「ベクトル - ベクトル方程式」の版間の差分
(ページの作成:「== 概要 == ベクトル方程式とは、<u>"ある条件を満たす点を、ベクトルで表現した式"</u>のことである。<br> <br> 直線は、点の集合である。<br> 例えば,直線 <math>y = 2x + 1</math> は、点(x, y)が満たす条件を式にしたもので,この条件を満たす点の集合が直線になる。<br> <br> ベクトルでは、点の位置を表すために、位置ベクトルが存在する。<br> この位置ベク…」) |
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<math>m (x - x_1 ) - l (y - y_1) = 0</math> | <math>m (x - x_1 ) - l (y - y_1) = 0</math> | ||
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==== 異なる2点を通る直線のベクトル方程式(共線条件) ==== | |||
異なる2点を通る直線のベクトル方程式(共線条件)の定義 | |||
異なる2点 <math>A(\vec{a}), \, B(\vec{b})</math> を通る直線のベクトル方程式は、次式となる。 | |||
<math>\vec{p} = (1 - t) \vec{a} + t \vec{b}</math> | |||
または | |||
<math>\vec{p} = s \vec{a} + t \vec{b}, \, s + t = 1</math> | |||
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平面上の異なる2点 <math>A(\vec{a}), \, B(\vec{b})</math> を通る直線上に,点 <math>P(\vec{p})</math> があることを考える。<br> | |||
この時、<math>\overrightarrow{OP} = \overrightarrow{OA} + t \overrightarrow{AB}</math> と表されるので、次式となる。<br> | |||
<math> | |||
\begin{align} | |||
\vec{p} &= \vec{a} + t (\vec{b} - \vec{a}) \\ | |||
&= (1 - t) \vec{a} + t \vec{b} | |||
\end{align} | |||
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上式の方程式において、<math>1 - t = s</math> とおく時、次式としても表すことができる。<br> | |||
<math>\vec{p} = s \vec{a} + t \vec{b}</math><br> | |||
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例. <math>A(2, 1), \, B(3, 3)</math> の時、直線ABの式は <math>y = 2x - 3</math> である。<br> | |||
P(x, y)として、ベクトルで考えると<br> | |||
<math> | |||
\begin{align} | |||
\vec{p} &= \overrightarrow{OA} + t \overrightarrow{AB} \\ | |||
(x, y) &= \vec{a} + t (\vec{b} - \vec{a}) \\ | |||
&= (2, 1) + t (1, 2) \\ | |||
&= (t + 2, 2t + 1) | |||
\end{align} | |||
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したがって、次式のように媒介変数表示で表すことができる。<br> | |||
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\begin{cases} | |||
x = t + 2 \\ | |||
y = 2t + 1 | |||
\end{cases} | |||
</math><br> | |||
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上記の連立方程式からtを消去すると、直線の式 <math>y = 2x - 3</math> が成り立つことがわかる。<br> | |||
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==== 定点 <math>A(\vec{a})</math> を通り、ベクトル <math>\vec{n}</math> に垂直な直線のベクトル方程式 ==== | |||
定点を通り,ある直線に垂直な直線のベクトル方程式の定義 | |||
定点 <math>A(\vec{a})</math> を通り、<math>\vec{0}</math> でないベクトル <math>\vec{n}</math> に垂直な直線のベクトル方程式 | |||
<math>\vec{n} \cdot (\vec{p} - \vec{a})</math> | |||
(<math>\vec{n}</math> は直線の法線ベクトル) | |||
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下図に、定点 <math>A(\vec{a})</math> を通り、ベクトル <math>\vec{n}</math> に垂直な直線を示す。<br> | |||
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点 <math>P(\vec{p})</math> がこの直線上にあるということは、<math>\vec{n} \perp \overrightarrow{AP}</math> である。<br> | |||
内積を用いて表すと、次式となる。<br> | |||
<math>\vec{n} \cdot \overrightarrow{AP} = 0</math><br> | |||
<math>\therefore \vec{n} \cdot (\vec{p} - \vec{a}) = 0</math><br> | |||
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例. 点 <math>A(2, 1), \, B(3, 3)</math> 、直線ABの式 <math>y = 2x - 3</math> とする時、この直線に垂直な直線の式を求める。<br> | |||
P(x, y) として、ベクトルで考えると | |||
<math>\overrightarrow{AP} \cdot \overrightarrow{A } = 0</math><br> | |||
<math>\begin{pmatrix} x - 2 \\ y - 1 \end{pmatrix} \cdot \begin{pmatrix} 1 \\ 2 \end{pmatrix} = 0</math><br> | |||
<math>x - 2 + 2y -2 = 0</math><br> | |||
<math>2y = -x + 4</math><br> | |||
<math>y = - \frac{1}{2}x + 2</math><br> | |||
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したがって、ベクトル方程式 <math>\vec{n} \cdot (\vec{p} - \vec{a})</math> を用いて、定点 <math>A(\vec{a})</math> を通り、ベクトル <math>\vec{n}</math> に垂直な直線を表すことができる。<br> | |||
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== ベクトルの終点の存在範囲 == | |||
ベクトルの終点の存在範囲の定義 | |||
<math>\overrightarrow{OA} = \vec{a}, \, \overrightarrow{OB} = \vec{b}, \, \overrightarrow{OP} = \vec{p}, \, \vec{p} = s \vec{a} + t \vec{b}</math> とする。(s、tは実数の変数) | |||
s、tに条件がある時,次のような図形を表す。 | |||
直線AB | |||
<math>\begin{cases} \vec{p} = s \vec{a} + t \vec{b} \\ s + t = 1 \end{cases}</math> | |||
線分AB | |||
<math>\begin{cases} \vec{p} = s \vec{a} + t \vec{b} \\ s + t = 1 \\ s \ge 0 \\ t \ge 0 \\ \end{cases}</math> | |||
<math>\triangle OAB</math> の周と内部 | |||
<math>\begin{cases} \vec{p} = s \vec{a} + t \vec{b} \\ 0 \le s + t \le 1 \\ s \ge 0 \\ t \ge 0 \\ \end{cases}</math> | |||
平行四辺形OACBの周と内部 | |||
<math>\begin{cases} \vec{p} = s \vec{a} + t \vec{b} \\ 0 \le s \le 1 \\ 0 \le t \le 1 \\ \end{cases}</math> | |||
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== 円のベクトル方程式 == | |||
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2022年5月27日 (金) 07:10時点における版
概要
ベクトル方程式とは、"ある条件を満たす点を、ベクトルで表現した式"のことである。
直線は、点の集合である。
例えば,直線 は、点(x, y)が満たす条件を式にしたもので,この条件を満たす点の集合が直線になる。
ベクトルでは、点の位置を表すために、位置ベクトルが存在する。
この位置ベクトルを利用して、曲線上の点の位置ベクトル の満たす関係式を、その曲線のベクトル方程式という。
直線のベクトル方程式
定点 を通り、 に平行な直線のベクトル方程式
定点を通りある直線に平行な直線のベクトル方程式 定点 を通り、 でないベクトル に平行な直線のベクトル方程式
点 を通り、 でないベクトル に平行な直線をgとする。
点 が直線g上にあるということは、 と表すことができる。
より、
と表すことができる。
この時、 を直線gの方向ベクトルtを媒介変数という。
また、このベクトル方程式をベクトルの成分で表すことを考える。
原点をO、点Aの座標を 、直線g上の任意の点を として、 とする時、
ベクトル方程式は、次式となる。
媒介変数tを用いて表されたこの連立方程式を、直線gの媒介変数表示という。
この連立方程式からtを消去する時、次のことが成り立つ。
点 を通り、 が方向ベクトルである直線の方程式
異なる2点を通る直線のベクトル方程式(共線条件)
異なる2点を通る直線のベクトル方程式(共線条件)の定義 異なる2点 を通る直線のベクトル方程式は、次式となる。 または
平面上の異なる2点 を通る直線上に,点 があることを考える。
この時、 と表されるので、次式となる。
上式の方程式において、 とおく時、次式としても表すことができる。
例. の時、直線ABの式は である。
P(x, y)として、ベクトルで考えると
したがって、次式のように媒介変数表示で表すことができる。
上記の連立方程式からtを消去すると、直線の式 が成り立つことがわかる。
定点 を通り、ベクトル に垂直な直線のベクトル方程式
定点を通り,ある直線に垂直な直線のベクトル方程式の定義 定点 を通り、 でないベクトル に垂直な直線のベクトル方程式 ( は直線の法線ベクトル)
下図に、定点 を通り、ベクトル に垂直な直線を示す。
点 がこの直線上にあるということは、 である。
内積を用いて表すと、次式となる。
例. 点 、直線ABの式 とする時、この直線に垂直な直線の式を求める。
P(x, y) として、ベクトルで考えると
したがって、ベクトル方程式 を用いて、定点 を通り、ベクトル に垂直な直線を表すことができる。
ベクトルの終点の存在範囲
ベクトルの終点の存在範囲の定義 とする。(s、tは実数の変数) s、tに条件がある時,次のような図形を表す。 直線AB 線分AB の周と内部 平行四辺形OACBの周と内部
円のベクトル方程式