「Arduinoの基礎 - 温度センサ」の版間の差分
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<code>analogRead()</code>関数の戻り値は、直ちに電圧が得られるわけではなく、0[V]から5[V](または、0[V]から3.3[V])が、0から1023の値となることに注意すること。<br> | <code>analogRead()</code>関数の戻り値は、直ちに電圧が得られるわけではなく、0[V]から5[V](または、0[V]から3.3[V])が、0から1023の値となることに注意すること。<br> | ||
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また、SC1602のI2Cアダプタを使用する方法については、[[Arduinoの基礎_-_SC1602#SC1602_I2C.E3.82.A2.E3.83.80.E3.83.97.E3.82.BF.E3.82.92.E5.88.A9.E7.94.A8.E3.81.99.E3.82.8B|"SC1602 I2Cアダプタを利用する"]]を参照すること。<br> | |||
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<code>analogRead()</code>関数でTMP36からの電圧を取得して、SC1602に表示するサンプルコードは以下の通りである。<br> | |||
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#include <LiquidCrystal_I2C.h> | |||
const int PIN_TMP36 = 1; | |||
const int LCD_LEN = 16; | |||
LiquidCrystal_I2C lcd(0x27,16,2); | |||
void setup() | |||
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// LCD初期化 | |||
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// TMP36から電圧を取得して温度へ換算 | |||
float a = (float) analogRead( PIN_TMP36 ); | |||
float v = a * 5.0 / 1023.0; | |||
float t = v * 100 - 50; | |||
// 温度の表示 | |||
char degree_symbol = (char) 223; | |||
String s = String(t, 1) + degree_symbol + 'C'; | |||
int pos = ( LCD_LEN - s.length() ) / 2; | |||
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// 3秒待つ | |||
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2020年7月30日 (木) 13:01時点における版
概要
ここでは、温度センサとして人気のあるTMP36とNTCサーミスタ(MF52-103)の使用方法を記載する。
TMP36の使用方法
TMP36の概要
TMP36は、アナログ出力温度測定ICである。
サーミスタと違い、TMP36において、出力電圧が測定範囲(-40℃〜125℃)では10[mV/℃]とほぼ線形になる。
温度T[℃]は、次式で得られる。
… (1)
正確な計算式はデータシートを参照する。
TMP36のデータシートには次のような記載がある。
すなわち、TMP36では、1[℃]ごとに電圧が10[mV]上がり、オフセットが0.5[V]なので、Vout[V]は次式となる。
… (2)
この(2)式を整理すると、上の(1)式になる。
入力電圧Vsは、2.7[V]〜5.5[V]である。
TMP36の接続は下図の通りである。
下図の出力ピンであるVoutを、Arduinoで測定する。
また、パスコンは0.1[μF]のセラミックコンデンサを使用して、TMP36のVsに近い場所に配置する。
サンプルコード
Arduinoを使用してTMP36の出力を読む場合、アナログ入力値を読むことでできる。"Arduinoで電圧を測定する(アナログ入力を読み取る)"を参照すること。
analogRead()
関数の戻り値は、直ちに電圧が得られるわけではなく、0[V]から5[V](または、0[V]から3.3[V])が、0から1023の値となることに注意すること。
また、SC1602のI2Cアダプタを使用する方法については、"SC1602 I2Cアダプタを利用する"を参照すること。
analogRead()
関数でTMP36からの電圧を取得して、SC1602に表示するサンプルコードは以下の通りである。
#include <LiquidCrystal_I2C.h>
const int PIN_TMP36 = 1;
const int LCD_LEN = 16;
LiquidCrystal_I2C lcd(0x27,16,2);
void setup()
{
// LCD初期化
lcd.init();
lcd.clear();
lcd.backlight();
}
void loop()
{
// TMP36から電圧を取得して温度へ換算
float a = (float) analogRead( PIN_TMP36 );
float v = a * 5.0 / 1023.0;
float t = v * 100 - 50;
// 温度の表示
char degree_symbol = (char) 223;
String s = String(t, 1) + degree_symbol + 'C';
int pos = ( LCD_LEN - s.length() ) / 2;
lcd.clear();
lcd.setCursor(pos, 0);
lcd.print(s);
// 3秒待つ
delay(3000);
}
NTCサーミスタ
NTCサーミスタの概要
このセクションでは、NTCサーミスタを用いて、温度を測定する方法について記載する。
温度を測るアナログICとしては、上記セクションで説明したTMP36もあるが、サーミスタはより安価である。
このセクションで使用するNTCサーミスタは、MF52-103である。
サーミスタ(thermistor)の名前は、"thermal"(熱)と"resistor"(抵抗器)から由来で、温度変化によって抵抗値が変化する抵抗器のことである。
サーミスタの種類により、変化する温度で抵抗値はいくら変化する(または、抵抗値がいくら変化すれば温度はいくら変化する)という計算ができる。
サーミスタには大きく分けて、NTCタイプとPTCタイプの2種類ある。
NTCは温度の上昇と共に抵抗値が下がるタイプで、PTCはその逆で温度が上昇すると抵抗値も上昇するタイプである。
一般的に、サーミスタと言えば、NTCタイプのサーミスタのことを指す。
また、10[kΩ]のNTCサーミスタと言う場合、25[℃]の時に抵抗値が10[kΩ]であることを意味する。
温度の取得
NTCサーミスタでは、次式で温度が取得できる。
ここで、R0、T0は、それぞれ25[℃]での抵抗値[Ω]と温度[K]である。
… (1)
例えば、10[kΩ]のサーミスタを使用すると、R0は10[kΩ]、T0は298.15[K](=25[℃])である。
摂氏温度からケルビンに換算する場合は、273.15を加算する。
BはサーミスタのB値と呼ばれる定数で、サーミスタの種類ごとに異なる。Bまたはβとして、データシートに記載されている。
なお、MF52-103のB値は、3950である。
上記の(1)式をTについて解き、抵抗値Rの関数にすると次式(2)となる。
Tはケルビンで得られるので、摂氏への換算は273.15を減算する。
… (2)
抵抗値の取得
Arduinoを使用してサーミスタの抵抗値を取得する場合、抵抗値を直接測定することはできないが、電圧を測定して抵抗値に変換することでできる。
そこで、次のような分圧回路を構成して、Voutを測定する。
ここで、Rはサーミスタの抵抗値、R1は分圧測定のために導入した抵抗である。
例えば、10[kΩ]のサーミスタに対して、R1は10[kΩ]程度とする。
すると、出力電圧Voutの分圧式は次式(3)となり、この式をRについて解くと(4)式となる。
… (3)
… (4)
なお、この分圧回路で設定したR1をバランス抵抗という。