「オペアンプ - 同相信号除去比(CMRR)」の版間の差分
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図.1 差動増幅回路
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差動増幅回路では、同相信号除去比(CMRR:Common Mode Rejection Ratio)とは呼ばれるパラメータが重要になる。 | 差動増幅回路では、同相信号除去比(CMRR:Common Mode Rejection Ratio)とは呼ばれるパラメータが重要になる。<br> | ||
なぜなら、差動増幅回路は2つの入力の差分を増幅して、コモン・モード・ノイズである同相信号を除去することが重要だからである。 | なぜなら、差動増幅回路は2つの入力の差分を増幅して、コモン・モード・ノイズである同相信号を除去することが重要だからである。<br> | ||
つまり、差動増幅回路は、同相信号除去比が大きければ大きいほど精度の良い回路となる。 | つまり、差動増幅回路は、同相信号除去比が大きければ大きいほど精度の良い回路となる。<br> | ||
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同相信号除去比(CMRR)は以下の式で表される。 | 同相信号除去比(CMRR)は以下の式で表される。<br> | ||
<math>CMRR = \frac{\mbox{ | <math>CMRR = \frac{\mbox{ 差 動 利 得 }}{\mbox{ 同 相 利 得 }} = \frac{G_D}{G_C}</math><br> | ||
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== 差動利得の求め方 == | |||
図1はオペアンプを用いた差動増幅回路である。<br> | |||
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<center>図.1 差動増幅回路</center><br> | |||
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計算式は省略するが、オペアンプの出力V<small>out</small>の値は以下のようになる。<br> | |||
<math>V_{ref} = \frac{R_4}{R_3 + R_4}V_{in-}</math><br> | |||
<math>V_{out} = V_{ref} - (V_{in+}-V_{ref})\frac{R2}{R1}</math><br> | |||
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差動利得とはこの式の電圧部分を削除したものになる。つまり、差動利得はR<small>1</small>とR<small>2</small>の比率で決まる。<br> | |||
<math>\mbox{ 差 動 利 得 } = G_D = \frac{R_2}{R_1}</math><br> | |||
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== 同相利得の求め方 == | |||
差動利得と同様に、差動増幅回路の計算で用いた式を使用する。<br> | |||
<math>V_{out} = \frac{R_1 + R_2}{R_1}\frac{R_4}{R_3 + R_4}(V_{in+} - V_{ref}) + V_{ref} - \frac{R_2}{R_1}V_{in-}</math><br> | |||
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ここで、V<small>ref</small> = 0[V]、入力電圧V<small>in+</small>、V<small>in-</small>を同相信号電圧V<small>CM</small>とすると、<br> | |||
<math>V_{out} = \frac{R_1 + R_2}{R_1}\frac{R_4}{R_3 + R_4}V_{CM}-\frac{R_2}{R_1}V_{CM}</math><br> | |||
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式を整理すると、<math>V_{out} = \frac{R_1 R_4 - R_2 R_3}{R_1 (R_3 + R_4)}V_{CM}</math><br> | |||
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同相利得は電圧部分を削除したものになるので、<math>\mbox{ 同 相 利 得 } = G_C = \frac{R_1 R_4 - R_2 R_3}{R_1 (R_3 + R_4)}</math><br> | |||
となる。<br> | |||
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== CMRRの求め方 == | |||
前述したCMRRの計算式に対して、差動利得、同相利得の値を代入する。<br> | |||
<math>CMRR = \frac{G_D}{G_C} = \cfrac{\cfrac{R_2}{R_1}}{\cfrac{R_1 R_4 - R_2 R_3}{R_1 (R_3 + R_4)}} = \frac{R_2 (R_3 + R_4)}{R_1 R_4 - R_2 R_3}</math><br> | |||
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以上から、分母が0に近づくほど、CMRRが大きい値となる。<br> | |||
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つまり、差動増幅回路ではR<small>1</small>とR<small>4</small>、R<small>2</small>とR<small>3</small>の値を同じにすると精度の良い回路ができる。<br> | |||
しかし、実際には抵抗のばらつきがあるので、注意が必要になる。<br> | |||
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2025年1月10日 (金) 02:12時点における最新版
同相信号除去比(CMRR)とは
差動増幅回路では、同相信号除去比(CMRR:Common Mode Rejection Ratio)とは呼ばれるパラメータが重要になる。
なぜなら、差動増幅回路は2つの入力の差分を増幅して、コモン・モード・ノイズである同相信号を除去することが重要だからである。
つまり、差動増幅回路は、同相信号除去比が大きければ大きいほど精度の良い回路となる。
同相信号除去比(CMRR)は以下の式で表される。
差動利得の求め方
図1はオペアンプを用いた差動増幅回路である。
計算式は省略するが、オペアンプの出力Voutの値は以下のようになる。
差動利得とはこの式の電圧部分を削除したものになる。つまり、差動利得はR1とR2の比率で決まる。
同相利得の求め方
差動利得と同様に、差動増幅回路の計算で用いた式を使用する。
ここで、Vref = 0[V]、入力電圧Vin+、Vin-を同相信号電圧VCMとすると、
式を整理すると、
同相利得は電圧部分を削除したものになるので、
となる。
CMRRの求め方
前述したCMRRの計算式に対して、差動利得、同相利得の値を代入する。
以上から、分母が0に近づくほど、CMRRが大きい値となる。
つまり、差動増幅回路ではR1とR4、R2とR3の値を同じにすると精度の良い回路ができる。
しかし、実際には抵抗のばらつきがあるので、注意が必要になる。