
 }
 
 QPushButton:hover
 {
   background-color: #880000;
 }
 
 QPushButton:pressed
 {
    background-color: #008800;
 }


次に、MainWindow.qssファイルをQApplicationクラスのsetStyleSheetメソッドに渡す。
QApplicationクラスのインスタンスはシングルトンとして生成されているため、そのインスタンスから実行する。
また、QSSファイルはリソースとして登録しておくとよい。

以下の例では、main関数でQSSファイルを読み込み、設定している。
QSSには、他にも様々なクラスやセレクタが存在する。

 #include "MainWindow.h"
 #include <QtCore>
 
 int main(int argc, char *argv[])
 {
    QApplication app(argc, argv);
 
    QFile file(":/qss/MainWindow.qss");
    file.open( QFile::ReadOnly );
    QString strStyles = QLatin1String(file.readAll());
 
    app.setStyleSheet( strStyles );
 
    MainWindow w;
    w.show();
 
    return app.exec();
 }