「ユークリッドの互除法」の版間の差分
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つまり、<math>(-4, 3)</math>が解の1つとなる。<br> | つまり、<math>(-4, 3)</math>が解の1つとなる。<br> |
2020年3月7日 (土) 01:27時点における最新版
概要
ユークリッドの互除法とは、大きな整数の最大公約数を早く計算する方法である。
ここでは、ユークリッドの互除法とユークリッドの互除法の不定方程式への応用方法を記載する。
ユークリッドの互除法の性質
ユークリッドの互除法では、以下の重要な性質を用いて最大公約数の計算を行う。
重要な性質
除算の等式 : において、"aとbの最大公約数" = "bとrの最大公約数"
実際に、ユークリッドの互除法を用いて、390と273の最大公約数を計算してみる。
まず、a = 390をb = 273で除算すると、q = 1、r = 117となる。
上記の性質より、"390と273の最大公約数" = "273と117の最大公約数"
次に、a = 273をb = 117で除算する。
上記の性質より、"273と117の最大公約数" = "117と39の最大公約数"
次に、a = 117をb = 39で除算する。
割り切れるということは、117と39の最大公約数は39である。
以上により、390と273の最大公約数が39であることが分かる。
このように、上記の性質を用いて、除算を繰り返して最大公約数を求める方法をユークリッドの互除法という。
ユークリッドの互除法の証明
上記の重要な性質を証明する。
証明
aをbで除算した商をq、余りをrとおくと、より、
aとbがともにmの倍数ならば、もmの倍数である。
よって、"aとbの公約数"は"bとrの公約数"でもある。
したがって、
bとrがともにmの倍数ならば、もmの倍数である。
よって、"bとrの公約数"は"aとbの公約数"でもある。
したがって、
以上、2つの不等式より、となる。
除算を繰り返し行うと、余りの定義よりなので、値はどんどん小さくなる。
そして、最後は必ず余りが0になって終了する。
その時の割った数が最大公約数になる。
1次不定方程式への応用
1次不定方程式の整数解を求める問題を考える。
例
を満たす整数を求める。
11と8にユークリッドの互除法を適用する。
これを遡っていく。(余りの部分を順々に代入していく)
これは、の形になっている。
つまり、が解の1つとなる。
したがって、1次不定方程式の整数解にあるように、
解が1つ見つかれば一般解が構成できる。
一般解は、
ポイントは、ユークリッドの互除法の式を用いて、
1をの形で表す。→の形で表す。→の形で表す。
と変形していくことである。