「QMLのコントロール - Positionerアイテム」の版間の差分
(ページの作成:「== 概要 == Positionerアイテムとは、宣言型UIのアイテムの位置を管理するコンテナアイテムである。<br> 多くのアイテムを通常の…」) |
(→Flow) |
||
256行目: | 256行目: | ||
} | } | ||
</syntaxhighlight> | </syntaxhighlight> | ||
<br><br> | |||
== LayoutMirroringプロパティ == | |||
LayoutMirroringとは、レイアウトの動作をミラーリングするためのプロパティである。<br> | |||
<br> | |||
==== 専用プロパティ ==== | |||
ミラーリングは視覚的な変化である。<br> | |||
<br> | |||
<code>LayoutMirroring</code>プロパティは、アイテムのアンカー、<code>Row</code>や<code>Grid</code>等のPositionerや<code>GridView</code>や<code>ListView</code>等のViewを水平方向にミラーリング(反転)する。<br> | |||
(左のアンカーが右のアンカーになる等)<br> | |||
<br> | |||
ミラーリングは、<code>enabled</code>プロパティを<code>true</code>に設定することにより、アイテムに対して有効になる。<br> | |||
<br> | |||
既定値では、ミラーリングはアイテム自身にのみ影響する。<br> | |||
<code>childrenInherit</code>プロパティを<code>true</code>に設定することにより、ミラーリングの動作が全ての子アイテムにも継承される。<br> | |||
<br> | |||
<u>※注意</u><br> | |||
<u>Qt 5.8以降、<code>LayoutMirroring</code>は<code>Window</code>に対しても使用できるようになった。</u><br> | |||
<u><code>LayoutMirroring</code>プロパティを、<code>Window</code>の<code>contentItem</code>にアタッチするのと同様に使用できる。</u><br> | |||
<br> | |||
* childrenInherit | |||
*: 値 : bool (既定値 : false) | |||
*: アイテムの<code>LayoutMirroring.enabled</code>の値が、その子アイテムたちに継承されるかどうかを設定する。 | |||
*: <br> | |||
* enabled | |||
*: 値 : bool (既定値 : false) | |||
*: アイテムのレイアウトが水平方向にミラーリングされるかどうかを設定する。 | |||
*: 水平方向にtrueを設定する場合、左のアンカーが右に、右のアンカーが左になるようにアンカーの設定が反転する。 | |||
*: <code>Row</code>や<code>Grid</code>等のPositionerや<code>GridView</code>や<code>ListView</code>等のViewでは、アイテムの水平方向もミラーリングされる。 | |||
<br> | |||
==== サンプルコード ==== | |||
以下の例では、ミラーリングの動作を示しており、<code>Row</code>は親の左に固定されるように指定している。<br> | |||
ただし、ミラーリングが有効になっているため、アンカーは水平方向に反転して、右に固定されている。<br> | |||
<br> | |||
また、既定値では<code>Row</code>内のアイテムは左から右に配置されるが、アイテムの番号や不透明度から分かるように、右から左に配置されている。<br> | |||
[[ファイル:QML Positioner Item 5.png|フレームなし|中央]] | |||
<syntaxhighlight lang="qml"> | |||
import QtQuick 2.0 | |||
Rectangle { | |||
LayoutMirroring.enabled: true | |||
LayoutMirroring.childrenInherit: true | |||
width: 300 | |||
height: 50 | |||
color: "yellow" | |||
border.width: 1 | |||
Row { | |||
anchors { | |||
left: parent.left | |||
margins: 5 | |||
} | |||
y: 5 | |||
spacing: 5 | |||
Repeater { | |||
model: 5 | |||
Rectangle { | |||
color: "red" | |||
opacity: (5 - index) / 5 | |||
width: 40; height: 40 | |||
Text { | |||
text: index + 1 | |||
anchors.centerIn: parent | |||
} | |||
} | |||
} | |||
} | |||
} | |||
</syntaxhighlight> | |||
<br> | |||
<code>LayoutMirroring</code>は、異なる言語圏をターゲットとするソフトウェアにおいて、左から右へのレイアウトと右から左へのレイアウトの両方をサポートする必要がある場合に便利である。<br> | |||
<br> | |||
<code>childrenInherit</code>プロパティを使用する場合、ソフトウェア内の全てのアイテムに対してレイアウト設定を手動で行うことなく、<code>LayoutMirroring</code>を適用することができる。<br> | |||
<br> | |||
ただし、ミラーリングは、アイテムのx座標の値で定義される位置関係には影響しないため、<br> | |||
ミラーリングを有効にしても、希望のレイアウト方向に対応するためには、レイアウトの修正が必要になることに注意する。<br> | |||
<br> | |||
また、ミラーリングが望ましい動作ではない場合や既に子アイテムが他の方法でミラーリングを行っている場合は、<br> | |||
個々の子アイテムのミラーリングを無効(各アイテムに対して、<code>LayoutMirroring.enabled</code>を<code>false</code>)に設定する必要があるかもしれない。<br> | |||
<br> | |||
ソフトウェアの既定のレイアウト方向に基づいて変更するには、以下を使用する。<br> | |||
<syntaxhighlight lang="qml"> | |||
LayoutMirroring.enabled: Qt.application.layoutDirection === Qt.RightToLeft | |||
</syntaxhighlight> | |||
<br> | |||
レイアウト方向の変更において、<code>LayoutMirroring</code>やその他の関連機能の詳細は、[[QMLのコントロール - レイアウト方向の変更]]を参照すること。<br> | |||
<br><br> | <br><br> | ||
__FORCETOC__ | __FORCETOC__ | ||
[[カテゴリ:Qt]] | [[カテゴリ:Qt]] |
2021年10月14日 (木) 17:49時点における版
概要
Positionerアイテムとは、宣言型UIのアイテムの位置を管理するコンテナアイテムである。
多くのアイテムを通常のレイアウトに配置する必要がある場合に、容易に設計することができる。
Qtの標準的なウィジェットで使用されているレイアウトマネージャと同じように動作するが、それ自体がコンテナであることが異なる。
PositionerアイテムはQt Quick Layoutsに含まれており、UI上のアイテムの位置とサイズの両方を管理しており、サイズ変更可能なデザインに使用する。
Positionerアイテムの種類
下表に、標準的なPositionerアイテムを示す。
Positionerアイテム名 | 説明 |
---|---|
Row | 行の中の子を一列に配置する。 |
Column | 列の中に子を配置する。 |
Grid | グリッドの中の子を配置する。 |
Flow | 必要に応じて折り返しながら、子を横に並べて配置する。 |
LayoutMirroring | レイアウトの動作をミラーリングするためのプロパティ。 |
Positioner | Positionerアイテム内の子アイテムがどこに存在するかの詳細を含むプロパティ。 |
Row
Row
は、アイテムを水平方向に並べるために使用する。
以下の例では、行アイテムを使用して、3つの丸みを帯びたRectangle
を、外側のRectangle
で定義された領域に配置している。
spacing
プロパティは、Rectangle
の間にわずかなスペースを空けるように設定している。
親アイテムのRectangle
が十分な大きさであることを確認して、水平方向に中央に配置されたRow
の端にスペースを空けている。
import QtQuick 2.0
Rectangle {
width: 320
height: 110
color: "#c0c0c0"
Row {
anchors.horizontalCenter: parent.horizontalCenter
anchors.verticalCenter: parent.verticalCenter
spacing: 5
Rectangle {
width: 100
height: 100
radius: 20.0
color: "#024c1c"
}
Rectangle {
width: 100
height: 100
radius: 20.0
color: "#42a51c"
}
Rectangle {
width: 100
height: 100
radius: 20.0
color: "white"
}
}
}
Column
Column
は、アイテムを垂直に並べるために使用する。
以下の例では、Columnを使用して、外側のアイテムで定義された領域に3つのRectangleを配置している。
spacingプロパティは、四角形の間にわずかなスペースを含むように設定している。
なお、Column
はItem
を継承しているため、背景色が必要な場合は、親のRectangle
にプロパティを追加する必要がある。
import QtQuick 2.0
Item {
width: 310; height: 170
Column {
anchors.horizontalCenter: parent.horizontalCenter
anchors.verticalCenter: parent.verticalCenter
spacing: 5
Rectangle {
color: "lightblue"
radius: 10.0
width: 300
height: 50
Text {
anchors.centerIn: parent
font.pointSize: 24
text: "Books"
}
}
Rectangle {
color: "gold"
radius: 10.0
width: 300
height: 50
Text {
anchors.centerIn: parent
font.pointSize: 24
text: "Music"
}
}
Rectangle {
color: "lightgreen"
radius: 10.0
width: 300
height: 50
Text {
anchors.centerIn: parent
font.pointSize: 24
text: "Movies"
}
}
}
}
Grid
Grid
は、子アイテムを格子状またはテーブル状に配置する。
以下の例では、Grid
を使用して、4つのRectangle
を2×2の格子状に配置している。
他のPositioner
アイテムと同様、アイテム間の間隔は、spacing
プロパティを使用して設定できる。
アイテム間に挿入される水平方向の間隔と垂直方向の間隔には違いが無いため、追加のスペースは子アイテム自体の中に追加する必要がある。
格子状内の空のセルは、Grid
内の適切な場所にプレースホルダアイテムを定義して作成する必要がある。
import QtQuick 2.0
Rectangle {
width: 112
height: 112
color: "#303030"
Grid {
anchors.horizontalCenter: parent.horizontalCenter
anchors.verticalCenter: parent.verticalCenter
columns: 2
spacing: 6
Rectangle {
color: "#aa6666"
width: 50
height: 50
}
Rectangle {
color: "#aaaa66"
width: 50
height: 50
}
Rectangle {
color: "#9999aa"
width: 50
height: 50
}
Rectangle {
color: "#6666aa"
width: 50
height: 50
}
}
}
Flow
Flow
は、ページ上に単語のようなアイテムを、重ならないように行や列で配置する。
これは、Grid
のように、1つの軸(短軸)に沿ってアイテムを並べて、もう1つの軸(長軸)に沿ってアイテムを隣り合わせに並べる。
並べる方向とアイテム間の間隔は、flow
とspacing
プロパティで制御される。
また、Grid
と同様に、アイテム間やアイテムの行間の間隔を独立して制御することはできない。
以下に、Flow
とGrid
の主な違いを示す。
Flow
内のアイテムは短軸のスペースが無くなると折り返される。- アイテムのサイズが均一でない場合、1行のアイテムが他の行のアイテムと揃わないことがある。
以下の例では、Flow
内にText
の子アイテムがいくつか作成している。
これらは、下図で示したものと同様の方法で配置されている。
import QtQuick 2.0
Rectangle {
color: "lightblue"
width: 300
height: 200
Flow {
anchors.fill: parent
anchors.margins: 4
spacing: 10
Text {
text: "Text"
font.pixelSize: 40
}
Text {
text: "items"
font.pixelSize: 40
}
Text {
text: "flowing"
font.pixelSize: 40
}
Text {
text: "inside"
font.pixelSize: 40
}
Text {
text: "a"
font.pixelSize: 40
}
Text {
text: "Flow"
font.pixelSize: 40
}
Text {
text: "item"
font.pixelSize: 40
}
}
}
LayoutMirroringプロパティ
LayoutMirroringとは、レイアウトの動作をミラーリングするためのプロパティである。
専用プロパティ
ミラーリングは視覚的な変化である。
LayoutMirroring
プロパティは、アイテムのアンカー、Row
やGrid
等のPositionerやGridView
やListView
等のViewを水平方向にミラーリング(反転)する。
(左のアンカーが右のアンカーになる等)
ミラーリングは、enabled
プロパティをtrue
に設定することにより、アイテムに対して有効になる。
既定値では、ミラーリングはアイテム自身にのみ影響する。
childrenInherit
プロパティをtrue
に設定することにより、ミラーリングの動作が全ての子アイテムにも継承される。
※注意
Qt 5.8以降、LayoutMirroring
はWindow
に対しても使用できるようになった。
LayoutMirroring
プロパティを、Window
のcontentItem
にアタッチするのと同様に使用できる。
- childrenInherit
- 値 : bool (既定値 : false)
- アイテムの
LayoutMirroring.enabled
の値が、その子アイテムたちに継承されるかどうかを設定する。
- enabled
- 値 : bool (既定値 : false)
- アイテムのレイアウトが水平方向にミラーリングされるかどうかを設定する。
- 水平方向にtrueを設定する場合、左のアンカーが右に、右のアンカーが左になるようにアンカーの設定が反転する。
Row
やGrid
等のPositionerやGridView
やListView
等のViewでは、アイテムの水平方向もミラーリングされる。
サンプルコード
以下の例では、ミラーリングの動作を示しており、Row
は親の左に固定されるように指定している。
ただし、ミラーリングが有効になっているため、アンカーは水平方向に反転して、右に固定されている。
また、既定値ではRow
内のアイテムは左から右に配置されるが、アイテムの番号や不透明度から分かるように、右から左に配置されている。
import QtQuick 2.0
Rectangle {
LayoutMirroring.enabled: true
LayoutMirroring.childrenInherit: true
width: 300
height: 50
color: "yellow"
border.width: 1
Row {
anchors {
left: parent.left
margins: 5
}
y: 5
spacing: 5
Repeater {
model: 5
Rectangle {
color: "red"
opacity: (5 - index) / 5
width: 40; height: 40
Text {
text: index + 1
anchors.centerIn: parent
}
}
}
}
}
LayoutMirroring
は、異なる言語圏をターゲットとするソフトウェアにおいて、左から右へのレイアウトと右から左へのレイアウトの両方をサポートする必要がある場合に便利である。
childrenInherit
プロパティを使用する場合、ソフトウェア内の全てのアイテムに対してレイアウト設定を手動で行うことなく、LayoutMirroring
を適用することができる。
ただし、ミラーリングは、アイテムのx座標の値で定義される位置関係には影響しないため、
ミラーリングを有効にしても、希望のレイアウト方向に対応するためには、レイアウトの修正が必要になることに注意する。
また、ミラーリングが望ましい動作ではない場合や既に子アイテムが他の方法でミラーリングを行っている場合は、
個々の子アイテムのミラーリングを無効(各アイテムに対して、LayoutMirroring.enabled
をfalse
)に設定する必要があるかもしれない。
ソフトウェアの既定のレイアウト方向に基づいて変更するには、以下を使用する。
LayoutMirroring.enabled: Qt.application.layoutDirection === Qt.RightToLeft
レイアウト方向の変更において、LayoutMirroring
やその他の関連機能の詳細は、QMLのコントロール - レイアウト方向の変更を参照すること。